はじめに
世界中の「変な形の建物や文化」を撮り続けている佐藤健寿さんに、“旅初心者でも行ける”“簡単に不思議な景色が撮れる”という観点から、3つの街をセレクトしてもらいました。今後の旅の参考に!
文/大高志帆
Interview Photo:中川文作
SNS絶景問題とは?
――佐藤さんは世界中でいろいろな“不思議な景色”をご覧になってきたと思います。あえて3つ挙げるとしたら、どの街がおすすめですか?
いきなり本筋から話が逸れるんですが、僕は「SNS絶景問題」というのを割と重く受け止めていて。今回はそれもあって、“旅初心者でも行ける”“簡単に不思議な景色が撮れる”というポイントで選びたいと思います。
――すいません、「SNS絶景問題」って何ですか?
最近、「絶景本」と呼ばれるジャンルの本が人気ですよね。その本に載っているすごい景色が見たくて、いろいろな人が旅をするわけです。でも、実際は本に載っている絶景が奇跡の一枚で、実物は大したことがない、ということもあるんです。だけど、本人はそれなりにお金も時間もかけて絶景を見にきたわけですから、「案外ショボかったな」では納得できないんですよ。
それで、多くの人が加工しまくった「絶景」をSNSに「どうだ!」とアップして、「そうでもない」という事実を隠して自慢します。それを見た人が「私も見たい!」と旅をして……悪循環です。無限ループです。これが「SNS絶景問題」(笑)。
――なるほど。だから今回は、誰が見てもすごい景色が撮れる街をセレクトしてくださったんですね。それではお願いします!
世界で最も鮮やかな村 台中(台湾)
まずは台湾。台中市には、一人のおじいさんが道や壁などいたるところに絵を描いた「彩虹眷村(ツァイホンジュアンツン)」という村があります。人物、水牛、小鳥に飛行機、おめでたい言葉が書かれている部分も。カラフルな色づかいのエスニックな絵はインパクト大。周辺のお寺なども道教の影響が強く、日本のお寺とはまた違った雰囲気が楽しめます。
――写真を見ましたが、本当に鮮やかな村ですね。これはいい写真が撮れそうです。
青の世界が広がる街 シャウエン(モロッコ)
次のおすすめは、モロッコのシャウエンの旧市街です。ここは、壁も道路も階段も、すべてが青や水色で染められた幻想的な街。いわゆる「絶景本」でも「青い街」として取り上げられ、世界中の旅人の憧れの街として紹介されていますが、実際に見ても感動します。まるでおとぎの国に迷い込んだようで、どこを撮ってもフォトジェニックですよ。
――ジブリ映画の世界のようでもありますね。調べてみても、なぜ青く染めるのかは謎……そのあたりも興味をそそられます。
大きな岩がゴロゴロ モンサント(ポルトガル)
3つ目のおすすめは、ポルトガルのモンサントという村。「巨石の村」といわれています。この村には、ポルトガル様式のオレンジ屋根の可愛い家と、巨大な岩が同居する不思議な光景が広がっています。岩を屋根や壁のかわりにして建てた家もあって、初めて見た人はまずその異質な組み合わせに驚くと思います。行きづらい場所もありますが、ぜひ自分の目で確かめてください。
――景色を撮る際の注意点から実際にフォトジェニックな写真が撮れる街まで解説してもらいました。3つの街、どれも行きたくなりますね!
◆佐藤健寿(さとう けんじ)
超常現象や世界の奇妙な現象を調査するサイト「X51.ORG」を主宰。2003年、エリア51で事故に遭ったのをきっかけに、UFOやUMA、ミステリー・スポットや奇妙な人・物・場所を追って、ヒマラヤ、チベット、南米など実際に現地に訪れ、世界中を取材。現在はフォトグラファー/作家として雑誌などで活動。著書『TRANSIT 美しき不思議な世界』(講談社)『奇界遺産』(エクスナレッジ )などが発売中。
おわりに
不思議な景色が多い街について語ってくれた佐藤さん。こちらのお話や佐藤さんの旅先での工夫にあふれたワードローブなどを「旅色Seasonal Style」の「旅名人の身支度術」ページで読むことができます! 佐藤さんの旅にまつわるエピソードを色々紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
「旅色Seasonal Style」