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排気量125ccの原付二種なのに車重は180kg。|ガチムチ系本格クルーザー、レオンアート・PILDER 125試乗


1985年にスペインで会社設立後、2004年に現在のブランドが立ち上げられたLEONARTモーターサイクル。原2小排気量バイクとして革新的なインパクトと満足度を提供すべく、個性的な製品開発を目指すと言う。その中で最上級の仕上がりを誇るフラッグシップモデルがPILDER 125である。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)


取材協力●ウイングフット株式会社(https://leonartmotors.jp/)

レオンアート・PILDER 125・・・・・・594,000円

イエロー
ブラック

 今回、二日に分けて4台のレオンアートに試乗した、外観デザインも細部の仕上げも別格の高級感を醸し出されていたモデルが今回のPILDER 125である。


 既に試乗記を掲載したHERITAGE 125よりもさらに大きく立派な車格を誇り、全長は実に2390mm。後輪には190/50扁平の極太17インチタイヤを履き、左片側で支持されるアルミスイングアームを採用。フロントは100/90扁平の19インチサイズを履く。


 ロー&ロング・フォルムと、車体まわりの随所がカバーリングされて隙間が埋められたデザイン処理が新鮮。リヤショックの存在も外から見ることはできない。


 同ブランド内の他のバリエーションモデルにも見られないデザイン手法の採用は、特別に上質な雰囲気を醸し出す事にも貢献している。


 レオンアートに関する情報量は少なく、詳細データも把握できていないが、このPILDER 125はバルセロナにあるNACAR Strategic Design Agencyが手がけたそう。同社のホームページにも作品例の一つとしてPELDER 125のリヤビュー写真が美しく掲載されている。


 そのデザインコンセプトは「A ride that strides」である。大きくゆっくりと歩むイメージの中にカフェレーサーを融合した様な斬新なものとし、若いユーザーへの訴求を狙って作られたようだ。


 製造は中国の力帆(LiFan)工場で、搭載エンジンは一連の水冷 125ccの2気筒。ただ、これもチューニングの度合いが異なり、こだわりの高出力を発揮すると言う。


 吸排気系が異なる等の違いがあるとは思うが、これも詳細データは不明。ただし、燃料噴射や点火制御を担うECU(エンジン・コントロール・ユニット)に、他のモデルとは異なるオリジナル部品が使われていることは間違いない。


 価格は同ブランド最高の594,000円。リーズナブルな他のモデルと比較すると、また国産125ccスポーツモデルと比較しても、決して安くはないが、一見リッタークラスかそれ以上のボリュームと、それなりの高級感を感じさせてくれる異色モデルとして見ると、かなりリーズナブル。その商品力は侮れないのである。

ずっしり、どっしり、ゆったりを愉しむ。

 先に掲載したHERITAGE 125は、その車体の大きさを400ccか750ccの様と表現したが、今回のPILDER 125は1Lかそれ以上の巨漢に見える。少なくともこれまでの常識的125ccクラスとは思えない立派で堂々たるサイズ感があり、不思議とそれが魅力的に思えてくる。


 あえてハーレーダビッドソンのモデルに例えるとクルーザーカテゴリーに有る最新FXDR 114に少し似た傾向が見られる。もちろんスマートな仕上がりだが、どこかそれを手本にした部分がある様な雰囲気が漂う。


 地上高が700mmのシートに跨がると、ライディングポジションは両手両足を前方に投げ出す感じ。どちらかと言うと足よりも手の方(ハンドル位置)が遠く感じられ、上体はやや前傾姿勢となる。


 車両重量も180kg あり、ピンクナンバーの原2バイクであることがにわかには信じられない事だろう。




 エンジンを始動すると、抜けの良い少々勇ましい排気音が耳に入る。車体からイメージされる図太く低い音質ではないが、それなりの音量がある元気の良いサウンド。どこか健気に発揮された高出力ぶりを主張しているかの様である。


 実際クラッチミートした直後から、その噴き上がりは十分にパワフル。大人しい出力特性だったHELITAGE 125と比較すると重い車重をカバーしてなお余る高性能ぶりを発揮。あきらかに特性の異なるハイパフォーマンスが楽しめるのである。


 有効なパワーバンドも3,500から8,500rpmまでと広く、吹き上がり速度も少しシャープになっている。上は9,500rpmあたり迄で同じだが、頑張れば10,000rpmまでは回りそう。


 ちなみにローギヤで5,000rpm回した時の速度は同様に17km/h。ギヤは6速ミッションが採用されており、トップギヤ50km/hクルージング時のエンジン回転数は4,500rpmが表示されていた。4,750rpmに変わる直前だったので実際は4,700rpmあたり。


 残念ながらPILDER 125のギヤレシオに関する詳細データが無いので、正確な事は言えないが、ローとトップのギヤ比がHELITAGE 125とほぼ同じ思われることから、PILDER 125のミッションはスポーティにクロス化されていると考えられる。


