「ディーゼルのパジェロに乗りたい」というファンの要望に応えるために開発したのが、2008年10月1日に国内に投入した三菱自動車の4M41型。旧世代エンジンをコモンレール化するなどして、国内の現行排ガス規制に適合。同時に欧州向けも新バージョンに切り替えた。
TEXT:世良耕太(SERA Kota)
既存エンジンをベースに現行の国内排ガス規制に対応したのが、直4・3.2ℓ縦置きの4M41型である。オリジナルは3代目パジェロがデビューした1999年に登場。分配型噴射ポンプだった噴射系をコモンレール化した。システムはデンソー製で、噴射圧は1800bar。ソレノイドインジェクターは0.16mm径6噴孔を持つ。
エンジン本体の改良は、スワールコントロールバルブの採用(低速時のスモーク低減)/ピストン形状変更(排ガス改善)/吸気ポート形状変更(高速高負荷時のスモーク改善+性能向上)/EGRクーラー多積層化(NOx低減)など。VGターボはIHI製。
後処理ではNOXトラップ触媒(基本特許はトヨタから購入)、NGK製SiC担体のDPFを取り付ける。PMは0.004g/kmとポスト新長期規制に適合する数値ながら、2200kg超の重量が災いしてNOX排出量は0.15g/kmに留まり、新長期規制対応車となっている。
開発は2006年末にスタート。限られた予算でいかに欧州向けディーゼルを国内規制に対応させるか、に腐心した様子がうかがえる。
■ 4M41
エンジンタイプ 直列4気筒DOHC+VGターボ
総排気量(cc) 3200
圧縮比 17
ボア×ストローク(mm) 98.5×105
最高出力(kW/rpm) 125/3800
最大トルク(Nm/rpm) 370/2000
燃料供給装置 コモンレール(ソレノイド式インジェクター:デンソー)
エミッションコントロール 新長期規制