
「金利が安い金融機関ランキング」など、インターネットには住宅ローンに関する情報があふれています。しかし、金利の低さだけで住宅ローンを選ぶのはとても危険。ローンは数十年単位の契約だからこそ、最初の選択がその後の生活を大きく左右します。
本記事では、実際の成功・失敗事例をもとに、後悔しない住宅ローン選びのポイントをわかりやすく解説します。
住宅ローン選びの落とし穴とは?
住宅ローンは、人生で最も高額な買い物とされる「マイホーム購入」に欠かせない存在です。しかし、「金利が何%か」ばかりに注目してしまうと、大きな落とし穴にはまってしまう可能性があります。なぜなら住宅ローンは、返済期間中のライフプラン全体に影響を及ぼす長期契約だからです。
インターネットには「住宅ローン金利比較ランキング」などの情報があふれていますが、金利の数字だけで選ぶと、保険内容や手数料といった見えにくいコストを見落としがちです。また、金融機関や不動産会社から「審査に通りましたよ」と言われると、安心して契約してしまう人も少なくありません。
実際、こうした判断でローンを選んだ結果、将来の出費や生活の変化に対応できずに後悔するケースが多く見受けられます。
「安いから」で選ぶ危険性
多くの人が最初に気にするのが「金利の安さ」です。もちろん金利は住宅ローンを選ぶうえで重要な要素ですが、それだけを基準に住宅ローンを選んでしまうと、後々思わぬ出費が発生することもあります。
例えば、団体信用生命保険(団信)の内容です。団信は、住宅ローン契約者に万が一のことがあった場合等にローン残高がゼロになる、重要な保険ですが、補償内容は金融機関によって大きく異なります。ある金融機関では「金利が0.3%安い」一方で、病気時の保障が十分ではなく、子どもが生まれたタイミングで別途保険に加入しなければならなかった、というケースもあります。
また、繰り上げ返済の手数料や、一部返済時の柔軟性など、見えにくい条件が不利な場合もあります。つまり、住宅ローンは「金利の安さ」より「トータルコスト」で見るべきなのです。安さだけにとらわれると、将来的に余計なコストを支払うことになりかねません。
「審査に通ったから」で選ぶ危険性
住宅ローンの審査に通ると、「ああ、これで安心」と思ってしまいがちです。しかし、通ったからといって「自分にとって最適なローン」であるとは限りません。
不動産会社などから「Sさんならこの金額まで借りられますよ」と言われ、特に比較検討もせずに契約してしまうケースは非常に多くあります。ですが、審査に通るかどうかは「貸す側の論理」であって、「無理なく返せるかどうか」は別問題です。たとえば、子どもが生まれたことで生活費が増え、想定以上に家計が苦しくなり、返済が困難になるという事例もあります。
そもそも不動産業者が提示する返済比率は「額面年収ベース」であり、手取り収入ベースで考えないと実際の負担感を正しく把握できません。大切なのは「審査に通ったから」ではなく、「無理なく返せるかどうか」を基準に判断することが大切です。
住宅ローン選びの成功・失敗例
住宅ローンは、一見すると「どれを選んでも大差ない」と思われがちですが、選び方ひとつで将来の安心感が大きく変わってきます。ここでは、実際によくある事例をもとに、失敗例と成功例を紹介します。
成功事例 固定金利を選んで安心したHさん
Hさんは、当初変動金利を選ぼうか迷っていましたが、金利上昇のリスクを考えて固定金利を選択しました。結果的にその後金利が上がりましたが、Hさんは返済額が一定のままで済み、安心して家計管理ができたとのことです。Hさんのように、「将来のリスクをどう考えるか」で金利タイプを選ぶことが大切です。
成功事例:金融機関を吟味して選んだKさん
Kさんは複数の金融機関に審査を申し込み、通過した中から金利・団信・繰上げ返済手数料などを総合的に比較。最終的に、長期的に安心して返済できるプランを選ぶことができました。Kさんのように、「金利+α」の視点で総合判断することが、後悔しない住宅ローン選びの鍵です。
失敗事例 ペアローンでトラブルを経験したIさん

Iさん夫妻は、借入額を増やすためにペアローンを利用。ところが数年後に離婚することになり、どちらが家を引き継ぐかで揉めることに。さらに、双方の債務が残った状態で売却する必要が生じ、大きな損失が出てしまいました。ペアローンは収入面では有利でも、将来のライフイベントに柔軟に対応できるかが重要です。
失敗事例:金利の安さで選んで後悔したOさん
Oさんは、「ネット銀行の金利が一番安かった」という理由だけで住宅ローンを契約。しかし、団体信用生命保険の保障が最低限だったことに後から気づき、子どもが生まれた後に別途保険に加入することになりました。結局、コストがかさみ、トータルでは損をしてしまいました。金利以外の見えないコストを把握できていなかった例です。
失敗事例:審査に通った金融機関にして破綻したSさん
Sさんは、不動産会社の紹介で「この金額まで借りられますよ」と言われ、そのまま審査に通った金融機関で契約。ところが出産をきっかけに家計が苦しくなると同時に住宅ローンの支払いが困難になり、自宅を売却する結果になってしまいました。「借りられる額」=「返せる額」ではないという典型的な失敗例です。
住宅ローン選びで失敗しないためのポイント
では、具体的にどのような視点で住宅ローンを選べば失敗を避けられるのでしょうか?
以下に重要なポイントをまとめます。
固定vs変動の選び方
将来の金利上昇リスクをどう捉えるかが鍵です。短期的な金利の低さに惹かれて変動を選ぶと、予想外の負担増になる可能性も。金利タイプは「金利水準」より「ライフスタイルやリスクに対する考え方が自分に合うか」で選ぶべきです。
これからは固定・変動も大切ですが、何より「返済額」で考えることが大切です。

返済比率は手取りで考える
不動産会社で提案される返済比率は額面で計算されています。例えば年収500万円の人ですと、住宅ローンは年収の35%と言われているので、最大月146,000円までは可能となります。ところが、この金額は手取りで見ると44%となります。手取り額から計算して無理のない返済金額を検討することが大切です。

ペアローンを組む前に考えておくべきこと
ペアローンを組むときには、離婚時に家を手放すときのデメリットも頭にいれておくことが重要です。また、ペアローンにすることで借入可能額を上げているケースもあります。そうした場合は、万が一どちらかの収入状況が変動した時でも支払い続けられるかどうかを試算した上で検討するべきです、
まとめ
住宅ローン選びで後悔する人の多くは、「金利が安い」「審査に通った」といった表面的な理由だけで決断してしまっています。しかし、住宅ローンは今後何十年も続く長期の契約です。金利だけに注目するのではなく、保険の内容や将来のライフイベント、返済の柔軟性など、総合的な視点で選ぶことが何より大切です。
これから住宅ローンを選ぶ方は、今回紹介したポイントを参考に、「借りられる金額」ではなく「無理なく返せる金額」を基準に、後悔のない選択をしていきましょう。