 これまでの固定観念や開発コンセプトから言えば、すこしヤンチャに見える程元気の良いエンジンは、全体の雰囲気に似合っていないような気もするが、上まで回しても結構楽しめるエンジンであったのが印象深い。それは市街地でも存分に発揮して楽しむ事ができるのである。


 前後サスペンションはしっかりしており、乗り味はハード。ステアリング回りにもドッシリッと重量感が伴う。操舵フィールと直進性も落ちつきがあった。


 


 バイク好きの方だろうか。信号待ちしていると、何度か遠くから視線を集めている事に気付く。もし近くに居たなら、おそらく「コレ、何ccですか」?と訪ねられることは間違い。まだ見慣れぬ珍しいブランドとデザイン、その特殊な商品力で話題が広がり、「LEONARTのプレミアムモデルなんです」!等と、しばしバイク談議に花が咲くことは請け合いなのである。


 

足つき性チェック(身長168cm)

ご覧の通り両足はベッタリ、しっかりと地面を捉える事ができる。シート高は700mm。ハンドルとステップが前方に位置し、両手足は少し伸ばす感じ。上体も写真の様に前傾姿勢になる。

ディテール解説

厚みのある黒色のステアリングブラケットが印象的なフロントビュー。ヘッドランプはH4ハロゲンバルブだが、レンズ周囲には18個のLEDがリング状に連ねられている。ウインカーもLEDだ。

キャスターが寝かされたフロントフォークは倒立式、リーディングタイプで支持されるアクスルの右側はクランプ方式で固定されている。フローティングマウントされたウェーブタイプのダブルディスクローターはφ300mm。2ピストンのピンスライド式油圧キャリパーが採用されている。

水冷の125cc2気筒エンジンは他のバリエーションに搭載されているのと基本的に共通だが、フラッグシップに相応しく、専用の制御システムを搭載する等、一番パワフルな仕様に仕上げられている。トランスミッションは6速である。

エンジンの真下で集合するエキゾーストパイプには三角断面形状の右出しアップの1本マフラーを装備。インナーリベッターを駆使した作りやカーボンのエンドピースをあしらったデザインはユニーク。

190/50-17インチサイズの極太タイヤは中国のCST製ADRENOラジアル。ご覧の通り左側片支持のアルミスイングアームを採用。車体が綺麗にカバーリングされているので、直視することはできないが、シート下にモノショックが納められている。

ブラックアウトされたアルミアーム後端から伸びているのはリヤフェンダーステー。38丁ドリブンスプロケットの内側にφ260mmのシングルローターと2ピストン・ピンスライド式油圧キャリパーを装備。

フラットなデザインのアッパーブリッジの直ぐ上にマウントされたセパレートハンドル。取り付け部分のユニークなデザインが印象的だ。

ハンドル左側スイッチ。一番下にあるのがプッシュキャンセル式ウインカースイッチ、その上にホーンボタン、右の赤いのがハザードボタン。左側がディマースイッチ、向こう側に人指し指で扱うパッシングスイッチがある。
ハンドル右側のスイッチ操作は赤いキルスイッチと、エンジン始動用セルスタータースイッチのみ。中段にあるのはライティングスイッチだが、ONの状態で固定されていた。
メーターは丸型シングル。シンプルでなかなか美しいデザインだ。液晶表示式で、250rpm毎にブロックが積み重なる棒グラフ表示の回転計と、デジタル表記の速度計他、ギヤボジションインジケーターや燃料計が表示される。

セパレートタイプのダブルシート。腰のあるクッションが採用されている。シートストッパーに腰を当てると、大柄なライダーでもハンドルは遠く、スケールの大きな乗り味だ。

イグニッションスイッチはステアリングヘッドの右脇フレーム部分に直付けされている。
菅キーを使用するスイッチはハーレーダビッドソンと同様なタイプ。解錠しておけば、キー無しでスイッチONできる。
シートエンドに美しく組み込まれたテールランプ。スッキリとシンプルなデザインが印象的。光源にはLEDランプが使用されている。

◼️主要諸元◼️

全長/全幅/全高:2,390mm/800mm/1,125mm


シート高:700mm


車両重量:180kg




エンジン型式:水冷・4サイクル・SOHC・直(並)列2気筒


総排気量:124.6㎤


内径×行程:44mm×41mm


最高出力:11kw/9,500rpm


燃料供給装置:DELPHI製電子制御式燃料噴射


始動方式:セルフ式


点火方式:電子制御式CDI


潤滑方式:ウェットサンプ式


燃料タンク容量:10L


クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング


変速機形式:常時噛合式6段リターン




フレーム形式:セミダブルクレードル


サスペンション(前/後):テレスコピック式倒立フォーク/片持ち式アルミスイングアーム&モノショック


ブレーキ形式(前/後):油圧式ダブルディスクφ300mm/油圧式シングルディスクφ260mm(前後連動式)


タイヤサイズ(前/後):100/90-19/190/50-17


乗車定員:2名




生産国:中国

⚫️試乗後の一言!

排気量と車体サイズのアンバランスは結構オモシロイかも。

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