近年ステーションワゴンを設定するモデルが少なくなっている。たとえばホンダ・アコードは先代からワゴン(ツアラー)が廃止され、セダンのみとなった。ステーションワゴンは広い荷室を持っているが車高が低いため走行性能が高い。さらに、スポーツドライビングを目指したモデルも存在する。それらは「スポーツワゴン」と呼ばれることが多い。新車では少なくなったが中古車市場には魅力あるスポーツワゴンが豊富にある。今回はそのなかでも運転の楽しい「100万円以内で手に入るスポーツワゴン」を紹介する。
スポーツワゴンには多くの魅力がある。まずは車高が低いことから得られる高い走行性能だ。セダンがベースとなっているため重心が低く、SUVやミニバンよりも運転を楽しむことができる。またラゲッジスペースが広いことも魅力で、セダンより多くの荷物も積むことができる。さらにトランクと後部座席の間に仕切りがないため、リヤシートに座っても頭上空間にゆとりがある。全高が低いので立体駐車場に駐車できるなど多くの魅力がある。
そんな魅力あるスポーツワゴンが最近減ってきている。かつて一大ブームにもなったアコードワゴンも、先代モデルから廃止されてしまった。しかし中古車市場には100万円以下でも多くのスポーツワゴンが出回っている。今回はスポーツワゴンの魅力である高い走行性能が際立つ、100万円以内で手に入るスポーツワゴンを5台紹介する。
先代スバル・レガシィ ツーリングワゴン 走りが気持ちいい高性能ワゴン!
5代目スバル・レガシィは、『グランドツーリング イノベーション』をコンセプトとし、水平対向エンジンを中心とするシンメトリカルAWDなど独自の技術をベースに、初代より磨き続けてきた優れた 走行性能や安全性などを進化させながら、さらに乗る人すべてが快適に過ごせる居住空間と優れた環境性能を実現させた。
発売当初のエンジンは水平対向4気筒 2.5ℓNAと水平対向4気筒 2.5ℓターボの2種類が設定された。NAエンジンは低回転から発生するトルクによりスムーズでゆとりのある走行性能を実現しており、穏やかでゆったりドライブするのにぴったりだ。その一方でターボモデルは最大出力285psを発生し、最大トルクを2000rpmからフラットに持続させ、優れた走行性能と扱い易さを実現した。またトップグレードには通常の5ATの他に6MTの設定もある。2012年の改良では2.5ℓターボモデルは2.0ℓ直噴ターボエンジンへとダウンサイジングを果たし、最高出力は15psアップし、300psとなった。同時に2.5ℓNAエンジンも新世代のものにバトンタッチ。こちらは従来型に対して、日常的に使用する中低回転域のトルクを向上させている。またMTを設定するグレードもある。
特におすすめはターボモデル。約300psを発生するエンジンは日本のステーションワゴンのなかでも特に走行性能が高い一台だ。平均中古価格は80万円。
たとえばターボモデルだと「レガシィ ツーリングワゴン 2.5 GT Lパッケージ 4WD 2009年式、AT、走行5万5000kmで90万円」というようなところが標準的な中古相場だ。高性能なスポーツワゴンを求める人におすすめの一台だ。
全長×全幅×全高(㎜)=4775×1780×1535
ホイールベース(㎜)=2750
エンジン:2.5ℓ 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:285ps(210kW)/6000rpm
最大トルク:35.7kg・m(350Nm)/2000~5600rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
車重(kg):1510
新車価格:294万円
※2009年発売当時のスペック
ホンダ・アコード ツアラー 美しいデザインとスポーティな走りが魅力 地味だけど完成度が高い!
