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両足は一応つくけれど…身長153cm、体重41kgの女性とCT125ハンターカブとの相性。|1日乗ってわかったこと。


2019年10月開催の東京モーターショーでコンセプトモデルとして登場して市販化され、2020年6月26日にリリースされたCT125。ハンターカブシリーズの最新モデルとして人気を集めているというこのモデル、山田編集長曰く、少々車高が高めだとか……。そんなCT125の足つき性や乗り味について、小柄なライダー視点でお届けする。


REPORT●伊藤英里(ITO Eri)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダCT125・ハンターカブ……440,000円(消費税10%を含む)

 ホンダ『CT125・ハンターカブ』は、カブシリーズの中にあって未舗装路などの走行に可能性を広げた原付二種のモデル。前モデルから受け継ぐアップマフラーやアンダーガードなどを備えるスタイリングも、そうした印象を強くする。それではまず、ライディングポジションと足つき性の確認から見ていこう。




 シートにまたがって足を下ろす。筆者(伊藤)は身長153cm、体重41kgの女性ライダーだが、ハンドルまでの距離、高さに遠さや窮屈さを感じることはない。ステップまでの距離が少しだけ遠いように感じたが、許容範囲内。自動遠心クラッチが採用されているCT125の場合、前側のペダルを踏み込んでシフトアップ、後方のペダルによってシフトダウンを行う。シフトチェンジのときはステップから足を離してペダルを踏み込むのだが、こうした操作にはまったく問題なかった。




 そして気になる足つき性は、両足の親指がつく程度。足はステップの後ろ側に下ろすことになる。身長が高いライダーの場合はステップとブレーキペダルまたは前側のチェンジペダルとの間に足を下ろすそうだが、私の身長の場合は難しい。無理な体勢になるため、しっかり踏ん張ることは不可能。というわけで、ステップ後方に足をつくという選択になる。

身長153cm体重41kgのライダーの場合、両足を下ろすと親指がなんとかつく程度。あまり踏ん張りはきかない

 CT125のシート高は800mm。停車状態では特にリヤサスペンションに沈む感じがあまりなく、また、右サイドのアップマフラーや左サイドの吸気ダクトによって足が少し開き気味になる。さらに、シートの形状がやや広め。広めの座面は、走行中であれば快適なのだが、停車時に足を下ろすとき内側の太ももに干渉してしまうのだ。こうしたいくつかの要因により、両足での足つき性は良好、とは言い難い。




 実際にストップ&ゴーが多い街中を走ってみると、もう少し足つきがよかったら、と感じるところがあった。街乗りではとっさに足をつかなければならないこともあるし、CT125の機動力を発揮して走りたいときは頻繁に足をつくこともあるだろう。シート形状が平面のため、停止時に腰をずらして片足だけをしっかりつく、という足つきの方法でも、少し難しいところがあった。




 といっても、これは小柄であまり筋力がないライダーがつい思い描いてしまう理想というもの。CT125の120kgという軽量な車両重量は、足つき性の難しさをカバーしていて、ぐらりとバランスを崩してもリカバリーできるという自信をくれる。また、街乗りでの快適性を考えるなら、私のような体格では、サスをもっと短くしたり柔らかくしたりと足つきをよくするカスタムを視野に入れてもいい。「足つきがもう少しだけよかったら……」と欲張りたくなってしまうくらい、きびきびと走らせることが楽しいバイクなのだ。




 そう、CT125は様々なシーンで走る楽しみを味わえる。今回は街乗り、ちょっとした未舗装路、急な坂道でCT125を走らせた。空冷4ストロークOHC単気筒エンジンからは、低速域からどっしりとしたパワーが湧き出てきて、初速からの十分な加速がある。低速域でのパワーの出方が少しだけシビアなので、スロットル操作はやや丁寧さが必要だが、その分走り出しは力強い。また、2ポッドキャリパーのフロントブレーキの利きが過敏すぎない程度にしっかりしていて、ストップ&ゴーの繰り返しも苦ではない。かなりの機動性を持つバイクだと感じることができた。




