9月18日に新発売されたCBR250RR。カラーリング変更を受けたマイナーチェンジモデルだが、デビューから約3年半を経て、エンジン出力の向上を始め大きな熟成進化で商品力を高めている。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
取材協力●株式会社 ホンダモーターサイクルジャパン
ホンダ・CBR250RR.......821,700円
『直感、体感、新世代“RR”(ダブルアール)』としてデビユーしたのは2017年4月の事。当初の年間販売計画は3,500台。新色追加と1度のカラーリング変更を経て、今回2020年秋のマイナーチェンジでは、エンジンにも手が加えられ出力を向上。クラッチもアシストスリッパー付きに一新された。オプションながらクィックシフターも用意。なかなか力の入った進化熟成ぶりを披露している。
しかも本体価格は据え置かれており、商品力は一気に向上した。年間販売計画は4,000台とされ、安定した評価と人気を裏付ける台数である。
ちなみにCBR250RRはこのクラスのスーパースポーツモデルとしてトップレベルに位置づけられていた。価格的にも税込みで80万円を超える設定。他の2気筒スポーツより20万円程高く、ある意味ライバル無き存在だった。
しかしご存じの通り2020年9月にカワサキから4気筒エンジン搭載のNinja ZX-25Rが新発売。CBR250RRの牙城を脅かす存在の登場に多くの注目が集まる中、CBR250RRは4種のカラーバリエーションを持つこの新型で迎撃体制が整えられたのである。
右サイドカムチェーン方式、DOHC 8バルブの水冷ツインエンジンはハイコンプレッションを得るべくピストンを変更。吸排気系も専用チューニングされて、最高出力は38ps/12,500rpm~41ps/13,000rpmに向上。最大トルクも11,000rpmの発生回転数は変わらずに23~25Nmへとトルクアップを達成している。
ピークデータで比較するとZX-25Rの45ps/15,500rpmに及ばないが、トルクは21Nm/13,000rpmのZX-25Rより太い。しかもパワーウエイトレシオ、馬力当たりの重量で比較するとZX-25Rの4.09kg/psに対してCBR250RRは僅差ながらも4.07kg/psと優っているのである。
低速域から高速域まで力強い出力特性が追求され、スーパースポーツとして扱いやすい魅力的な進化を果たしていると言う。
クラウン形状も新しいピストンはリング溝に錫メッキ処理を追加。強度を高めた浸炭コンロッドを採用。フリクションロスの低減化も徹底され、クランク軸前方にレイアウトされた1軸1次バランサーシャフトも小径化。バルブスプリングも荷重負担を低減、シリンダー下端の切欠き追加等でエンジン内のポンピングロス低減も図られる等、性能向上策は多岐に及んでいる。
さらに操作力の軽いアシストスリッパークラッチを搭載。激しい減速時に後輪からのバックトルクを逃がすことで後輪のホッピングを防いでくれる。そして6速トランスミッションには前述の通り、オプションながらアップ/ダウン対応クイックシフターが設定された事も魅力的である。
また1速ローのギヤ比が変更されて3.272~3.181に少し高められているのも見逃せない。これは十分なトルクアップが達成された事に伴う自信の現れとも言えるが、各速繋がりの良い操作性向上策にも手を抜かない姿勢で、とことん熟成進化策が講じられた証拠のひとつとも言えるのである。
車体関係に大きな変更は無いがサスペンションはフリクションロスの低減とダンパーの最適化を実施。また燃費率は定地データこそ変化ないが、モード値では26.7km/Lから27.1km/Lに向上している。
デビュー当初CBR250RRは、発進加速、追い越し加速、最高出力ともクラスNo.1の3冠王を自負していた。ひとつはZX-25Rにその座を奪われたわけだが、今回の新型投入では残る2冠を死守する気概が感じられるのである。
進化の大きい魅力的なハイパフォーマンスを披露
足つき性チェック(身長168cm)
ディテール解説
◼️主要諸元◼️
車名・型式:ホンダ・2BK-MC51
全長(mm):2,065
全幅(mm):725
全高(mm):1,095
軸距(mm):1,390
最低地上高(mm):145
シート高(mm):790
車両重量(kg):168
乗車定員(人):2
燃料消費率(km/L):40.1(60km/h)〈2名乗車時〉
WMTCモード値(km/L):27.1〈1名乗車時〉
最小回転半径(m):2.9
エンジン型式:MC51E
エンジン種類:水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒
総排気量(㎤):249
内径×行程(mm):62.0×41.3
圧縮比:12.1
最高出力(kW[PS]/rpm):30[41]/13,000
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):25[2.5]/11,000
燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉
始動方式:セルフ式
点火装置形式:フルトランジスタ式バッテリー点火
潤滑方式:圧送飛沫併用式
燃料タンク容量(L):14
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング式
変速機形式:常時噛合式6段リターン
変速比:
1速 3.181
2速 2.187
3速 1.727
4速 1.421
5速 1.222
6速 1.068
減速比(1次/2次):2.781/2.928
キャスター角(度):24° 30′
トレール量(mm):92
タイヤ(前/後):110/70R17M/C 54H / 140/70R17M/C 66H
ブレーキ形式(前/後):油圧式ディスク / 油圧式ディスク
懸架方式(前/後):テレスコピック式(倒立サス) / スイングアーム式(プロリンク)
フレーム形式:ダイヤモンド
⚫️試乗後の一言!