みなさんはシェアリングカー(カーシェア)を使ったことがおありだろうか。初めて使ってみた感想は「あっけないほどかんたん」だった。
社用車の数が減らされている弊社、その代わりカーシェアシステムを使用しろと総務からお達しがあった。ならばと今回、比較的遠方の出張で思い切って利用してみることにした。会社から現地まで車を走らせるよりも、近くまで新幹線で赴き、降車駅でカーシェアを使うというプランである。
とはいえ、カーシェアを使ったことがない。レンタカーは何度もあるから「窓口に行って予約した〇〇です」と言えばクルマを用意してくれる」と理解しているのだが、停めたままのクルマをどのようにして走行状態に持っていけるのか想像もつかない。というわけで総務に聞いてみた。
「リヤウインドウにカードをピッとやると鍵が開くからあとは普通に運転して」
わかるようなわからないような説明である。不安は募る。
クルマを解錠する
インターネットで予習をしようと思うが「これ!」というページがない。なぜだろう。総務の言う「カードさえ持っていれば大丈夫だから」という言葉だけを信じて、とにかくシェアリングカーが停めてあるところまで向かってみた。
確かに予約したクルマはそこにいる。しかしこのクルマをどうやって解錠するのか。「ピッとやる」というのは記憶にあって、フロントウィンドウにカメラらしきものがあったからカード裏の二次元コードをかざしてみるが、クルマはうんともすんとも言わない。ドアハンドルの解錠ボタンに仕掛けがあるのかと思い押してみるが、こちらも無反応。さて困った。
クルマの後方に回ってみると、リヤウインドウに「TOUCH」のステッカーが貼ってある。これか。
ピッとやるとガチャと鳴り、解錠された。そういや総務がそんなことを言っていた(早く思い出せ)。非接触式のカードにまったく見えないところに油断があった(言い訳)。
カギのありか
開いたのはいいがカギはどうするんだ——と思う間もなく、どこからともなく声が聞こえてくる。正しくは思い出せないのだが「カギはここ、エンジンをかけるときはブレーキを踏んで」みたいなメッセージが繰り返し、グローブボックスから聞こえてくる。
カギさえゲットしちまえばこっちのもんだ。エンジンをかけて——と思ったらセンターディスプレイに見慣れぬ画面が表示されている。おお、なるほど。説明書か。
室内は前述のとおりとてもきれい。下手な広報車よりきれい。これには驚いた。残っているゴミなんて皆無だし(上の写真の助手席側に収まる白いのは、おそらくタイムズカーシェア側が備えているポリ袋)、そこかしこに貼付され、さらには黄色いキーバイト君が叫ぶように禁煙徹底なので異臭もなし。シートやステアリングのベタつきもなし。運転席側のドアポケットには除菌用グッズが収められていた。
これがレンタカー車両ならわかる。使うたびにプロが清掃しているだろうから。しかしシェアリングカーである。基本的には前の人が使ったらそのまま(もしかするといまは時節柄使うたびに清掃しているのかもしれません)。民度の高さがうかがえる。
駐車場から出る
クルマは無事に動かせた。さて走り出そうと思うが、ここはタイムズの駐車場敷地内。どうやって敷地外に出るのか。
運転席側サンバイザーに魔法のカード、じゃなかった駐車パスカードが収められている。これで出ろということだろう。なお、この魔法のカードは「このクルマが動いているときにしか効力を発揮しない」という魔法がかけられているから、これを持ち出してフリーパスゲット!とはならないのでご注意を。それよりもまず、パスケースからカードを抜くとずっと「今だけ使えるぞ、早く戻せ」みたいなアナウンスが頭上からエンドレスで流れ続けるので、そんな気にもならないのが正直なところである。
クルマを返す
楽しかったドライブもそろそろ終わりの時間が近づいてきた(仕事だが)。すると、センターディスプレイに「もうすぐだからな」の警告(言い過ぎ)が現れた。これは親切だ。
カーシェアは、基本的に乗りっぱなしでいいシステムである。満タン返しも洗車も基本的には不要。ただし、利用時間内にこれらを施した心の広いドライバーには特典があり、具体的には料金の一部返納というかたちで今回は得られた。仕事柄「使ったクルマは給油洗車」というのが染み付いているので、警告は出ているものの給油を敢行した(大げさ)。そして、給油割引として440円を適用されている。
なお、ご参考に、今回の利用で走った距離は67kmほど、平均燃費は22km/ℓ。タイヤの銘柄はブリヂストン・エコピアEP150。指定圧前250/後220kPaのところ、右前輪だけが270kPaあったので調整して走行した。
借りたのはいちばん小さな「ベーシッククラス=スイフト」で、6時間コースで使用時間5時間40分、料金は4290円+安心補償サービス330円の合計額4620円だった。おそろしいことに、急加速回数3回/急減速回数0回といったレポートまで寄せられている。