はじめに
2019年のミシュランガイドでも、昨年同様、5パビリオンを獲得した「香格里拉台北遠東國際大飯店(シャングリ・ラ ファーイースタン プラザホテル タイペイ)」。最上級のホテルにふさわしく、各レストランにも星つきレストランでのキャリアを持つ一流シェフたちが就任しています。そのひとつが38階にあるイタリアン・レストラン「馬可波羅餐廳(マルコポーロ)」です。
新任シェフの就任で、イタリアンの新潮流が発生中!
台北101を望むゲストルーム、リュクスな気分が味わえる屋上プール、豪華なビュッフェなど「香格里拉台北遠東國際大飯店」が選ばれる理由は、枚挙にいとまがありません。2年連続でミシュランからの最高評価を受け、今まで以上に注目が集まるなか、新しいシェフを迎えたイタリアン・レストラン「マルコポーロ」も話題です。
若きイタリア人料理長・ファビオ・ストラミエッロ氏は、料理学校を卒業後、イタリアのミシュランひとつ星「Café Les Paillotes」で修行。その後は、パリの「Restaurant Le Taillevent」、コペンハーゲンの「Noma」など、各国の星つきレストランでの経験を重ねました。台湾に招聘される直前に副料理長をしていた「Aubergine Restaurant」では、オーストラリアのミシュランと言われる「The Good Food Guide」での2つ帽子を獲得。10数年のキャリアのほとんどを星付きレストランで過ごして来たという、華やかな経歴の持ち主です。
「マルコポーロ」の新任シェフ・ファビオ氏が得意とするのは、旬の食材を使い、イタリア料理に新しい解釈を与えること。提案するのは、旬を感じる“超”イタリアンというべき新潮流。「私はひとつのメニューを何度も出しません。なぜなら、お客様には、訪れるたびに新鮮な驚きを感じていただきたいので」と語るファビオ氏。オリジナルレシピへのこだわりは並々ならぬものがあり、メニューはいつも新作。これまで働いてきたレストランで提供していたメニューを出すことも、もちろんありません。
旬の素材を絶妙にミックス。シェフのセンスを味わう前菜。
そんなファビオ氏こだわりのメニューのひとつが、スモークサーモンの前菜。自家製のスモークサーモンは、燻蒸と冷却を3度繰り返して作られる逸品。そこに添えたのは、リコッタチーズとアボカドのキューブ、キュウリとハツカダイコンのスライス。脇をかためる野菜とチーズは、サーモンと共に味わうと、その組み合わせが絶妙であるとわかります。
組み合わせの妙という点では、「アスパラとトリュフ、パルメザンソースがけ」も負けていません。各素材のハーモニーと、極薄フランスパンのサクサクした歯触りが楽しめる前菜です。
想像の斜め上をいく!? ラビオリの新しい食し方。
ラビオリのレシピにも、シェフのこだわりが凝縮。餡の具材に選んだのはナス。スペインが誇る国宝級オーブン「Josper」でスモークしたものをイン。ラビオリを茹でたのち、バターとレモンをかけて素早く炒めたら、幻のフレッシュチーズ・ブッラータ、キャビアとプチトマトをトッピング。ブッラータ特有のリッチなバターの風味を堪能した後、トマトを食せば、そのフレッシュさで後味さっぱり。ラビオリの新解釈といえる意欲作です。
重くなりがちなメインも、レモン風味で軽やかに。
イタリアンで好んで使われる魚のひとつが鱈。外はサクサク、中はふっくら柔らかに焼き上げた鱈にバターをかけ、レモンピールとバジルのグラタンをオン。さらに白インゲンのソースとサワーオニオンを添えたメインディッシュは、ほのかな甘みと酸味をたたえたレモンの香りが決め手。
スープ&デザートは、シェフがテーブルを訪れてサーブ。
クリアなトマトスープもイタリア料理の定番。スープの材料は牛肉、トマトと数種の野菜。出来上がったスープに卵白を入れ、その吸着作用で雑味を取り除き、透明度を高めて仕上げているのがポイント。この手間隙かけたスープは、シェフ自らテーブルを訪れてサーブします。人参、海苔、緑色のハーブオイルなどのトッピングで彩りも鮮やか。気分が上がる一皿です。
デザートは、低脂肪ヨーグルトのムース。チョコの大地にムースの雪、そこに舞い散るラズベリーの花びら……そんなロマンティックな情景を表現しています。チョコとベリーは、シェフがテーブルでトッピング。ここはスマホに収めたい気持ちをぐっと堪えて、すぐにいただくのが賢明です。ラズベリーの甘酸っぱさとチョコの歯ごたえがふわふわのムースのアクセントになっていて、いくらでも食べられそうな味わい。
台北に出現した進化形イタリアン、食通なら要チェック!
台北で1、2を争うイタリアン・レストランが招聘した、若く前途有望なファビオ氏への注目度は非常に高く、とりわけ皆が知りたがるのが実年齢。その問いに対しては「私はどのレストランで働くときも、料理長になる意気込みで臨んできました。大切なのは、いかに生きてきたか。年齢やキャリアの長さは重要ではありません」と回答。伝統を覆し、人々に驚きを与え続けるイタリアンの精鋭・ファビオ氏の活躍から目が離せません。シャングリ・ラへの滞在がかなわなくとも、台北を旅する際は、ぜひ訪れてみたいレストランです。
◆香格里拉台北遠東國際大飯店(シャングリ・ラ ファーイースタン プラザホテル タイペイ)38階 馬可波羅餐廳(マルコポーロ)
住所:台北市敦化南路二段201號
電話: +886-2-7711-2080、+886-2-2378-8888