アコードは、1976年の初代誕生以来、一貫して「人とクルマの調和」をコンセプトにホンダならではの技術と発想でクルマの本質を追求し、世界中のユーザーに愛されているモデルだ。今回紹介する8代目は、「アドバンスド・クオリティ」をキーワードに、あらゆる性能や機能を本質から細部に至るまで徹底的にこだわり、質の高いモデルだ。ちなみにそれまでステーションワゴンは「アコードワゴン」という名称だったが、このモデルから「アコードツアラー」に変更された。ツアラーの特徴は美しいデザイン。ルーフを短くし、リヤガラスの傾斜を強めたスポーティなプロポーションは日本車というよりドイツ車のような雰囲気だ。またリヤまわりを強く絞り込んだ面構成により、積載性に優れながら軽快感を表現した。
パワートレインは最高出力206psの高い動力性能により力強い走りと優れた環境性能を両立した2.4ℓDOHC i-VTECエンジンを採用(後期型では2.0ℓ
モデルも追加された)。またエンジンの力強さを引き出し、操る楽しさを広げる5速オートマチックトランスミッション+パドルシフトを標準装備。さらにはスポーティな走行時にアクセルのオン/オフによる不要な変速を抑え、ドライバーのシフト感覚により近い変速制御を行うコーナリングGシフト制御も装備している。後期型には、スポーツグレード「TYPE S」が設定され、高次元な運動性能と快適性を両立したType-S専用セッティングのサスペンションが採用された。
平均中古価格は約80万円。
たとえば100万円以内でも「アコード ツアラー 24TL スポーツスタイル 2009年式、走行2万7000kmで96万円」というような比較的走行距離の浅いものもある。シンプルで美しいデザインとスポーティな走りを求める人におすすめだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4750×1850×1470
ホイールベース(㎜)=2705
エンジン:2.4ℓ 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
駆動:FF
最高出力:206ps(151kW)/7000rpm
最大トルク:23.7kg・m(232Nm)/4300rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
車重(kg):1590
新車価格:338万円
※2008年発売当時のスペック
日産ステージア まさに「スカイラインワゴン」⁉︎ 余裕のある走りが楽しめるFRスポーツワゴン
日産ステージアは1996年の発売された初代以来、走りの良さ・快適性・優れたワゴン機能を兼ね備えた日本初の本格的Lクラスツーリングワゴンとして、多くのユーザーから高い評価を得てきた。今回紹介する2代目ステージアは、『デュアルシーンで余裕の走りと優れた機能を発揮するプレステージツーリングワゴン』を開発コンセプトに、ゆとりを持って過ごしたいと考えている人々をターゲットに開発された。スカイライン(V35型)で採用したV6エンジン専用新FRプラットフォーム「FMパッケージ」により、「抜群の高速安定性と快適性」、「広いキャビンとラゲッジルーム」、「世界最高水準の安全性能」を実現するとともに、当時新開発されたVQ25DETエンジンやスノーシンクロモード付アテーサE-TSの採用により、高速走行から雪道や不整地路まで、快適で安心感のある走りを可能としたのが特徴だ。
パワートレーンは、280psを発生する2.5ℓV6気筒DOHCターボ、215psを発生する2.5ℓV6気筒DOHC、260ps(後期は272ps)を発生する3.0ℓV型6気筒DOHCエンジンの3種類を用意。おすすめは2.5ℓV6気筒DOHCターボ。このグレードはまさに「スカイラインステーションワゴン」といっても過言でないほどスポーティな走りを堪能できる。また407Nmの最大トルクを持ち、FRベースということも相まって、トルクフルな安定した走りをみせる。1680kgという重い車重とは考えられないほど軽快だ。
平均中古価格は65万円。
たとえば100万円以内だと「ステージア 250t RS FOUR 2004年式、走行4万5000kmで95万円」というような中古車がある。スカイライン譲りの安定感あるスポーツワゴンを求める人におすすめだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4765×1760×1510
ホイールベース(㎜)=2850
エンジン:2.5ℓ V型6気筒DOHCターボ
駆動:フルタイム4WD
最高出力:280ps(206kW)/6400rpm
最大トルク:41.5kg・m(407Nm)/3200rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:5AT
車重(kg):1680
新車価格:325万円
※2003年発売当時のスペック
2代目マツダ・アテンザ スポーツワゴン 気軽にたのしくロングドライブが楽しめる軽快さな走りが魅力!
