いすゞ自動車株式会社(以下「いすゞ」)は、PPV(Passenger Pickup Vehicle)である「mu-X」をフルモデルチェンジし、11月9日よりタイ国内を皮切りに世界各国へ順次販売していくと発表した。
「mu-X」は、昨年フルモデルチェンジしたピックアップ・トラック「いすゞD-MAX(以下「D-MAX」)」の派生車として、フレーム付きPPVならではの悪路走破性と耐久性、牽引性能が評価され、タイを中心としてASEAN地域、オーストラリアなど、世界60ヵ国以上で多くのユーザーに支持されている。これまでに「mu-X」は、タイ国内において、2019年度から2年連続タイ カーオブザイヤーベストPPVを受賞、さらに2020年度PPVプロダクトイノベーション賞を受賞するなど、高い評価を得ている。
今回のフルモデルチェンジでは、‘Robust and Exclusive’を開発コンセプトとし、いすゞの強みである耐久信頼性、燃費性能、安全性能を確保しつつ、PPVに求められる快適性、高級感を高め、ユーザーに所有する喜びを味わってもらえる車を目指した。
開発方針
無駄のない合理的なパッケージで居住空間とスタイルを両立し、定評のあった室内空間の広さを更に向上した。樹脂リフトゲートの採用や高張力鋼板の採用拡大、合理的な結構で軽量かつ強固な車体構造を実現させている。
「D-MAX」譲りの耐久信頼性や燃費性能、安全性能、牽引性能に加え、室内騒音の改善と操縦安定性、および乗り心地の向上を図った。
内装質感向上およびシートの乗り心地改善で、居住スペースとあわせ、快適な空間を実現した。使い勝手を向上させるために、電動パーキングブレーキ、電動リフトゲート等の新装置を採用した。また20インチのタイヤをオプション設定した。
スタイル
ユーザーに所有する喜びと誇り、どこまでも走り続けたいと思う高揚感を感じていただける、堅牢感と上級感を兼ね備えた、フレーム付きPPVならではの存在感を表現した。
‘Emotional and Solid’をコンセプトに、足回りの力強さを強調したボディと、のびやかで流麗なキャビンで構成し、スポーティーで堂々とした佇まいを持つスタイルとした。フロントフェイスはBi-LEDプロジェクターを採用し、鋭い印象のヘッドランプと緻密な造形を施したフロントグリルにより、洗練された上級感を表現した。リアエンドは、シャープな造形と細部まで造り込んだテールランプにより、先進感のあるデザインとした。
‘Solid and Elegant’をコンセプトに、インストルメントパネルは、中央に配置された大型ディスプレイを跨ぎ、左右へ伸びる抑揚のある造形とセンタークラスターからフロアコンソールまでの連続感のある造形で構成し、PPVらしい力強さと上級感を両立したデザインとした。メーターやスイッチなどの細部の造形に加え、加飾素材の組み合わせなど内装の質感にもこだわり、より上質な室内空間を実現した。
変更概要
4×4車には、路面状況に応じて最適なトラクションを得られるよう、トラクションコントロール(TCS)に2種類の制御モードを設定した。通常のノーマルモードに加え、ラフテレインモードを選択することで多様な路面状況への対応を可能とし、特に、滑りやすい路面での走破性向上を実現した。
5リンクリヤサスペンションは、主にラテラルリンクの位置を見直すことでロールセンターを上げるとともに、スタビライザーの有効幅を広げて効率を上げることで、ロール剛性が大幅に向上した。また「D-MAX」で開発したフロントサスペンションと合わせ、操縦安定性、乗り心地の改善を実現した。
リヤブレーキには、モーターオンキャリパー式電動パーキングブレーキ付のディスクブレーキを全車標準設定とした。高い制動安定性を確保しつつ、電動パーキングブレーキのオート機能による利便性の向上を実現した。
クロスメンバーの配置を最適化し、ねじり剛性の向上とともに軽量化を実現した。リアエンドクロスメンバーをバンパービームとして活用することで、軽衝突時における車体後部の修理費低減を図った。
タンク容量を65リットルから80リットルに拡大し、航続距離の延長を図った。
ボディ後半部の各ピラーを閉断面の環状構造とし、それぞれの部品間の結合を強化することで、ボディの曲げ剛性およびねじり剛性向上、また衝突時の荷重伝達をコントロールすることで衝撃を分散・吸収し、乗員の生存空間を確保した。
980メガパスカルの高張力鋼板を採用することで、高剛性高強度と軽量化の両立を図った。
キャブマウンティング取付け部の動剛性向上により、固体伝播を起因とするこもり音の低減を実現した。またNV(騒音・振動)性能向上のため各ピラー内に発泡材を設置しノイズの侵入を抑制した。
樹脂リフトゲートの採用で軽量化とシャープなリアビューの実現に貢献。またパワーリフトゲートをオプションで設定し、使い勝手を向上させた。
インストルメントパネルは、デザインの意図を実現すべく工法、素材を選定、PPVらしい上質感を実現した。
セカンドシートは、形状の最適化により快適な乗り心地を実現し、スライド式カップホルダーの採用や各操作系の改善により、利便性の向上を図った。
サードシートは、リクライニング機構を採用するとともに足元スペースを拡大し、定評のあった居住性をさらに向上させた。
センターコンソールは、電動パーキングブレーキの採用でハンドブレーキレバーを無くし、使い勝手を向上させた。
アンビエントライト追加により、高級感のある室内空間を演出した。
主要諸元:タイ向け 4×4 AT 4JJ3車型
全長(mm):4850
全幅(mm):1870
全高(mm):1875
ホイールベース(mm):2855
トレッド(前/後)(mm):1570
最小回転半径(m):5.7
タイヤ:265/50R20
【エンジン】
排気量(cc):2999
出力(kW/rpm):140/3600
トルク(Nm/rpm):450/1600-2600
トランスミッション:6AT
空車重量(kg):2155
CO2排出量(g):194