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3輪&排気量250ccが超快適だから→片道50km通勤も守備範囲!【ヤマハ トリシティ300試乗】


ヤマハからトリシティ125と155、ナイケンに続くLMW第4弾として「トリシティ300」が登場した。どんな使われ方を想定して作られたのか? 開発の背景にもスポットを当てつつ、その走りの魅力を探ってみた。




REPORT●佐川 健太郎(SAGAWA Kentaro)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ヤマハ・トリシティ300……957,000円(消費税込)

マシン解説

■欧州向けXMAX300ベースの3輪コミューター

「トリシティ」シリーズは車体を傾けながら曲がるフロント2輪の3輪コミューター。アッカーマンLMWというヤマハ独自のステアリング機構を持っているのが特徴になっている。そのミドルレンジモデルとしてデビューしたのが「トリシティ300」だ。


 エンジンは欧州向けXMAX300の水冷単気筒BLUE COREをベースに専用セッティングされ、強化された独自のバックボーンフレームに搭載。シリーズ初の自立アシスト機構を採用したことでも注目を集めている。




 今更ながらだが、LMWのメリットをおさらいしておこう。大きくは3つ。


1)前輪スリップによる転倒の抑止。滑りやすい路面でも片輪だけグリップしていれば大丈夫。


2)ブレーキングでの安定性。通常のバイクに比べて制動力と安定感に優れ、カーブでも強くブレーキをかけられる。


3)段差乗り越え時の安定性。左右のフォークが別々に動いて衝撃を吸収してくれるため安心で乗り心地も快適。


 等々メリットは多い。LMWが最終的に目指しているのは“転ばないバイク”。テクノロジーによってライダーをアシストするという考え方を前提にしている。

試乗インプレッション

欧州の通勤スタイルに合わせた余裕のスペック

 見た目は大柄だ。データでは全長は軽く2m越えでホイールベースもナイケンより長く、車重も240kg近くあるなど、サイズ的には大型バイク並みだ。


 実はそれには理由がある。トリシティ300は元々、欧州向けのプロダクトなのだ。欧州では郊外に住んで都市へ通勤してくるライフスタイルが一般的で、その通勤圏も50km~100kmと広い。朝夕は大型スクーターに乗ったスーツ姿のビジネスマンが高速道路をぶっ飛ばしている光景をよく見る。そうなると当然パワーが必要だし、快適で疲れにくく安全性も求められる。その点、LMWなら高い次元でニーズに応えられる。こうした必然から生まれたのがトリシティ300というわけだ。

自分が思ったとおりのラインを描ける

 話を戻すが、乗ってみると想像以上にいい。これぐらい排気量とパワーがあると、スポーツバイクとしての魅力が大きく広がって、がぜん3輪が楽しくなる。エンジンはヤマハのビッグスクーター、XMAX250よりトルクがひと回り太い感じで、巨体にかかわらずぐんぐん加速。アクセルを開けるだけのオートマ感覚が気持ち良く、首都高でもクルマの流れを簡単にリードできた。


 最大のメリットはやはり安定感。トリシティ125/155と比べてもだいぶ大柄な車体サイズが有利に働いて、マシンの挙動は穏やかで快適。路面に吸い付くようなフロントの接地感、そして狙ったラインを正確にトレースしていく“オン・ザ・レール”感覚はLMWならではだろう。通常のバイクだと難しいコーナーでも、トリシティだと何も考えずに「ここで曲がろう」と思うだけで曲がってくれる。それは、4輪でハンドルを切る感覚に近いかも。ブレーキも前後連動で強烈に効くし、ABSとトラコンも標準装備なので滑りやすい路面でも安心感が違う。つい、イケイケになってしまうのだが、その分自制心が必要と思った。

足を着かずにストップ&ゴーも可能

 街中でもフロント2輪の安定感は魅力で、車幅も見た目とは違って通常のバイクとほぼ変わらないため、渋滞路でもスイスイと前に出られる。そして、初のスタンディングアシスト機構が便利。信号待ちでもふら付きにくく、慣れてくれば両足を乗せたままストップ&ゴーもできてしまうほど(ヤマハでは推奨していません)。車体垂直のままロックされるので駐車場での取り回しなども車重のわりには楽だ。ラゲッジスペースも広々していて、ビジネスだけでなくツーリングにも重宝しそう。そう考えると、快適ツアラーとしての資質も十分あると見た。




