狩猟用にカーゴスペースを追加されたスポーツカー……それがシューティングブレークの由来である。とびきりスタイリッシュなのに、ユーティリティにも優れる。CLAシューティングブレークは、まさに語源どおりのキャラクターを持っている。
TEXT●木原寛明(KIHARA Hiroaki)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
※本稿は2020年3月発売の「メルセデス・ベンツAクラス/Bクラス/CLAのすべて」に掲載されたものを転載したものです。
MFAプラットフォームをはじめとする3代目Aクラスのメカニズムを活用し、メルセデスがCLSクラスで世界的人気に火をつけた4ドア・クーペをコンパクトなセグメントで再現したCLAクラス。クーペ風ワゴンのシューティングブレークも用意され、一躍人気モデルとなった。
2019年1月、アメリカ・ラスベガスで2代目クーペが待望のデビューを果たす。シューティングブレークが公開されたのは、3月のジュネーブ・ショー。4代目Aクラスが採用したMFA2プラットフォームがベースで、日本市場では、8月に2タイプが同時発表された。
MFA2ファミリーの中にあって、CLAクラスの立ち位置は、A/Bクラスよりプレミアム色の強いものだ。シャシーは、FF車でもリヤサスペンションをマルチリンクとし、先代より前63㎜/後55㎜拡大されたトレッドや強化版スタビライザーを備え、同じプラットフォームを用いる全モデル中で最もスポーティなドライビング特性を得たと謳う。
バリエーションの展開にも、その性格づけは表れている。当初は、ディーゼルのCLA200dとガソリンのCLA250 4マチックという、上位機種にあたる2.0ℓターボのみを設定。続いて11月にAMGモデルを発表するが、それは最強バージョンのCLA45S 4マチック+だった。
1.3ℓターボを積むベーシックなCLA180と、AMGモデルの普及版であるCLA35 4マチックは、20年2月に追加設定されたが、上位グレードからの順次投入は実用志向のモデルと一線を画する展開だ。
シューティングブレークという呼称も、実用ワゴンとの差別化を意図している。とはいえ、先代では341〜1157ℓだった荷室容量は、505〜1370ℓへ大幅に拡大。また、サイドウインドウ形状ほどにはルーフが後ろ下がりではないので、後席ヘッドルームは先代比+35㎜の955㎜で、これはAクラスより5㎜少ないだけに過ぎない。ステーョンワゴンとしての使い勝手も確保しているのだ。
COCKPIT
SEAT
LUGGAGE SPACE
ラゲッジルーム容量はクーペの460ℓに対し、シューティングブレークは5人乗車時が505ℓで、最大時が1370ℓ。後席の背もたれは40:20:40の3分割可倒式で、スタイリッシュながらワゴンとしての使い勝手に多くのカスタマーが不満を感じないだろう。