25年2月をもって建て替えのため休館となる東京・帝国劇場のクロージング公演、ミュージカル「レ・ミゼラブル」(25年2月7日まで)本初日会見が20日、同所で行われた。ジャン・バルジャン役の吉原光夫(46)、ファンテーヌ役の生田絵梨花(27)、ジャベール役の伊礼彼方(42)ら、キャスト陣9人が出席し、帝劇との思い出を振り返った。
1966年(昭41)の開場以来、350もの演目を演じ継いできた演劇の殿堂、帝劇の節目。11年から主人公役を演じてきた吉原は「素晴らしい方々の中でひよっことして舞台に立たせていただいて、叱咤(しった)激励を受けながら新人、青二才みたいな感じで出たのに最近は大御所扱いされて不思議な気持ち」とこれまでの軌跡を回想。帝国劇場は「僕にとっては怖い劇場」としつつも「それが節目に一緒に舞台上にいられるのは温かい気持ちになる。しっかりかみしめて毎公演、劇場と手をつないで公演できたら」と背筋を伸ばした。
17~19年にコゼット、21年にエポニーヌ役を務めた生田は、今回はファンテーヌと3役目の挑戦。「7年前の囲み取材が1つ大きな思い出で…」と切り出し、縁を感じる巡り合わせを告白。「当時ファンテーヌ役だった知念里奈さんが、この場所で(当時)コゼット役だった私に『いつかファンテーヌやってほしい』と言ってくださって。この瞬間にファンテーヌとして立てているのが感慨深い気持ちになります」とかみしめた。現帝劇ラストで巡ってきた今役に「本当に運命的なタイミングだったなと思うので、クロージング公演はファンテーヌとしてしっかり戦って生き抜きたいなと思います」と瞳と言葉に力を込めた。
帝劇での千秋楽後は、来年3月2日から6月16日まで、大阪や北海道など全国5都市をまわるツアーを実施する。初参加の木下晴香(25)は「ファンテーヌ(役のキャスト)は3人とも大変よく食べるので食の楽しみもあります」と声を弾ませ、小野田龍之介(33)は「前回は大コロナ禍の中での公演だった。途中公演がストップしてしまって悲しい思いをされたお客さまもいます。満を持してこれぞレミゼだと、神髄をお届けできるように各地に届けたいです」と意気込んだ。
ジャン・バルジャン役は吉原、佐藤隆紀(38)、飯田洋輔(40)、ジャベール役は伊礼、小野田、石井一彰(40)。ファンテーヌ役は生田、昆夏美(33)、木下のトリプルキャスト。
▼コメント
佐藤 100年以上の歴史、感動や涙、いろんな思いが詰め込まれた劇場。みなさんの心が動く、感動する舞台としてお届けできるように最後まで頑張りたい。
飯田 歴史のある劇場でこのタイミングでというのは、何かご縁があってのことだと思うので真摯(しんし)に向き合っていきたい。伊礼 クロージング公演、千秋楽も出させていただけるのは神様からいただいたギフト。導かれていっているような気分なので喜びを感じています。
小野田 帝劇いったんなくなるのはすごく寂しい。ここからがまた、始まりと言うことで、舞台の神様にお尻をたたかれているような気持ちでいます。
石井 俳優にもスタッフのみんなにもお客差さまにも愛された劇場。クロージング公演に出させていただくのは光栄ですし、喜びをかみしめて誠実に舞台に立ちたい。
昆 初めて帝国劇場に立たせていただいたのもこの作品。クロージングも『レ・ミゼラブル』。帝劇とレミゼって私の人生の中で特別な組み合わせ。覚悟を持って1公演1公演お客さまにお届けしたい。
木下 いろんな経験をしながらの日々になると思うんですけど、かみしめながら味わい尽くしながら演じていきたいです。