三菱日立パワーシステムズ(MHPS)が世界の火力発電設備に納入したJ形ガスタービンの累計運転時間がこのほど100万時間を記録した。 信頼性※1は世界最高水準の99.5%を確保しており、 高信頼性と高効率の両面で新しい記録を達成し続けている。
J形ガスタービンは、2011年にMHPSの実証発電設備(通称:T地点)にて実証運転を開始以来、日本や米国を中心にその高い信頼性と高効率、低環境負荷が高く評価され、世界中で採用されている。現在商業運転中の43基の総発電容量は2,500万kW(25GW)を超えており、MHPSの主力ガスタービンとして世界の電力安定供給に貢献している。
MHPS独自の技術により開発されたJ形ガスタービンは蒸気冷却燃焼器を採用し、当時世界最高水準のタービン入口温度1,600℃を達成、排熱回収ボイラーおよび蒸気タービンを組み合わせたガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電効率62%を実現した。同ガスタービンを採用したGTCCは従来型石炭火力発電設備と比較して1系列あたり年間約300万トンのCO2排出量削減(東京都の約1.6倍の面積の森林が吸収するCO2の量に相当)に寄与する。
J形ガスタービンが99.5%の高い信頼性をもって100万時間の累計運転時間に到達したことを受け、MHPS社長兼CEOの河相健氏は、次のように述べている。
「J形ガスタービンが高い信頼性と高効率を両立し100万時間の累計運転時間に到達したことを誇りに思います。これは当社の品質重視の考えに基づき、お客様に製品を出荷する前に高砂工場内のJ形ガスタービンを採用したGTCC実証発電設備にて性能および信頼性を長期間にわたり確認、新開発技術の信頼性検証を行っているからです」
このJ形ガスタービンをベースに、最新の空気冷却燃焼器システムを採用したJAC(J-SeriesAir-Cooled)形※2はGTCCとしての発電効率が64%に達する。本年7月には同社高砂工場内で実証設備複合サイクル発電所第2号発電設備(通称:第二T地点)の運用を開始する予定※3であり、MHPSはガスタービンの次世代技術の開発検証をさらに加速していく。また、CO2排出量のさらなる削減を目指して技術革新を進めており、米国ユタ州の協同組合向けに、再生可能エネルギー由来の水素を利用したJAC形GTCC発電設備を受注※4。2025年に30%の水素混焼で運転を開始し、将来的に水素燃料100%での運転を目指すプロジェクトが進行中。
※1 累計運転期間のうち、 定期点検など計画的停止以外で停止した期間(非計画的停止期間)を引いた割合を表す。
※2 JAC形ガスタービンの特長については以下のウェブサイトを参照。
https://www.mhps.com/jp/products/gasturbines/technology/highlyefficiency-gas-turbine/index.html
※3 第二T地点での定格出力達成のプレスリリース(2020年4月2日発表)
http://www.mhps.com/jp/news/20200402.html
※4米国ユタ州での再生可能エネルギー由来の水素を利用したGTCCプロジェクト受注時のプレスリリース(2020年3月12日発表)
http://www.mhps.com/jp/news/20200312.html