「用の美・スモール」を開発コンセプトとした新型四代目ホンダ・フィットに設定された5タイプのうち、そのコンセプトを最も色濃く体現したのが「ホーム」になるだろう。なかでも1.3Lガソリンエンジン+CVTのFF車は、コストパフォーマンスに優れた中核モデルに位置付けられる。
こちらも前回の「ネス」e:HEV車と同様、千葉県木更津市内の高速道路および一般道で、本誌の鈴木慎一初代編集長とともに試乗した。
なお、テスト車両には、メーカーオプションの16インチタイヤ&アルミホイール、ホンダコネクトforギャザズ+ナビ装着用スペシャルパッケージ、コンフォートビューパッケージが装着されていた。
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●遠藤正賢、鈴木慎一、本田技研工業
新型四代目ホンダ・フィットには、新たに「ベーシック」「ホーム」「ネス」「クロスター」「リュクス」の5タイプが設定される一方、パワートレーンは1.3Lガソリンエンジン+CVTと、1.5Lガソリンエンジン+新たに「e:HEV」を名乗る2モーターハイブリッドの2種類に絞られている。なお駆動方式は、全車ともFF(前輪駆動)とビスカスカップリング式4WDから選択可能だ。
このうち「クロスター」のみ、他のモデルより一回り外径が大きい185/60R16 86Hタイヤ&専用アルミホイールを装着し、最低地上高はFF車で25mm高い160mm、4WD車で5mm高い155mmとされている。裏を返せば残りの4タイプは、パワートレーンや駆動方式、タイヤ・ホイールのサイズが共通であれば、ボディ・シャシーのセッティングは変わらない。
そのため、前回試乗した「e:HEVネス」と、今回の「ホーム」(1.3Lガソリンエンジン+CVT)との違いは、パワートレーンとそれに伴う細かな装備、また車重110kgの差に集約される。なお、本来であれば「ホーム」には185/60R15 84Hタイヤ&スチールホイールが標準装備されるのだが、テスト車両には「e:HEVネス」と同じ185/55R16 83Vのヨコハマ・ブルーアースエースと16インチアルミホイールが装着されていたため、タイヤ&ホイールによる走りの違いを確認できなかったのが悔やまれる。
ともあれ実車に対面すると、テスト車両はミッドナイトブルービーム・メタリック×シルバーの2トーンカラーになっていたため、新型フィット本来のシンプルさが少なからず損なわれていたのが引っ掛かった。やはり新型フィットは、モノトーンのボディカラーを選んだ方が、その要素の少なさと歴代共通のワンモーションフォルムが引き立つだろう。
| |
一方、シートおよびソフトパッドの表皮にプライムスムース(合成皮革)とナチュラルテキスタイル(織物)を組み合わせた、ソフトグレーのインテリア(注:ブラック内装も設定あり)は、まず見た目がシンプルながらも上質で、かつ肌触りが良く滑りにくく、見て・触って・乗った時のいずれにおいても、心地良い満足感が常に得られる。むしろ他の4タイプは生地の肌触りが硬く滑りやすい傾向にあるため、これがベストにしてオンリーワンの選択肢と言えそうだ。
ただし、4000rpm付近を境に「ホンダミュージック」と呼ばれる甲高いエンジンサウンドに豹変し、加速やアクセルレスポンスも相応に鋭くなるのは、ホンダ車らしい美点と言えるだろう。そして、有効水平画角約100°の単眼カメラで構成される新たな「ホンダセンシング」は、渋滞追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKAS(車線維持支援システム)の制御がより自然で高精度なものに進化しているため、積極的に活用すれば高速道路での疲労は大幅に軽減できるはずだ。
【Specifications】
<ホンダ・フィット ホーム(FF・CVT)>
全長×全幅×全高:3995×1695×1515mm ホイールベース:2530mm 車両重量:1090kg エンジン形式:直列4気筒DOHC 排気量:1317cc ボア×ストローク:73.0×78.7mm 圧縮比:13.5 最高出力:72kW(98ps)/6000rpm 最大トルク:118Nm(12.0kgm)/5000rpm WLTC総合モード燃費:20.2km/L 車両価格:171万8200円