2代目マツダ・アテンザ スポーツワゴンは、2002年に発売された初代モデルが確立した個性的かつ魅力的なスタイリング、卓越した運動性能を継承・進化させながら、環境・安全性能を大幅に向上させている。また「最高の高速ロングツアラー」を目指して、クラストップレベルの空力性能を実現し、高速走行時の安定性を向上させると共に、乗り心地や静粛性などの快適性を一層高めたモデルだ。
パワートレーンは、リニアな加速と正確なレスポンスを実現する2.5ℓの直4エンジンを採用。またRX-8にも採用され、路面の勾配を判別して最適なギヤを自動的に選択するAAS(Active Adaptive Shift)搭載。走行状況に応じた最適なシフト選択により、リニアできびきびした走りを実現し、初代でも好評だった運動性能をさらに高めた。また1台目で紹介したレガシィ同様、MTが設定されたグレードもあるのも特徴だ。性格は「スポーツ」というよりグランドツーリングの方が向いており、疲れることなく快適にドライブが楽しめる。
平均中古価格は約50万円。
たとえば100万円以内だと「アテンザ スポーツワゴン 25S 2011年式、走行2万3000kmで84万円」というような中古物件がある。比較的安い予算で、ロングツーリングを気軽に楽しめるクルマを探している人におすすめだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4765×1795×1490
ホイールベース(㎜)=2725
エンジン:2.5ℓ 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
駆動:FF
最高出力:170ps(125kW)/6000rpm
最大トルク:23.0kg・m(226Nm)/4000rpm
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
トランスミッション:5AT
車重(kg):1490
新車価格:267万円
※2008年発売当時のスペック
先々代BMW3シリーズ ツーリング 欧州を代表するスポーツワゴン 直6エンジンの安心感は他にない魅力!
BMW3シリーズ ツーリングはドイツを代表するDセグメントのステーションワゴンだ。今回紹介する先々代モデルは、駆けぬける歓び、機能性、快適性を高いレベルで融合。エレガントかつスポーティでモダンなスタイリングを持ちながら、このセグメントで広めのラゲッジ・スペース(460~1385ℓ)を確保している。また最大出力150psを発生するモデルから306psを発生するモデルまで、さまざまなエンジンを設定していることも特徴だ。
その豊富なパワートレーンのなかでもおすすめは、後期型の3.0ℓ 直列6気筒DOHCエンジン搭載された325i(後期型)。このエンジンは最高出力は218ps、最高トルクは270Nmを発生し、余裕ある気持ちの良い走りが堪能できる大人のスポーツワゴンだ。現在のこのクラスは世界的にダウンザイジングターボが主流だが、この直6NAエンジンは、ためらいもなくすっと前に進み、なんとも言えない気持ちいい加速が楽しめる。またその上のグレードには306ps、400Nmを発生する3.0ℓ直6ターボエンジンを積んだ335iもあるが、トータルのバランスの良さを考えると325iの方がおすすめだ。
3シリーズツーリングの平均中古価格は70万円。
たとえば100万円以内だと「3シリーズツーリング 325i Mスポーツパッケージ 2010年式、走行5万4000kmで99万円」というような中古物件がある。ドイツ車らしい硬派なスポーツワゴンを求める人におすすめだ。
全長×全幅×全高(㎜)=4525×1815×1450
ホイールベース(㎜)=2760
エンジン:3.0ℓ 直列6気筒DOHC
駆動:FR
最高出力:218ps(160kW)/6100rpm
最大トルク:27.5kg・m(270Nm)/2400~4200rpm
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
トランスミッション:6AT
車重(kg):1610
新車価格:567万円
※2009年発売当時のスペック
今回は100万円で買えるスポーツワゴンを紹介した。100万円といえどもそれぞれの性格はさまざまだ。ぜひ好みにあった楽しいスポーツワゴンを見つけていただきたい。