 それならばと、少しだけスポーツ走行に近い走り方をしてみる。低重心の車体が、スムーズにコーナーに入っていく。立ち上がりのしっかりした加速もライダー心を満たす。ひらひらとコーナーを駆けるバイクというよりも、ゆったりとしながら少しスポーティにも走ることができるバイク。CT125となら、ワインディングも楽しめそうだ。

街中での機動性はさることながら、少し趣味性の高い走りにも対応する

 低速域のパワーは未舗装路での走破性にも貢献していて、坂道であっても難なく走ることができた。実は私、未舗装路は走った経験があまりなく、苦手なシーン。ところが今回走った砂利の浮くゆるやかな斜面では、緊張はしても苦戦はせずに走ることができた。しっかりとタイヤが路面を追従していると感じることができたし、車体が過剰に動いて不安定さを覚えることもない。フロントサスペンションはもちろん、少し硬めに思えたリヤサスペンションは、こうしたシーンで活躍するのかと感じ入る。また、軽快に操作できるハンドルが、こうしたでこぼこ道でバランスを取りやすく働いた。CT125なら、ツーリング先で不意に未舗装路に出くわしても、走り抜ける勇気をくれるだろう。

車体の軽量さと操作性の高さ、低速域のどっしりとしたパワーにより、写真のような未舗装路なら大きな不安はなかった

 同じく上り坂の途中からの発進でも不安は感じなかった。小柄なライダーにとって坂道は不安材料の一つで、特に足がつかないバイクだと、さらにその不安は大きくなる。前述したように、CT125は足つきがとてもいいわけではない。けれど、軽量な車体によって停止時だけ少し気をつければ、発進でぐらつくことはなかった。

急な坂道の場合、停止時の足つきにさえ気を配れば問題ない。ちなみに写真では、撮影用にリヤブレーキから足を離している

 スタイリングも走りも、まるごと楽しめるCT125。153cmのライダーではつま先立ちになってしまうけれど、重すぎない車体のおかげもあって、様々なシーンを共に過ごすよき相棒となってくれそうだ。

主要諸元

車名・型式:ホンダ・2BJ-JA55


全長(mm):1,960


全幅(mm):805


全高(mm):1,085


軸距(mm):1,255


最低地上高(mm)★:165


シート高(mm)★:800


車両重量(kg):120


乗車定員(人):2


燃料消費率*1(km/L)


 国土交通省届出値:定地燃費値*2(km/h):61.0(60)〈2名乗車時〉


 WMTCモード値★(クラス)*3:67.2(クラス 1)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m):1.9


エンジン型式:JA55E


エンジン種類:空冷4ストロークOHC単気筒


総排気量(cm3):124


内径×行程(mm):52.4 × 57.9


圧縮比★:9.3


最高出力(kW[PS]/rpm):6.5[8.8]/7,000


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm):11[1.1]/4,500


燃料供給装置形式:電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式★:セルフ式(キック式併設)


点火装置形式★:フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式★:圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L):5.3


クラッチ形式★:湿式多板コイルスプリング式


変速機形式:常時噛合式4段リターン※


変速比


 1速:2.500


 2速:1.550


 3速:1.150


 4速:0.923


減速比(1次★/2次):3.350/2.785


キャスター角(度)★:27°00´


トレール量(mm)★:80


タイヤ


 前:80/90-17M/C 44P


 後:80/90-17M/C 44P


ブレーキ形式 前/後:油圧式ディスク


懸架方式


 前:テレスコピック式


 後:スイングアーム式


フレーム形式:バックボーン




※走行中はリターン式で停車時のみロータリー式になるチェンジ機構。


■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)


■製造事業者/Thai Honda Manufacturing Co., Ltd.


■製造国/タイ


■輸入事業者/本田技研工業株式会社




*1 燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。


*2 定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。


*3 WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。
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