1月10~12日に千葉県の幕張メッセで開催された「東京オートサロン2020」で、中4ホールにブースを構えたHonda/無限。そこにひっそりと展示されていた「N-ONEカフェレーサーコンセプト」の室内を覗いてみると、なんとこれまで一度も設定されたことのない、待望の6速MTが搭載されていた! だがもっと驚きなのは、その中身だった!
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●遠藤正賢、本田技研工業
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N-ONEは初代N-BOXをベースとして、ホンダ初の軽乗用車・N360をモチーフとしたエクステリアを持つプレミアム軽として2012年11月にデビューした。比較的全高が低く車重も軽いことからスポーティな性格も与えられており、2014年からはワンメイクレース「N-ONEオーナーズカップ」が開催され、2015年7月のマイナーチェンジでは全高を1545mmに抑えた「ローダウン」やホンダアクセスのコンプリートカー「モデューロX」を追加。2017年12月のマイナーチェンジでは「ローダウン」ターボ車をさらに進化させた「RS」を新たに設定している。
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それにも関わらず、トランスミッションは全車CVTのみ。7年に及ぶモデルライフの中で、MTが設定されたことは一度もなく、マイナーチェンジのたびにガッカリさせられたのは筆者だけではあるまい。
だからこそ、「N-ONEカフェレーサーコンセプト」の室内を覗き、そのインパネ中央に6速MTが鎮座しているのを見付けた時、あまりの驚きに思わず言葉を失ってしまった。
喜び勇んでその運転席に座り、シフトレバーを操作してみると、その感触はS660にも引けを取らない、軽くソリッドでストロークも極めて短い、ホンダ一流のもの。
一方、パーキングブレーキが電動式なことに対しては、一般の来場者からも「これではジムカーナなどでサイドターンができない!」と不満の声が上がっていたが、それに関しては筆者も100%同意だ。
ともあれその完成度は「コンセプト」などというレベルのものではなく、明らかに量産を前提としたプロトタイプそのものだった。
そしてよく見ると、6速MT周辺以外のインパネやステアリングの造形も全く異なり、フロントシートはベンチ式からセパレート式に変更されている。
エクステリアも、前後バンパーやランプ類、ホイールのデザインが変更されており、よりモダンかつスポーティな印象に生まれ変わっていた。そして「RS」のエンブレムが装着されていることから、これが「RS」の大幅改良モデルであることは想像に難くない。
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果たしてこの「N-ONEカフェレーサーコンセプト」、発売時期はいつ頃なのか、そしてなぜ今までN-ONEに6速MTが設定されなかったのかを、説明員に尋ねてみると…。
「このN-ONEは今秋に発売を予定しています。そしてN-ONEにこれまでMTが設定されなかったのは、第一世代のNシリーズをベースにしていたからですね」
!? つまり、この新しいN-ONEは…?
「はい、第二世代のNシリーズではN-VANがニューモデルとして誕生し、初めてFF車で6速MTが設定されました。つまり新しいN-ONEは、その第二世代のNシリーズをベースとするため、6速MTの設定が可能になったのです」
見た目は従来のN-ONEのテイストを色濃く踏襲しながら、中身はプラットフォームから全く別物に進化するということだろうか?
「ミニもそうだと思いますが、デザインは極力変えずにプラットフォームを一新することで、走りや安全性能を進化させる道を選びました。実際の所、ドアパネルなどの外板は現行車と同じですが、それ以外は全面的に変更しています」
だがそうなると、6速MTをこのタイミングで追加しながら、パーキングブレーキが電子式に変更されているのが気になってくる。
「これはホンダセンシング、特に渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロールに対応するにはEPB(電子制御パーキングブレーキ)が必須だからですね。今の時代、MTといえども予防安全性能は重要ですから。なお、プラットフォームが第二世代Nシリーズですので、ホンダセンシングのセンサー類も、新型フィットの単眼カメラのみのものではなく、N-BOXやN-WGNと同じものを使っています」
ということは、フロントロアグリル右側にミリ波レーダーが装着されている…?
「それは、ご想像にお任せします(笑)」
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プラットフォームが第二世代Nシリーズになり、MTの搭載が可能になったということは、エンジンも第二世代のS07Bに刷新される…?
「それは、行間を読んで下さい、ということで(笑)」
今秋発売という「N-ONEカフェレーサーコンセプト」の市販モデルが、どのような形でホンダよりアナウンスされるかは分からない。だが筆者は、敢えてこれを“新型”N-ONEと呼びたい。それほどまでに、今度のN-ONEは全く別物に生まれ変わる可能性が高いのだから。
これは期待するなという方が無理というもの。今から正式発表が待ち遠しい!