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プロが実践!スクーターの駆動系セッティング。【どうやる? 何が変わる?ダイジェスト解説】|楽しいアプリオ08


4.5万円で購入した中古のJOGアプリオを楽しむ!のが当連載企画。シャシーダイナモによるパワーチェックで、購入時3.0HPだった後輪出力がマフラー交換で3.5HPにアップしていたことが判明。さらに他車用純正CDIでリミッターを解除し、最高速アップにも成功。


今回は駆動系にチューニングパーツを投入して、さらなる性能アップを狙うことに。

こちらが当企画の主役、ヤマハJOGアプリオ(2001年式・走行距離約1万3000km)。近所の方に4.5万円で譲ってもらいました。

駆動系チューニングって何だ?

今回の主役は駆動系。上手にセッティングを合わせないと、遅いバイクに仕上がってしまう。

「駆動系チューンで○×馬力アップ!?」と時々耳にすることもあるが、駆動系パーツの変更でエンジンパワーがアップすることは無い、ということは基本として頭に入れておきたい。




駆動系を固定して計測したエンジンパワー(私のJOGアプリオの場合は3.5HP)を活かすように駆動系をセッティングしていくというのが鉄則。駆動系の構成パーツ次第で、加速重視型や最高速重視型という具合に走行フィーリングを変更する→後輪に伝わるパワー(特性)が変わるので、シャシーダイナモでの数値が変化する。というわけである。




今回はJOGアプリオが最高出力3.5HPを発生する付近、6100〜6800rpmあたりで変速させるように駆動系をセッティングしていく。


以前、駆動系を固定してパワーチェックをしていたおかげで、パワーバンドがどのあたりの回転数なのか一目瞭然で、セッティングの正解を見つけ出すのに大活躍。


パワーチェックをしていない場合は、タコメーターを参考に、体感でパワーが盛り上がってくるエンジン回転数と、何回転で変速しているか(エンジン回転がほぼ一定で速度が上昇するところ)を探りあて、そこで変速するように構成パーツを1つずつ変更していく、という流れでセッティングを詰める。

まずはプーリーから決める。

ギヤ比をワイドレシオ化し、最高速アップを狙えるKN企画製ドライブプーリー。ハイスピードプーリーとも呼ばれる。

「駆動系の中で核となる部位はドライブプーリーです」とKN-YOKOHAMA佐々木店長。




「エンジンやマフラーに合わせて、どんなドライブプーリーを組むかを決定します。今回のJOGアプリオはエンジンがノーマル、マフラーもKN企画製のノーマルタイプなので、『駆動系キット・ヤマハ横型エンジン50cc系(とヤマハドライブフェイス・クローワッシャ付ノーマルタイプ【細軸】)』を組むことにしました。このドライブプーリーは変速特性が基本的にはノーマルに似ていて、特殊な形状ではなく且つ変速幅が増えるようなタイプ、というのが選んだ理由です。実際、ビギナーチューンのお客さんにもおすすめしていて、評判は上々です。ドライブプーリーを決定して試走した後に、ウエイトローラーやクラッチ、トルクカム、センタースプリングといったパーツを適宜に変更して、セッティングを詰めていきます」



駆動系チューンに着手!

KN企画・駆動系キット・ヤマハ横型エンジン50cc系(付属ウエイトローラー5.0g)……8,690円
KN企画・ヤマハドライブフェイス・クローワッシャ付ノーマルタイプ【細軸】……2090円
KN企画・トルクカム ヤマハ50ccスクーター系【RL-02】……5390円
KN企画・強化センタースプリング【YAMAHA/SUZUKI】黒1000回転UP……1309円
KN企画・ヤマハ系2枚クラッチアッセンブリー【純正タイプ】……7150円

走行結果:


 最高速:73km/h




ひと言コメント:


前回までのチューニング内容(マフラー交換+他車用CDIによるリミッターカット)で計測。加速力に不満ありだが、最高速は十分な結果。

●装着パーツ


・駆動系キット・ヤマハ横型エンジン50cc系(付属ウエイトローラー5.0g)


・ヤマハドライブフェイス・クローワッシャ付ノーマルタイプ【細軸】


・トルクカム ヤマハ50ccスクーター系【RL-02】


・強化センタースプリング【YAMAHA/SUZUKI】黒1000回転UP


・ヤマハ系2枚クラッチアッセンブリー【純正タイプ】




走行結果:


 最高速:71km/h


 最高回転数:8270rpm


 変速回転数:7100rpm




ひと言コメント:


アクセルちょい開けで6300rpm、めいっぱい開けると7500rpm越えて力がない。セッティングが合っておらず、本来のパワーを活かしきれていない状態。

さて、ここからセッティングが始まる。




駆動系パーツを組み替えて、走って、また組み替えて。を繰り返し、少しずつ理想の走りに近づけていく、駆動系セッティングはとっても地道な作業だ。インプレッション時に気に掛けておきたいポイントは次の部分。


走行中の駆動系の状態の判断にはエンジン回転数を把握することがマスト。タコメーターのない車両の場合は、社外品を用意して取り付けよう。

・最高速を把握する。


・エンジンの最高回転数を把握する。


・(遠心)クラッチが繋がる(バイクが動き始める)タイミングを把握する。


・駆動系が変速している時の回転数しているのか(エンジン回転数が一定のまま速度が上昇している領域)を把握する。


・走行中(平坦路、登坂路それぞれの場面で)、アクセル全閉からの再加速の良し悪しを確認する。

セッティングの手順は車体ごとに異なるためあくまでも参考程度に!ではあるが、私のアプリオの場合はザクっと解説すると以下のような手順となった。


(各駆動系パーツの役割と、変えたらどーなる?の解説は後日公開予定)

STEP01


・パワーバンドで変速させるため、ウエイトローラー(以下WR)を重くして変速回転数を下げる。


  ↓↓↓


STEP02


・加速は良くなったが、最高速が落ちているため、トルクカムをKN製(カム溝の角度が立っているタイプ)に変更。


  ↓↓↓


STEP03


・発進と中間加速がさらに改善したが、最高速はほぼ変わらず。トルクカム・センタースプリング・クラッチを最初の状態(ノーマルおよび補修品)に戻すことに。


  ↓↓↓


STEP04


・より2ストらしいビンッとした加速に。最高速はほぼ変わらずの72km/h。ハイギヤード化するためにプーリーボスを短いタイプに交換。変速回転が下がりすぎたので、WRを軽いタイプに変更することに。


  ↓↓↓


STEP05


・クラッチミート時のエンジン回転数が下がった。クラッチミート時のエンジン回転数を上げるためにクラッチスプリングを硬くした。


  ↓↓↓


STEP06


・坂道と平坦路など負荷の有無によって再加速にムラが出る。KN企画製トルクカムを再び組む。


  ↓↓↓


・スロットルの開け直しでの呼応性を良くするために、センタースプリングも硬くする。


  ↓↓↓


STEP07


・スロットルの開け直しでの反応が良くなったが、センタースプリングが少し硬すぎるためか、最高速側の伸びが鈍る。Vベルトを短くして対処する(短くなった分シムワッシャーも足しておく)。前のステップでのトルクカムの効果で変速回転数が高まったので、WRを重くする。


  ↓↓↓


STEP08


・一旦、ドライブ側、ドリブン側とも最初の状態に戻し、改めて試乗。30km /hからダラダラとエンジン回転が上昇し、それに応答するように速度も伸びていく。最高速はしっかり出るが、加速は鈍い。ドライブプーリー、ドライブフェイス、トルクカム、クラッチ、Vベルト(ロングタイプ)をKN製に。センタースプリングはノーマル補修の柔らかいタイプのままに。


  ↓↓↓


STEP09


・前出の鈍さは無くなり自然な加速に。この乗り味・セッティングメニューを基準に、加速重視型、最高速重視型など味付けしていく。ここでは、もう少し変速回転数をパワーバンドに寄せるためWRを軽くすることに。


  ↓↓↓


STEP10


・ストレスない加速力で、今日イチバンの乗り心地。発進から変速終了の50km /h付近まで、エンジン回転数はほぼ一定で◎! 登坂路では50km /hあたりでパワーダウンを感じるが、エンジンパワーが不足しているためで仕方なし。現状72km /hだった最高速のさらなる向上を求めて、Vベルトは少し短くすることに。


  ↓↓↓


STEP11


最高速が73.6km/hにアップ。ただし、発進、加速は一つ前の工程の勝ち。実用的な走りを重視し、Vベルトの長さを戻す(STEP10 の状態)ことにした。これで本日のセッティングは終了。

