![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_main10016821_20201017222448000000.jpeg)
アウディのCセグメントSUV、Q3が第二世代に以降した。新型は「Q3」とクーペスタイルの「Q3スポーツバック」の二本立てだ。価格はQ3が438万円〜543万円、Q3スポーツバックが452万円〜563万円だ。新型Q3の完成度はいかに?
TEXT &PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701558_202010172225230000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701559_202010172224500000001.jpeg)
アウディQ3が初代のデビューから8年を経てモデルチェンジし、第2世代に移行した。新型Q3の特徴は、正統派SUVの「Q3」に加え、クーペスタイルの「Q3スポーツバック」を設定したことだ。アウディジャパンのマーケティング担当者は、「マーケットシェアを獲りたいから」と、スポーツバックをラインアップに加えた理由をストレートに説明した。昨今の売れ線であることは確かである。
国内でターゲットにする層は、Q3が20代後半〜40代のファミリー(共働きで小学生以下の子供あり)。クルマは子供の送り迎えや家族での遠出に使う。Q3スポーツバックも20代後半〜40代をターゲットにすることに変わりはないが、独身、あるいは既婚であっても子供はなく、共働き層を想定している。クルマの使い方は買い物や遠出だ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701561_202010172234000000001.jpg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701562_202010172226580000001.jpeg)
(ターゲット層からは外れまくっているが)筆者がどっちを選択するかと問われれば、スポーティなスポーツバックに傾いている。そうなった場合に気になるのは、後席の居住性だろう(主に運転席に座るにしても)。新型Q3の全長×全幅×全高は4490×1840×1610mmだ。Q3スポーツバックの全長と全幅はQ3と同じで、全高は45mm低く1565mmである。ついでに記しておくと、ホイールベースは先代比で75mm長くなり、2680mmだ。ホイールベースの延長にともなって全長も伸びており、100mm近く長くなっている(4490〜4520mm)。それでも、A3セダン並みであり、大きくはない。
後席の座面〜ルーフ間の距離はQ3の976mmに対し、Q3スポーツバックは928mmで、48mm短い。といってもA3セダン(924mm)と同等だ。身長184cmの筆者が実際に後席に乗り込んで確かめてみたが、寸法的にも感覚的にも取り立てて不満を漏らしたくなるようなレベルではなかった。筆者が運転席に座ってドライビングポジションをとり、後席に座った場合、ひざ前には相応のスペースが残る(Q3も同様)。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701564_202010172234000000001.jpg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701565_202010172234100000001.jpg)
アウディの「Q」シリーズに共通する八角形(オクタゴン)のグリルを採用しているのは、Q3/Q3スポーツバックで共通だ(「A」系は六角形)。ただし、Q3が格子状のグリルを採用するのに対し、Q3スポーツバックはハニカム状にしてスポーティに仕立て、Q3との差別化を図っている。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701567_202010172235390000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701568_202010172236300000001.jpeg)
ヘッドライトの光源はLEDが標準だ。フロントのターンシグナルはデイタイムランニングライトとの切り替え式で、リヤ(こちらもLED)は光が流れるシーケンシャル式を採用している。乗り手にその気がなくても、「最新のクルマ」であることを周囲にアピールする仕掛けである。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701571_202010172236540000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701572_202010172237530000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701572_202010172237530000002.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701573_202010172238070000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701575_202010172238340000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701576_202010172238530000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701576_202010172238530000002.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701577_202010172239140000001.jpeg)
ドアを閉めた際の、密閉度の高さを感じさせる重厚な音は、「さすがプレミアムブランド」と感心した。フロントだけでなく、リヤドアが閉まる際の音もいい。Q3/Q3スポーツバックのオーナーは、ドアを開け閉めするたびに「いいクルマを買った」と感慨にふけることになるだろう。ラゲッジスペースの容量は先代比で70ℓ拡大し、通常時で530ℓの容量がある。広さは充分だと感じた。電動開閉式のリヤゲートはセットオプション(26万円)の設定だ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701580_202010172245460000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701581_202010172245580000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701583_202010172246340000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701584_202010172246540000001.jpeg)
