はじめに
前回は旅先に持っていくのにぴったりなカメラの選び方を教えてくれた写真家のこばやしかをるさん。今回は、スマホ、コンデジ、一眼レフカメラ、すべてに共通する基本中のキホン、でもついつい忘れがちな撮影ポイント「手ぶれ」「ピント」「アングル」について教えてもらいました。これを身につければ格段に写真が変化! どんなシーンや被写体にも応用が効くので、覚えておけばいざというシャッターチャンスに焦らず撮影できますよ。
Text&Photo:こばやしかをる(写真家)
手ぶれしないようにカメラを構えるには?
スマホカメラの場合:タテに撮影する場合はスマホを握るように持ちます。ヨコの場合はスマホ側面にある音量(ボリューム)調整ボタンを触るように両手でしっかり握ります。
「持つ」よりも「握る」のがポイント。こうすることで脇がしまり、しっかり固定して撮影ができます。スマホの手帳タイプのカバーは手ぶれの原因になりやすいので撮影には意外と不向きです。
コンデジの場合:てのひらに乗せるように持ち、脇をしめます。
一眼レフカメラの場合:レンズをてのひらに乗せるようにしてしっかり持ち、脇をしめます。ファインダーのあるカメラは額をしっかりカメラにつけて支えましょう。
コンデジや一眼レフの場合、ボディではなくレンズを左手で持ち、脇で支えるのがポイントです。一眼レフをスマホのように持っている方も多く見受けられますが、手ぶれの元になるので気を付けて。
手ぶれしないシャッターの切り方は?
スマホカメラは音量調整ボタンでもシャッターを切ることができます。画面のボタンを押す際に、スマホをしっかり握っていないとブレやすくなります。また、スマホカメラには、ボタンから指を離したタイミングでシャッターが切れる特性がありますので、シャッターを押したからといって油断は禁物。
コンデジ、一眼レフはシャッターボタンを触るように押します。ぐっと押し込むのではなく、そっと指の腹で触るように押しましょう。
自分の意図した箇所にピントを確実に合わせたいときには?
全体的にピントを合わせたいときはカメラにおまかせしてもOKですが、フォーカス(ピント)の位置は意思の表現とも言われます。主役(主題)をハッキリさせたいときは、きちんと自分で主役にピントを合わせましょう。
スマホカメラの場合、指先でピントを合わせたい個所をタッチします。
奥の椅子にピントを合わせる
手前の花にピントを合わせる
コンデジ、一眼レフはカメラ任せのオートモードではなく「P」プログラムモードで操作を行います。少し専門的になりますが、AFモードを「S」シングルにし、AFエリアを「セレクト」に組み合わせて撮影します。この操作は覚えおくと断然仕上がりが違います。的確にピントを合わせられるようになりましょう。
ファインダーの中でAFエリアを任意に選択できるようになります。赤い十字の位置で被写体にピントが合焦するようにAF測距点を動かして使用します。メーカーや機種によって表示の仕方は異なるので、必ず説明書で確認しましょう。
ファインダーのないカメラでタッチパネル式のモニターの場合は、タッチした部分にピントを合わせると同時にシャッターが切れる機種もあります。
背景をぼかしたいときは?
まずは最短撮影距離で被写体に近寄り撮影します。この撮り方、意外と知らない人が多いのですが、鉄則です! カメラやレンズの種類によって撮影距離が異なるのできちんと手持ちのものを確認しておきましょう。ちなみにスマホは約5cmまで被写体に近づくことができます。
近づいて撮影したものはこのように背景がぼけています。
見せ方の工夫・アングルも大切
画面に変化をつけるにはアングルの工夫も大切です。旅の思い出にフォトブックなどを作る場合は、タテ、ヨコそれぞれに見え方=写る情報量が異なるので両方撮っておくといいでしょう。
また、自分が立っている位置でカメラの高さを変えるだけでも写真の見え方が大きく変わります。
アイレベル:いつもの高さでカメラを構える
ハイアングル:頭上より高い位置にカメラを構える
ローアングル:膝より低い位置でカメラを構える
真俯瞰(真上)や真正面からの撮影がおしゃれに見えるスクエア写真は、インスタグラムでもおなじみとなったアングル。こうした撮影にはグリッドラインが活躍します。(「9分割グリッド」とも言います)
【グリッドライン表示の仕方】
iPhoneの場合は本体の「設定」から「カメラ」を開いて「グリッド」をオン。Androidの場合は「本体のカメラ」を立ち上げ、さらに「歯車」か「スパナ」のマークの中にあります。機種によって表示できないものや、名称が異なります。
この機能はほとんどのデジタルカメラに搭載されていますので説明書をよく確認して設定しておきましょう。一眼レフはライブビュー撮影時に使用できます。
メーカーや機種によって表示の仕方は異なります。必ず説明書で確認しましょう。
スクエア写真はバランスのよい構図が決め手になるので、グリッドラインの交点に被写体が来るようにレイアウトします。撮影するときに水平・垂直の確認もでき、構図を考えるときの指標になります。
グリッドラインの交点に見せたい被写体を置き、上下左右の空きが均等でフラットな状態になるようにバランスのいい構図を見つけてください。
おわりに
いかがでしたか? 今回の撮影の基本はどんなデジタルカメラにも共通することです。とっさに訪れるシャッターチャンス。そのときに基本が身についているか否かで、写真の仕上がりは大きく違ってきます。いつも持ち歩くカメラで日々の写真を撮りながらひとつずつマスターしてみてくださいね。