走行結果:


 最高速:72km/h


 最高回転数:8210rpm


 変速回転数:6600rpm




結論:


本来ならば最高速アップに効果を発揮するハイスピードプーリーへの交換だが、単体での装着は私のJOGアプリオでは効果が希薄。理由はノーマルエンジンゆえのパワー不足で、今までのギヤにせっかく6速、7速を追加してあげたのに、その領域の負荷が大きすぎて意味無しの結果に。とは言え、今後の排気量アップを予定しているので、それだけで最高速問題は解決するはずだし、ノーマル排気量のままでも加速面での恩恵は圧倒的! 最初に組まれていた純正プーリーに戻す、という選択は考えていない。ドリブン側もいい感じにセットアップされていて、アクセルの開け直しでもキビきび走り、普段使いの面では文句なしの仕上がりでした。

Before・After、パワーチェック

エンジン回転の推移を表したグラフ。このアプリオのパワーバンドは6100rpm〜6800rpm。赤線(チューニング前)は5700rpmで変速が始まり、速度上昇に呼応するようにエンジン回転も上がっていく。いつパワーバンドに入ったのか、変速終了したのかが体感しづらい。一方の青線(チューニング後)は、変速の終了する50km/hまでパワーバンドの6700rpm付近をキープしながら、速度を増しているので、実走のパワー感も「おいしいところを使えてる」印象。

チューニング前後で計測した後輪出力データ。縦軸が馬力、横軸が速度を表す。20〜40km/hの領域で、チューニング前の状態(赤線)と、KN製パーツを組んだチューニング後(青線)では出力特性が激変! シグナルダッシュから巡航速度に到達するまでのパワーが増し、実走行でも速くなった。ただし、チューニング前後ともに50km/h付近で一度パワー感は薄れるが、55km /hあたりからまた少しパワーは増す。このあたりもグラフと実走は似た印象だった。

ジャーナリストが乗ってみた/近田 茂

「急遽招集を受けての試乗のため、いつもの試験路を走ることはできなかった。しかし今回は劇的な変化が感じられた。


というのも駆動系に手が入れられた様で、アクセルを開けるとクラッチミート直後にエンジン回転数が約7000rpmへ上昇して速やかにダッシュ。 以前は5300rpmあたりで変速し始め、40km/hを過ぎると一段上の6400rpm当たりで加速が続行されるパターンだったが、発進と同時に7000rpm超で変速するように。KN企画製ドライブプーリーの組み込み前後では明らかに加速力は増したのだが、試乗後、オーナーである編集部山田さんは、『自分が乗るとあと300〜400rpm低く変速して、もっと速く走るんですけど』とのこと。実はスクーターは乗り手の体重でも変速回転が変化し、特にエンジンが軽い2ストの場合はそれが顕著。体重の軽い筆者の場合は、もう少し重いWRがあっていたようだ。


それにしても久しぶりの2ストゼロハンスクーターは、50ccのままでも乗り味は勇ましく、もはや買ってき当初の『20年落ちのスクーター』の面影はない。『次回はボアアップする』というので、今後の展開がますます楽しみな存在になってきたのである」(近田 茂)

ジャーナリストが乗ってみた/大屋雄一

「おっ、速いぞ!というのが偽らざる印象だ。このアプリオがライダーに〝速さ〟を感じさせている要素はいくつかあり、分かりやすいのは強化クラッチスプリングによる発進の変化だ。これのおかげで高回転でクラッチが繋がる様になり、発進からガツンと飛び出す。そして、その後に続く加速フィールは実に秀逸で、滑らかに速度を伸ばしつつも、その加速感は明らかに最新の4スト原付スクーターを上回る。さらに言えばパーシャルからのスロットル微開でもしっかりトルクの厚みが感じられる。10%を超えるような上り坂では途中から失速気味となるが、それでも維持できる速度は4ストよりも明確に高い。軽量高出力な2ストは小排気量ほど正義であるとあらためて実感した」(大屋雄一)

パワーチェックもバイクメンテもお任せあれ!

エムファクトリー :埼玉県越谷市川柳町1-2-17

バイクの販売、整備を手がける老舗のバイクショップ。ライディング時のバイクのホールド性を高めるタンクパッド「ストンプグリップ」の輸入販売元、今回のパワーチェックで使用したダイノスターの輸入販売元でもある。

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