ホンダのコンパクトカー、フィットの販売がどうも振るわない。2020年2月にフルモデルチェンジ(FMC)を受け、ハイブリッドシステムを上級車向けのi-MMD(e:HEV)に載せ替え、性能アップして登場した現行フィットだが、なぜか思うように売れていないのだ。
まずは自販連の2021年乗用車ブランド通称名別販売ランキングを見ていこう。
1位:トヨタ・ヤリス 1万6660台
2位:トヨタ・ルーミー 1万1597台
3位:トヨタ・カローラ 7493台
4位:トヨタ・ハリアー 6313台
5位:トヨタ・ライズ 6268台
6位:日産ノート 5962台
7位:トヨタ・アルファード 5947台
8位:トヨタ・ヴォクシー5066台
9位:トヨタRAV4 4784台
10位:ホンダ・フリード 4409台
とにかく、トヨタ強し!である。ご存知のようにトップのヤリスには「ヤリス」「ヤリスクロス」「GRヤリス」の3モデルが含まれている。
2位のルーミーは、タンクを統合したカタチで販売が好調だ。
11位~20位も見ていこう。
11位:ホンダ・ヴェゼル 4060台
12位:トヨタ・シエンタ 3908台
13台:日産セレナ 3460台
14位:トヨタ・プリウス 3194台
15位:スズキ・ソリオ 3159台
16位:トヨタ・ノア 3134台
17位:トヨタ・アクア 2968台
18位:トヨタ・パッソ 2698台
19位:ランドクルーザーW 2447台
20位:日産キックス 2302台
11位にモデルチェンジ受けたばかりのヴェゼルが入っているのが注目だ。が、それ以上にTOP20にホンダ・フィットが入っていないことに気づくだろう。
21位:スバル・インプレッサ 2291台
22位:ホンダ・ステップワゴン 2118台
23位:ホンダ・フィット 2032台
フィットはここにいた。
1月 10位 5889台
2月 12位 5782台
3月 10位 9231台
4月 17位 3359台
だからズルズル順位を落としているわけだ。
2020年1月からの販売台数の動きをグラフにしてみた。
日産ノートのFMCは20年12月だった。21年1月からはノートがフィットを逆転、以来、トップがヤリス、次がノート、そして(ちょっと離されて)フィットという図式が固まりつつある。
なぜフィットの販売が振るわないのか? ハイブリッドシステムの進化、シンプルでクリーンなデザイン、持ち前の使い勝手の良さなど、フィットの商品力は高い。しかし、どうにも思うように売れない。グリルレスのデザインが不評なのでは?という声もあるが、それだけが理由なのだろうか?
今度は同じホンダのフリードと比べてみよう。モデル末期を迎えつつあるフリードは、i-DCDの1モーター式ハイブリッドシステムを積むコンパクトミニバンだ。発売は2016年だ。フィットにクロスオーバーモデルのクロスターが設定されたこともあって、フリードの販売はずっとフィットより少なかったが、2021年に入ってからはフリードがフィットを逆転している。
それにしても、5月の2032台は驚きだ。半導体不足による減産も要因のひとつだが、早期のテコ入れが必要なレベルだろう。フィットの実力はけっして低くない。というより高い。新型ヴェゼルが好調な滑り出しているいま、フィットの商品改良にも注目したい。