先日国内リリースされたばかりのNinja ZX-25Rにとって、気になる存在が国内仕様より一割以上パワフルなインドネシア本国モデルである。ラム圧加圧時には51psを発揮する。おそらく国内で一般に流通することはないだろうが、じつは並行輸入車がレンタルバイクとして借りられる。モーターファンBIKES取材班は、取り扱いを開始したばかりの「和光2りんかん」に出向き試乗してみた。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●和光2りんかん
カワサキ・Ninja ZX-25R(インドネシア仕様)
今回の市場は、Ninja ZX-25Rの並行輸入販売に関する報告ではない。が、誰でも気軽に乗れるレンタルバイクとして、インドネシア本国仕様、つまり50psのフルパワー仕様の貸し出しが始まったという、ちょっとした朗報なわけである。
取材班が訪れたのは、埼玉県和光市にある「和光2りんかん」。ZX-25Rは“P-4クラス”に属しレンタル料は4時間利用で12,900円。24時間なら17,400円となる。念のため説明しておくと、国内発売されているZX-25Rはエンジンの最高出力が45ps。一方本国のフルパワー仕様は50psを発揮している。この差が如何なるものなのか!?バイク好きならかなり興味津々なのである。
果たしてその違いは何処の何によるものなのだろうか。
インドネシア本国のカワサキ・ホームページにある公式データと比較しても、残念ながら詳細はわからない。実際仕向け地の違いこそあれ、基本的に両車は共通だからである。違っているのはパワーとトルク。そして二次減速比に明確な違いがある。
情報量は限られているが、目の当たりにした日本仕様、インドネシア仕様の実車と、伝聞話や推測も含めて両車の違いを考察してみた。
ZX-25Rは電子スロットルが採用され、メーカーは制御によってエンジンの出力特性をある程度自由に設定(設計)することができる事は理解できるだろう。要はECUの中に書き込まれたプログラミング内容に違いがあることは間違いなく、おそらくはこれが日本仕様とインドネシア仕様との決定的な違いの要因になっている。もちろん吸排気系のチューニングもこれに伴い、双方それぞれに適切な物が用意されているとみるのが正解だと思う。
外観からの変更箇所はデカールやコーションラベル程度しか見当たらないが、カウル左内側を通るラムエアダクトが変更されて空気の導入流量を増やしているもよう。逆に言うと日本仕様は必要に合わせて流量を減らす(恐らく流速は落とさない)方向でセッティングされたとも言える。
さらには4連スロットルボディからエアクリーナーボックスに顔を出すエアファンネル形状も異なっているらしい。そしてマフラーも内部構造が見直されていると思われる。
そもそもの開発はフルパワー仕様がメインに考えられる。その上で仕向け地向けのニーズやレギュレーションに合わせるのが常套手段。それもできるだけ手を加える箇所は少なく考えられているのが普通である。
したがって、例えばバルブの開閉タイミングやリフト量に手が加えられる事は無く、メカ部分は全て共通。吸排気系とECUのセッティングが異なり、仕向け地に合わせた最適チューニングが施されているのである。
そして発揮されるピークパワーやトルク、目標とする動力性能に合わせてギヤ比も調節され、ドリブンギヤに48丁が採用された。1次減速比や6速ミッションは共通。総減速比でフルパワー仕様はやや高めの設定となっており、エンジンが同じ回転数まで回り切ったとすれば、最高速性能は日本仕様よりもおよそ4%向上する。最高速度は190km/hに手が届くレベルが期待できそうだ。
以前ZX-25Rのプロモーションビデオシーンから推察して最高速度は189km/hあたりではないかと推測記事を書いたかが、この映像に登場したのがフルパワー仕様だったとすると、ポテンシャルはまさにそのレベルにあると考えられるのである。
話の物種に一度試乗してみると良いネ!
足つき性チェック(身長168cm)
ディテール解説
◼️主要諸元◼️
型式:2BK-ZX250E
全長×全幅×全高:1,980mm×750mm×1,110mm
軸間距離:1,380mm
最低地上高:125mm
シート高:785mm
キャスター/トレール:24.2°/99mm
エンジン種類/弁方式:水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ
総排気量:249.8cm³
内径×行程:50.0mm×31.8mm
圧縮比:11.5:1
最高出力:36.8kW(50PS)/15,500rpm(ラムエア加圧時37.5kW(51PS)/15.500rpm)
最大トルク:22.9N・m(2.3kgf・m)/14,500rpm
始動方式:セルフスターター
点火方式:バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式:圧送式ウェットサンプ
エンジンオイル容量:2.9L
燃料供給方式:フューエルインジェクション(φ30mm×4)
トランスミッション形式:常噛6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ:
1速…2.928(41/14)
2速…2.055(37/18)
3速…1.619(34/21)
4速…1.333(32/24)
5速…1.153(30/26)
6速…1.037(28/27)
一次減速比/二次減速比:2.900(87/30)/ 3.429(48/14)
フレーム形式:トレリス
懸架方式(前/後):テレスコピック(倒立・インナーチューブ径φ37mm)/スイングアーム(ホリゾンタルバックリンク)
ホイールトラベル(前/後):120mm/116mm
タイヤサイズ(前/後):110/70R-17M/C (54H)/ 150/60R-17M/C (66H)
ホイールサイズ(前/後):17M/C×MT3.50/ 17M/C×MT4.50
ブレーキ形式(前/後):シングルディスクφ310mm /シングルディスクφ220mm
ステアリングアングル(左/右):35°/ 35°
車両重量:180kg
使用燃料無鉛:プレミアムガソリン
燃料タンク容量:15L
乗車定員:2名
最小回転半径:2.6m
⚫️試乗後の一言!