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空気の流れから理想的なエンジンの吸排気を読み解く


MFi vol.175では、エンジンの心臓部である「吸排気」において、空気の気持ちになってその役割と機能を考えてみることにしました。エンジン技術の歩みを止めるな!

 ガソリンエンジンは酸素を取り込み、ガソリンと混ぜて燃焼させて、その燃えかすを吐き出します。言ってみれば、呼吸器と同じです。つまり、空気を吸い込んで吐き出すというプロセスの中で内燃エンジンの燃焼は行なわれます。燃焼はほんの一瞬で、その前段階である「吸気」と、後段階の「排気」こそ、エンジンの性能を形づくる要素の大半があります。すなわち、エンジンの吸排気は、気体(空気)と液体(燃料)という流体の流れをどう制御するか、が大きな鍵を握ります。

現代のエンジンに採用されている効率向上のためのキーワードとは?

 CO2(二酸化炭素)排出規制がますます厳しくなるなか、自動車業界は、ICE(内燃エンジン)への投資を継続するべきか否かの判断に迷っています。しかし、エネルギーと資源を見れば、適材適所でICEを使いこなすことが必要なのは明白です。ひとつの解として見えてきたのが、電気モーターとの組み合わせを前提にしたものですが、いずれにしても厳格化した規制をクリアするためには、熱効率の向上はいまのエンジン開発における重要なテーマとなっています。そのなかで最近のエンジンを読み解くキーワードが、高タンブルポート、内部EGR、直噴、急速燃焼。これらの意味とその狙いをわかりやすく解説しています。

低温の空気はサラサラだが、 温度が上がると「粘る」

 気体の粘性。あまりなじみのない言葉です。液体は温度が上昇すると分子の運動が活発になり、サラサラな状態になります。ところが、気体はまったく逆の性格を持ち、温度が上がると粘っこくなる性質を持っています。空気という粘性流体を考えるにあたり、吸排気管の径、長さ、形状と、気体の温度、流量、速度がどのような影響を与えるのでしょうか?

吸気、筒内流動、排気……それぞれの基本理念と工夫

「空気をたくさん充填し、燃料としっかり混ぜて燃やし、損失を最小限に抑える」 理想的なエンジンの呼吸の仕方です。しかし、そこにはさまざまな弊害があり、理論的にはわかっていても、実現象を捉えることが難しいのが流体シミュレーションの分野で、まだまだ困難なことが多いと言われています。実際に燃焼を行なっているエンジン内の様子を見ることは、現在の技術を持ってしても不可能ですが、ここにきて可視化エンジンを使えば、燃焼1回、あるいは吸排気各1回といった短い時間内での計測が可能となってきました。




 ガソリンエンジンの熱効率50%超えの道筋を作った、内閣府が主導した産学官プロジェクトSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)では、開発したエンジン燃焼室解析ソフト「火神(HINOKA)」によって精密な解析ができるようになりました。そのHINOKAが捉えた吸排気の詳細は、まるで生き物のようです。特集のテーマである「ガスの気持ちになって、エンジンの呼吸における構造とその工夫」について解説しています。

理想の燃焼を追求する“気体”へのアプローチ

 空気流動を巧みに利用している最新エンジンの実例を紹介。まず最初に、ガソリン、ディーゼルそれぞれの課題を解決するために、先入観にとらわれず原理原則に従ってブレークスルーを実現した「マツダのSKYACTIVシリーズ」。次に、理論空燃比をはるかに超える領域まで混合気の高希釈化を進めながら、一般的なプラグ点火を用いて安定的な燃焼を実現した「スバルのCB18型エンジン」。そして最後に、量産エンジンへの実装を前提に、タンブル流を精密に作り込み熱効率50%を射程に捉えた「日産のe-POWER向け次世代燃焼技術“STARC”」を取り上げています。これらには、日本が世界に誇るエンジニアの叡智が結集しています。

Honda F1パワーユニットの開発

 巻頭企画として、2021年をもってF1からの撤退を発表したホンダのパワーユニットを紹介しています。最高出力が120kWに規定されているMGU-Kの出力を足すと、現在のF1パワーユニットは950ps前後の総合最高出力を発生しています。エンジン単体で800ps近い出力を発生していることになり、最大熱効率は現行規定が導入された2014年の段階ですでに40%を超えています。2015年からパワーユニットサプライヤーとして参戦を始めたホンダによる、F1パワーユニット開発の事例をまとめました。

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