日本では定番軽トラックであるスズキ・キャリーだが、世界戦略車も同名を名乗るも、実はベツモノの小型トラックだ。日本の感覚では、”ビッグ・キャリー”と呼びたくなるひと回り大きいキャリーは、2019年にフルモデルチェンジを果たした。新旧の違いを含め、新型キャリーがどのように生まれ変わったのだろうか。
REPORT&PHOTO●大音安弘(OHTO Yasuhiro)
海外向けキャリーの歴史は、1976年からインドネシアでの生産を開始されたことに始まる。現在までに、海外145の国と地域で販売され、累計販売台数は200万台(※軽自動車仕様を除く)を超えるなど、現地の人々の生活を支えてきた身近な働きものだ。インドネシアでは、他の市場に先駆けて、2019年4月より販売を開始。その他の市場にも、順次導入されることが公表されていた。
一方、タイのキャリーの歴史は、2006年からと比較的新しい。それでも荷台を改造して生まれた相乗りタクシー「ソンテウ」としても活躍するなど、人々の生活に密着した一台へと成長している。新型は、2019年8月より導入が開始されており、早速、新しいシーフード料理チェーンと手を組み、移動販売車としても活躍しているようだ。
先代は、1.5BOXデザインで、愛嬌のあるフロントマスクを備えていたが、新型はプレーンなスタイルへと変更。ちょっと地味なデザインとなったことは、賛否が分かれそうだ。ただフロントガラスが広くなり、角度も起こされたことから、キャビンスペースの改善が図られているようだ。
ボディサイズは、全長4195mm×全幅1765mm×全高1910mm。ホイールベースは、2205mmとなっている。荷台は、3方向に展開可能で、長さ2450mm×幅1670mmを備える。キャビンは、2名乗員のインパネ5速MT仕様とすることで、足元の広さにゆとりを持たせている。
パワーユニットは、シート下に1.5L4気筒エンジンを搭載し、後輪を駆動する。このエンジン、ジムニーシエラと同型のものだが、商用車向けにチューニングが変更されているようだ。モノグレードで、ボディカラーは、白のみとシンプルな構成となる。価格は、385,000バーツ。日本円で、約140万円となる(※)
※1バーツ=3.63円換算
我々にとってキャリーといえば、軽のイメージだが、軽規格がない国では、キャリーの持ち味である小ささを活かしながらも、ある程度のサイズアップを図った方が合理的なのだろう。ただ雰囲気は、少し日本のキャリーに似ている気もする。ライトのデザインはもう少し拘っても良かったような気がするが、質実剛健さを優先したということなのだろう。