中古車は世代が古く低年式なモデルほどお買い得かと言えばさにあらず。生産終了から年月が経つにつれ残存台数が減り、希少価値が上がることで相場が高騰することは珍しくない。
また本体価格が安かったとしても程度の良い個体が少ない、あるいは部品代が高いどころか一部の重要保安部品が生産終了していて入手困難なため維持そのものが困難、というケースも多々見られる。
そこで狙い目なのが、流通台数が多く故障や部品の心配も少ない、また燃費を含めた動力性能や安全性能の面でも大きく見劣りしないためコストパフォーマンス抜群な、現在新車販売されている世代よりも一つ前のモデルだ。
今回は、2013年10月に国内デビューしたマツダのCセグメントセダン&5ドアハッチバック「アクセラ」の三代目をご紹介しよう。
TEXT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●マツダ
九代41年続いたファミリアの後継モデルとして初代アクセラが誕生したのは2003年。その後2009年にデビューした二代目も、4ドアセダンおよび「スポーツ」のサブネームを冠する5ドアハッチバックの2種類を設定し、前衛的で上質かつスポーティな内外装を兼ね備えていた。
2013年10月に国内デビューした三代目アクセラもこの基本路線は踏襲しつつ、初代CX-5、三代目アテンザに続き、新世代技術群「SKYAKTIV-TECHNOLOGY」と「魂動(こどう)デザイン」、先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を全面的に採用。内外装と走りをより優雅かつ快適で躍動感溢れるものとし、プレミアムブランドのモデルにも引けを取らない質感を与えてきた。また、新世代のコネクテッド技術「MAZDA CONNECT」を初めて搭載したのも話題となった。
エンジンラインアップが多彩なのも三代目アクセラの大きな特徴で、デビュー当初は1.5Lおよび2.0Lのガソリンと2.2Lディーゼルターボ、そしてトヨタから「THS2」の供給を受けることで実現した2.0Lガソリンハイブリッドの4種類を設定。2016年7月のマイナーチェンジではさらに、1.5Lのディーゼルターボエンジンを追加している。
なお、二代目「スポーツ」に設定されていたホットバージョン「マツダスピードアクセラ」は廃止されたものの、2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載する「XD(クロスディー)」が実質的後継グレードに位置付けられ、専用の内外装やサスペンションが与えられている。
では、そんな三代目アクセラがどのように進化していったのか、モデルの変遷を以下に記す(価格はいずれも発表時点のもの(当時の税率における消費税込み))。
【2013年10月29日発表、11月21日以降順次発売】フルモデルチェンジ
エンジンは前述の通り、1.5Lおよび2.0Lのガソリンと2.2Lディーゼルターボ、2.0Lガソリンハイブリッドの4種類を設定する。グレード構成と価格は下記の通り。
【2014年1月29日発表、4月17日発売】追加モデル
「スポーツ」の2.0Lガソリン車に6速MT搭載車を追加した。
今回追加されたグレードの構成および価格(以後、消費税率8%適用)は下記の通り。
20S…226万8000円
20Sツーリング…237万6000円
20SツーリングLパッケージ…250万5600円
【2014年8月7日発表、9月1日発売】一部改良、追加モデル
【2014年10月30日発表、11月20日発売】一部改良
ハイブリッド-C…247万3200円
ハイブリッド-S…258万6600円
ハイブリッド-S Lパッケージ…281万3400円
【2015年8月27日発表、発売】一部改良、追加モデル
「スポーツ」および「セダン」のガソリン車、ディーゼル車を一部改良した。
車両後方の検知システムを刷新し、ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)とリア・クロス・トラフィックアラート(RCTA)を「15S」にメーカーオプション設定、「15Sツーリング」「20Sツーリング」「20SツーリングLパッケージ」「XD」に標準装備。アクティブ・ドライビング・ディスプレイの走行車線表示を、よりわかりやすいものに変更した。
また、1.5Lガソリン・6速AT・FF車の制御を改良し、JC08モード燃費でセダンは20.6km/L、スポーツは20.4km/Lを達成。そのほか、「15Sツーリング」に4WD車を追加している。
今回変更されたグレードの構成および価格は下記の通り。
【2015年12月17日発表、発売】特別仕様車
「セダン」に2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載し専用の内外装を備えた「XD」を設定した。FF車のみで、価格は6MT、6ATとも309万9600円。
【2016年7月14日発表、同日以降順次発売】マイナーチェンジ
内外装のデザインを一部変更して質感と操作性を高めたほか、新色の3コートメタリック色「マシーングレープレミアムメタリック」など9色のボディカラーを設定。2.2Lディーゼルターボ車に電動パーキングブレーキを採用した。
走りについては、ステアリング操作に応じてエンジントルクを制御し旋回時の操縦安定性を高める「G-ベクタリングコントロール」をハイブリッド車以外に実装した。
また、1.5Lディーゼルターボエンジン搭載車(FF車のみ)を「スポーツ」、2.2LディーゼルターボエンジンのFF車および4WD車を「スポーツ」と「セダン」に設定するとともに、いずれも燃料噴射と過給圧の制御を緻密化。静粛性を高める新技術も採用している。
先進安全装備については、近赤外線レーザーセンサーを単眼カメラに変更し、衝突被害軽減ブレーキの検知対象を車両のみから歩行者まで、作動速度域を従来の約4~30km/hから、車両検知で約4~80km/h、歩行者検知で10~80km/hまで拡大。さらに、交通標識認識システム(TSR)とアダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)を「15C」「15S」「15XD」「HYBRID-C」以外に標準装備した。
なお、「スポーツ」から2.0Lガソリン車が廃止されたほか、グレード名称が一部変更されている。グレード構成および価格は下記の通り。
【2017年8月24日発表、9月21日発売】一部改良、追加モデル
アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート、AT誤発進抑制制御[前進時](AT車のみ)、車線逸脱警報システム(LDWS)を全車標準装備し、「15C」「15S」「15XD」「ハイブリッド-C」にハイ・ビーム・コントロールシステム(HBC)、「プロアクティブ」および「Lパッケージ」系の全グレードにアダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)を標準装備することで、経済産業省主導で普及を進める安全運転サポート車「サポカーS・ワイド」に適合させた。
さらに、スマート・シティ・ブレーキ・サポート[後退時](SCBS R)、AT誤発進抑制制御[後退時](AT車のみ)、ブラインド・スポット・モニタリング(BSM)、リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)、リアパーキングセンサー(センター/コーナー)も全車標準装備。360°ビュー・モニターを「15C」と「ハイブリッド-C」を除く全車にメーカーオプション設定した。
そのほか、3コートメタリックのボディカラー「ソウルレッドプレミアムメタリック」を「ソウルレッドクリスタルメタリック」に変更。1.5Lディーゼルターボエンジン搭載車を「セダン」、本革シートや運転席パワーシートなどを標準装備する「Lパッケージ」を1.5Lガソリン車にも追加設定している。
グレード構成および価格は下記の通り。
■マツダ・アクセラスポーツXD(FF)*2013年10月発表モデル
全長×全幅×全高:4460×1795×1470mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1430kg
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
総排気量:2188cc
最高出力:129kW(175ps)/4500rpm
最大トルク:420Nm/2000rpm
トランスミッション:6速MT
サスペンション形式 前/後:ストラット/マルチリンク
ブレーキ 前/後:ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 前後:215/45R18 89W
乗車定員:5名
車両価格(当時):298万2000円