元自動車メーカーの開発者であり、メカニズムに滅法詳しい自動車ジャーナリストの安藤眞さんが選んだ「最強のお買い得車」は、マツダCX-8、スズキ・ジムニー、ルノー・トゥインゴの3台。先代ジムニーを所有していた安藤さんだが、新型も機能を考えれば「安い!」としか言い様がないと称える。
TEXT●安藤眞(ANDO Makoto)
1台目:マツダCX-8|299万4200円-483万4500円
実車を見て価格当てクイズをしたら、ほとんどの人が高いほうに外しそうなのがマツダCX-8。堂々とした体躯や上品なエクステリアからは、スタート価格が300万円を切っているとは思えないだろう。
特に本革シートを装備するLパッケージは500万以上しそうに見えるが、2.5Lのガソリンエンジン仕様なら、4WDでも420万円少々、2.2Lクリーンディーゼル4WDでも約460万円だ。
ナッパレザー仕様のエクスクルーシブモードになると、ディーゼル4WDでほぼ500万円になってしまうが、表皮を触ってみれば納得の仕上がり。所有する満足度を考えれば、コストパフォーマンスは高いと言える。
2台目:スズキ・ジムニー|148万5000円-187万5500円
ジムニーより台数が出るハスラーのターボ4WDが約160万円〜175万円ということを考えると、ローレンジが付いてオフロード(路外)も走れるジムニーが180万円前後というのは、「安い!」としか言い様がない。
しかも並の軽自動車なら、5年も乗ったらリセールバリューは期待できないが、ジムニーならば、10年乗ってもそれなりの値段が付く。手放すときに戻ってくる分まで考えるなら、コスパは軽自動車最強なのではないか。
ちなみに、リセールバリュー込みならば、後継機種なく生産終了したS660が最強だと思うけど、すでに完売だそうです。
3台目:ルノー・トゥインゴ|181万5000円-213万5000円
スタート価格は181万5000円と、新車で手に入る輸入車としては最安なのがルノー・トゥインゴ。加えてミッドシップの後輪駆動と、コンパクトカーとして唯一無二のパッケージングを持つ。
一般ユーザーならAT(DCT)仕様を選ぶと思うが、それでも204万5000円と、国産コスパ王のスズキ・スイフトスポーツと同等だ。スイスポのほうが速いし、後席も広く融通が利くけれど、走りの楽しさならトゥインゴも負けていないし、最小回転半径4.3mという超絶小回り性能は、普段使いでも十分メリットが味わえる。特にフル転舵でバックすると、笑っちゃうほど小回りが利く。
メンテ費用は国産車より多めにかかるかも知れないけれど、リセールバリューで相殺可能だと思う。新社会人が自分の給料で買う1台目には、ピッタリなクルマではないかな。
『プロが選ぶ最強のお買い得車』は毎日更新です!
予算に限りがある庶民にとって、車選びの際にこだわりたい要素が「コストパフォーマンス」。つまり、その車がお買い得かどうか、ということ。ただ安ければいいというわけではありません。ポイントは「値段と性能が釣り合っているか」。だから、価格が安い軽自動車だからコスパがいいとは限りませんし、1000万円以上のスーパーカーだってその価格に見合う機能や魅力があればお買い得と言えます。
というわけで、自動車評論家・業界関係者といった「クルマのプロ」たちに、コストパフォーマンスが高い「お買い得」な新車を3台ずつ、毎日選んでいただきます。明日の更新もお楽しみに。