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VB110サニーバン発見! 当時の空気を感じさせるヤレ具合がたまらない【富士見自動車博覧会】


旧車の楽しみ方は人それぞれ。古いルックスを裏切る速さを求める人もいれば、新車当時から生き続けた証を大事にする人もいる。どちらがいいという話ではなく、どちらにも同じように楽しさがあるということ。4月25日に開催された富士見自動車博覧会にも様々なスタイルの旧車が集まっていたが、今回は新車当時から一度も手直しされていない姿を留めた2代目サニーのバンを紹介しよう。

サニーのルーフを伸ばした商用車のバン。

今ではブランドも車名も無くなってしまったが、80年代までダットサン・サニーは大衆車の代名詞でもあった。長くトヨタ・カローラと販売台数を競うほど売れた車種でもあるが、今では覚えている人も少なくなってしまった。




けれど、1970年にフルモデルチェンジして2代目になったB110型にはピックアップトラックのサニートラックがあった。こちらは1971年に発売を開始した後、モデルチェンジすることなく1994年まで生産されたので、ご記憶の方も多いだろう。ところが、同じ商用車でバンがあったことは忘れられがち。平日は荷物を積む仕事の道具として、休日には荷物をおろして家族とドライブを楽しむ、なんてスタイルが1970年代までは主流だった。そんな個人商店主などに大人気だったのが、サニーバンなのだ。

クルマの前にグッズを並べてスワップミートも楽しまれていた。

広いラゲッジスペースを有効に活用する楽しさもある。

旧車イベントではクルマの前にグッズやパーツを並べてスワップミートを楽しむ光景が散見される。古いクルマだけでなく関連商品も趣味の対象になるのが国産旧車の魅力でもあるから、こうしたスタイルはある意味王道でもある。




富士見自動車博覧会でスワップミートを楽しまれていた髙名美樹さんもその一人で、愛車は1972年式ダットサン・サニーバンSDX。グッズを並べた姿があまりにもハマッていたので思わず声をかけてしまったのだが、よく見るとツボを抑えたカスタムが施されている。これは只者ではない! 話を聞けば、若い頃ホンダN360に乗っていたそうで、昔から部品やグッズを集めることも楽しまれてきた。それを売ることまで楽しんでしまうベテランだ。

純正のように見えるけれど、これも社外品なのだ!

こちらも社外品のフェンダーミラー。

まず普通に見たら純正と思ってしまうところだが、黒いスチールホイールも社外品。まだアルミホイールが一般的になる前の時代、スチールホイールを加工してワイドタイヤを履くのが流行した。このホイールはそんな時代、初めからワイドリムにして販売された品なのだ。純正だと5.00-12サイズのタイヤだったが、このホイールにより175/60R13タイヤを履くことができるようになっている。




フェンダーミラーも社外品。純正は平ミラーだったが、スポーティな乗用車のように見せる砲弾型ミラーへ変更するのがこの当時は流行した。このサニーバンにはその当時発売されていたファントムGTという製品が装着されている。これだけでもグッとスポーティに見えるから不思議だ。

サーファーに欠かせない装備だったルーフキャリア。

ルーフにも注目したい。70年代から80年代にかけてはサーフィンがブームだったこともあり、女性にモテるためサーファールックにすることも流行した。海になんて行かないのにルーフキャリアを装着して、絶えずサーフボードを固定した状態で街を走る「陸サーファー」なんてスタイルまで生まれたもの。こちらはその当時販売されていたアロハキャリアと呼ばれた製品で、これも当時らしい風情を醸し出している。

名機と呼ばれたA12型エンジンは純正のまま。

4速MTだったことが誇れる時代だったのだ。

2代目サニーといえば現在でもクラシックカーレースで速さを誇るクルマだし、搭載されたA型エンジンはTSレースで長く使用されたことからチューニングパーツが今でも豊富に揃う。そのためチューニングする人が多いわけだが、髙名さんは当時のままで維持されている。というのも、数年前に地元の中古車店でホコリをかぶった姿で置かれていた現車を発見したが、初めは売ってくれなかった。どうやら前オーナーが販売店に修理を依頼したものの、直すかどうかで相談していたらしい。その後しばらくして通りかかると、サニーに応談と書かれたプライスラグが掲げられた。




このタイミングを逃したら売れてしまうと考え、販売店に入ってみた。すると相談してきたのは髙名さんですでに3人目だった!

クーラーすらない室内だから扇風機で暑さをしのぐのだ。

運転席の座面が裂けているが、あえてそのままだ。

髙名さんより前に相談してきた人たちのキャンセル待ちになったものの、運も味方したようで平成7年に購入することができた。購入当時すでに23年落ちだったわけだが、奇跡的に塗装や装備などは新車時からのままだった。これは手を入れてはいけないと考え、エンジンを含め現在まで手直しすることなく乗り続けられているのだその理由。こうした楽しみ方ができるもの国産旧車ならではだろう。




古い商用車を維持するうえで問題になるのがNOx・PM法。大都市圏を対象に古い商用車を登録できないようにする法律がそれで、髙名さんは都内在住。でも幸運なことに購入時すでに5ナンバーの乗用車に登録変更されていた。そのため今でも維持していられるのだ。




当時のままで使うにはエアコンどころかクーラーすらないから快適性とはほど遠いのが旧車を敬遠してしまう理由になるが、扇風機を追加したりと工夫も見られた。見ているだけで朗らかな気持ちになれる旧車もあるのだ。

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