マイクロ波化学は、三菱ケミカル及びその連結子会社である三菱ケミカルメタクリレーツと、PMMA(ポリメチルメタクリレート、 以下「アクリル樹脂」)のケミカルリサイクルの事業化に向け、2021年6月にマイクロ波化学・大阪事業所内に実証プラントを建設し、事業化に向けた実証試験を進める。
アクリル樹脂は優れた透明性・耐光性を持つプラスチック製品で、自動車のランプカバー、看板、水族館の水槽、塗料、建材などに幅広く用いられており、その世界需要は300万トンを超えている。また昨今では、飛沫感染防止用のアクリル樹脂板の需要が世界各地で増加している。
今般、マイクロ波化学の大阪事業所内に建設する実証プラントにおいては、同社のマイクロ波プラットフォーム技術および工業化知見を活用し、アクリル樹脂の分解に必要なエネルギーを化石資源ではなく電気由来のマイクロ波に代替したプロセスにする。これにより、製造工程での二酸化炭素排出量を、石化資源を原料とした従来品よりも70%以上削減できると見込んでおり、環境負荷低減に大いに貢献することが可能。また、従来法に比べて設備の小型化や安全性向上などが実現する。
これら技術の実証を進めるため、マイクロ波化学、三菱ケミカル及び三菱ケミカルメタクリレーツは、2021年6月完成を目処にマイクロ波化学・大阪事業所内に実証設備を建設することとした。三菱ケミカルでは、2024年の稼働を視野にアクリル樹脂のリサイクル設備の建設に向けた検討を本格化することとしており、マイクロ波化学も引き続き技術協力を行う。
なお、本プロセスによって製造されたMMA(メチルメタクリレート)およびそれを原料として製造されたアクリル樹脂は、通常品と同水準の性能を保つ。