 トリシティ300はバイクに近い別の乗り物だ。ヤマハではこれからの時代の「4輪に代わる賢い選択肢」のひとつとして位置付けているが、その期待に十分に応えられると思う。

ライディングポジション

ゆとりのあるドライビングスペースにどっかり腰を下す感じは、スクーターというよりは大型ツアラー的。シート高は795mmと標準的。ラゲッジスペースの関係で車幅があるため、足着きはサイドに広がるが、スタンディングアシストのおかげで安心かつ楽だ。ライダー身長179cm。

ティテール

LMW(リーニング・マルチ・ホイール)は車体を傾けて旋回する3輪以上の乗り物。上下2段構造のパラレログラムリンクや左右2本ずつの片持ち式タンデムフォークなど、フロントまわりは複雑な機構になっている。

前後14インチホイールにはBS製の専用開発タイヤとディスクブレーキを装備。ABSと前後連動タイプのUBSを装備するなど制動力は強力。

リヤブレーキもディスクタイプで、ドラムのように見えるリーディングはリヤブレーキロック用。マフラー形状はXMAX250/300と共通デザインだ。

ヘッドライトとポジションライトはLEDを採用。スーツ姿が似合いそうなインテリジェンスを感じさせる独自のデザインだ。

テールランプもLEDを採用。こちらもXMAXとは異なる独自のデザインだ。

XMAX300をベースに専用FIセッティングを施した水冷単気筒292ccエンジンを、通常のスクーター同様のユニットスイング方式で搭載したパワートレイン。リヤサスはオーソドックスなツインショックを採用。

スポーティかつ快適なシート。クッション性も良くゆったりと乗れる。リヤシートもあるが、 どちらかというとソロ主体の設定かも。

大容量45ℓのシート下トランクにはフルフェイス2個+小物まで収まる余裕のサイズ。開閉ダンパーにLED照明付きで高級感もある。

スマートキーシステムを採用。シートやフューエルタップの開閉も電子ロック式だ。

ヤマハとしては初採用となるラチェットレバー式リヤブレーキロックを採用。操作も簡単で、料金所の一時停止や坂道駐車などでも重宝する。

シリーズ初となる待望の自立アシスト機構を採用。停止時に左手元のスイッチを押すだけで車体が固定され、アクセルオンで自動解除。慣れると足を着かずに停止・発進も可能だ。

シンプルで実用的なモノクロタイプのデジタルディスプレイを採用。スタンディングアシストの作動状態もメーター内インジケーターに表示される。

主要諸元

認定型式/原動機打刻型式 2BL-SH15J/H344E


全長/全幅/全高 2,250mm/815mm/1,470mm


シート高 795mm


軸間距離 1,595mm


最低地上高 130mm


車両重量 237kg


燃料消費率*1 国土交通省届出値


定地燃費値*2 38.4km/L(60km/h) 2名乗車時


WMTCモード値 *3 31.5km/L(クラス2, サブクラス2-2) 1名乗車時


原動機種類 水冷・4ストローク・SOHC・4バルブ


気筒数配列 単気筒


総排気量 292cm3


内径×行程 70.0mm×75.9mm


圧縮比 10.9:1


最高出力 21kW(29PS)/7,250r/min


最大トルク 29N・m(3.0kgf・m)/5,750r/min


始動方式 セルフ式


潤滑方式 ウェットサンプ


エンジンオイル容量 1.70L


燃料タンク容量 13L(無鉛レギュラーガソリン指定)


吸気・燃料装置/燃料供給方式 フューエルインジェクション


点火方式 TCI(トランジスタ式)


バッテリー容量/型式 12V, 7.0Ah(10HR)/YTZ8V


1次減速比/2次減速比 1.000/7.589 (48/18 X 37/13)


クラッチ形式 乾式, 遠心, シュー


変速装置/変速方式 Vベルト式無段変速/オートマチック


変速比 2.386〜0.746:無段変速


フレーム形式 バックボーン


キャスター/トレール 20°00′/68mm


タイヤサイズ(前/後) 120/70-14M/C 55P(チューブレス)/ 140/70-14M/C 62P(チューブレス)


制動装置形式(前/後) 油圧式ディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ


懸架方式(前/後) テレスコピック/ユニットスイング


ヘッドランプバルブ種類/ヘッドランプ LED/LED


乗車定員 2名
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