室内もアウディの上位モデルから受け継いだ「新しさ」にあふれている。ステアリングホイールの奥にあるメーターはフル液晶だ。ブラックアウトされたセンター部には、タッチスクリーンが備わっている。インストルメントパネル、ダッシュボード、センターコンソールにシートの仕立て、シフトレバーまわりやスイッチの並びなど、部分的に目を凝らしても質が高いし、室内全体の雰囲気は上質だ。夜はアンビエントライトが灯るのだが、適度に控え目で、シックなQ3/Q3スポーツバックの室内と見事に調和していると感じた。いいムードの作り方が上手だ。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701587_202010172248360000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701589_202010172249340000001.jpeg)
Q3/Q3スポーツバックとも、エンジンはガソリン1機種、ディーゼル1機種の設定である。ガソリンは1.5ℓ直4直噴ターボ(150ps/250Nm)で、気筒休止機構付き。ディーゼルは2.0ℓ直4(150ps/340Nm)だ。組み合わせるトランスミッションはどちらも7速DCTで、どちらもアイドリングストップ機構が備わっている。ガソリンエンジンは2WD(FF)との組み合わせ、ディーゼルエンジンは4WDだ。
新しさや上質さにさんざん感心してプッシュスタートのボタンを押し、エンジンをスタートさせる。その時点で期待値が高くなってしまっているのか、ガソリンエンジンでさえ、エンジン音の主張がちょっと強めと感じた。さほど急ではないものの、アップダウンのある山道を走ったせいでそう感じたのかもしれない。ガソリンエンジンを積んだ試乗車のQ3スポーツバックは車重が1530kgだったが、力不足な印象は持たなかった。市街地を淡々と走るような状況では、エンジン音の存在を強き意識せずに走れるのかもしれない。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701592_202010172254040000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701592_202010172254040000002.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701593_202010172256290000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701593_202010172256290000002.jpeg)
ディーゼルはQ3で乗った。そもそもガソリンエンジンより重量面でハンデを負うし、クワトロ(4WD)なので後輪への動力伝達機構が付加されて、車重は1700kgに達する。しかし、トルクが太いおかげで、重量を意識することはない。いかにもディーゼルらしいノイズが容赦なく耳に届くのは、ガソリンエンジン仕様と同様、山道で動き回ったことを差し引いて評価すべきだろうか。エンジンが軽快に回ることは確かで、気持ちいいドライブが楽しめた。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701595_202010172257400000001.jpeg)
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701596_202010172258120000001.jpeg)
落ち着きのあるQ3か、スポーティなQ3スポーツバックか。ガソリン(2WD)かディーゼル(4WD)か。Q3/Q3スポーツバックにターゲットを定めた途端、悩ましい選択が待ち構えている。しかしどの選択に落ち着いても、「いいクルマを買った」感を覚えるのは間違いない。
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701599_202010172258570000001.jpeg)
アウディQ3 35 TDI quattro S line
全長×全幅×全高:4595mm×1840mm×1610mm
ホイールベース:2680mm
車重:1700kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rウィッシュボーン式
エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
エンジン型式:DFC(EA288)
排気量:1968cc
ボア×ストローク:81.0mm×95.5mm
圧縮比:16.2
最高出力:150ps(110kW)/3500-4000rpm
最大トルク:340Nm/1750-3000rpm
過給機: ターボチャージャー
燃料供給:DI
使用燃料:軽油
燃料タンク容量:63ℓ
駆動方式:フルタイムAWD
トランスミッション:7速DCT
WLTCモード燃費:15.4km/ℓ
市街地モード11.9km/ℓ
郊外モード15.2km/ℓ
高速道路モード17.7km/ℓ
車両価格○543万円
![](https://motor-fan.jp/images/articles/10016821/big_3701602_202010172259460000001.jpeg)
アウディQ3 Sportback 35 TFSI S line
全長×全幅×全高:4520mm×1840mm×1565mm
ホイールベース:2680mm
車重:1530kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式 Rウィッシュボーン式
エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
エンジン型式:DPC(EA211)
排気量:1497cc
ボア×ストローク:74.5mm×85.9mm
圧縮比:10.5
最高出力:150ps(110kW)/5000-6000rpm
最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
過給機: ターボチャージャー
燃料供給:DI
使用燃料:ハイオク
燃料タンク容量:60ℓ
駆動方式:FF
トランスミッション:7速DCT
WLTCモード燃費:14.3km/ℓ
市街地モード11.1km/ℓ
郊外モード14.3km/ℓ
高速道路モード16.2km/ℓ
車両価格○516万円