東北大学大学院工学研究科の杉本諭教授と愛知製鋼は、加速化する電動車の普及拡大と資源問題に寄与するDy(ジスプロシウム)フリーNd(ネオジム)系異方性磁石粉末の高性能化に成功した。
これにより、従来比40%小型軽量化を実現するEV向け電動アクスルの更なる小型化(40→50%)および低コスト化が可能となり、電動化社会の早期実現に貢献する。なお本成果は、今年3月に開催の日本金属学会春期(第168 回)講演大会にて発表予定。
磁石粉末の製造プロセスと開発ポイント
1)DyフリーのNd系ボンド磁石(愛知製鋼商標「マグファイン」)の磁石粉末の製造プロセスである、合金と水素との反応を利用した複数の熱処理工程において、東北大学が高度解析技術に基づく知見を提供し、それを愛知製鋼が実証することで下記2点を共同開発
・ 水素解砕処理プロセスで、熱処理温度と圧力を制御しながら、粉末を多結晶状から単結晶状にする技術
・ d-HDDR 処理プロセスにおいて粉末内の結晶方位を揃える高配向度化技術
2)上記(1)により、高い保磁力を維持した状態で15%の高磁力化に成功
今後、本磁石粉末を用いたDy リーボンド磁石は、EV向け電動アクスルに加え、家電分野や自動車分野の補機モータなどにも利用展開できることから、CO2排出削減技術の一端を担い、スマート社会の早期実現に貢献していく。