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ディーゼル&プラグインハイブリッドはハイパフォーマンスへの免罪符|メルセデス・ベンツEクラスPHEV「E350de」試乗記その2


日本初となるディーゼルエンジン+プラグインハイブリッド車(ディーゼルハイブリッドはSクラスの300hがあり、日本でも想像以上に人気があったそうだ)になるメルセデス・ベンツE350deは、「CAFE(企業別平均燃費基準)」などの燃費規制をクリアするには、欠かせない仕様のひとつといえるだろう。近所の買い物などの日常使いは家で充電した電気でまかない、ロングドライブではディーゼルエンジンならではの低燃費とトルクフルな走りを享受できる。果たして、その走りっぷりはどうだろうか。




REPORT●塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro)


PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)

日本の公道でパワーを解き放つことは不可能?

 日本初のディーゼルエンジン・プラグインハイブリッド車(PHV)になる「E 350 de アバンギャルドスポーツ」の車両本体価格は875万円。同じ2.0Lでも直列4気筒ガソリンターボにプラグインハイブリッド車を組み合わせる「E 350 e アバンギャルドスポーツ」は852万円。価格差は23万円と比較的小さくなっている。




 ディーゼルエンジン特有の音・振動はご遠慮したい、というのであれば、ガソリンPHVの方を選べるのはプラグインハイブリッド車に興味のある人なら選択肢に入ってくるだろう。




 なお、2019年10月に受けた改良で、ガソリンPHVの「E 350 e」もモーターのみの航続可能距離を従来の20.1kmから51kmと約2.5倍も延ばしている。なお、2019年12月からデリバリーが開始されたディーゼルPHVの「E 350 de」は最長50km(WLTPの参考値)だそうだ。

 今回試乗したのは、日本初となるディーゼルエンジンPHVの「E 350 de アバンギャルドスポーツ」。2.0L直列4気筒クリーンディーゼルエンジンの「OM654」型の最新ディーゼルターボに9速ATが組み合わされている。ディーゼルエンジンの排ガス浄化対策も念が押されていて、sDPF(DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)などの最新の排ガス浄化対策が用意されている。




 また、エンジン単体でも143kW(194ps)/3800rpm、400Nm/1600-2800rpmというアウトプットで、スペック的には分厚いトルクを実用域で発揮するようで十分なダッシュ力を備えていそうだ。モーターの最高出力は90kW(122ps)、最大トルクは440Nm。エンジンを含めたトータルのシステム出力は、225kW(306ps)/700Nmと公表されている。



バッテリーをリヤシート背後に配置するため、ラゲッジスペース容量は通常グレードの540Lから370Lに減っている。リヤシートは4:2:4の分割可倒式だ。

 試乗発着場所が山の中腹という、普段あまりない状況で走り出す。低速域では、ディーゼルエンジン特有のガラガラとした音が若干伝わってくるが、気になる振動になって乗員を揺するようなことはない。音・振動対策はさすがにEクラスまでになると抜かりのない印象だ。たとえば、現行ランドローバーのディーゼルエンジン仕様のように徹底的に音・振動を遮断している感じではないが、これくらいであれば十分に許容できるという人は多いのではないだろうか。




 走りは非常に力強い。執筆時点で認証のタイミングからかまだ車両重量は不明だが、1.8t台後半か1.9tに達するにしても、そんな重いボディを力強く加速させる。アクセルを少し強めに踏み込めば、登坂路でも勾配を感じさせないほど速度を上げていく。「スポーツ」、「スポーツ+」以上にすると、スポーツカー顔負けのダッシュ力に加えて、ディーゼルエンジンであることを感じさせない高速域のパンチ力を兼ね備えている。




 日本の公道ではその真価をすべて解き放つシーンはないだろうし、少ないアクセル開度でもモアパワーを抱かせるシーンはほとんどなく、「エコ」モードでも街中なら十分なほど。ストップ&ゴーの多い状況なら「エコ」の方が加速の調整がしやすく、スムーズに走らせやすかったぐらいだ。一方で狭いワインディングでは、フロントノーズの重さを感じさせるシーンもあった。フットワークにはそれなりに重厚感があり、最も得意とするステージは、高速道路を使ったロングツーリングではないだろうか。

近所への配慮と、郊外での並外れた速さ

 なお、カタログ燃費もおそらく認証のタイミングで、執筆時点では明らかになっていない。このクラスのプラグインハイブリッド車を買う方は、モード燃費の1.0km/L、2.0km/Lの差に目くじらを立てる人は少ないだろうが、家庭で充電しておけば(電池容量は13.5kWh)、住宅街でも静かに走行できるなど、ローカルエミッションではあっても実際に環境への配慮になる。一方で、郊外や高速道路などではスポーツカーを凌駕するような走りも無理なく引き出せてしまう。




 もしも環境問題への意識の高さなどから、高級スポーツセダンに乗る負い目を感じても最新のクリーンディーゼルエンジン+プラグインハイブリッドという組み合わせは、精神衛生上、あるいは周囲の目からの免罪符にもなりそうだ。

 なお、積載性、居住性ではいわゆるコンベンショナルな仕様に対して、駆動用バッテリーを搭載するため、トランクの奥側が一段高くなっている2段式の形状になっている。その分、荷室容量は少し狭くなっているが、大人4人がゆったり乗れて、4人分の1泊旅行の荷物も十分に積載できるスペースは確保されている印象。なお、身長171cmの筆者がドライビングポジションを決めた後ろの席には、膝前にこぶしふたつ分くらいの余裕が残っていて、頭上にはひとつ半くらいのクリアランスがあった。また、前席座面下への足入れ性は今一歩で、スニーカーのつま先がかろうじて入る程度。また、後席のフロアも座面も少し高めに感じられたことを報告しておきたい。センタートンネルも大きめ(高め)で、後席中央席は非常用、短時間用と割り切りたい。




 環境への配慮に加えて、軽油で済むランニングコスト、306PS/700Nmに達するシステム出力による圧倒的な動力性能などの価値を備えた「E 350 de アバンギャルド スポーツ」は、強力な商品力を備えるプレミアムEセグメントの中でもかなりインパクトのある飛び道具を備えている。

メルセデス・ベンツE350de アバンギャルド スポーツ


全長×全幅×全高:4923×1852×1475mm


ホイールベース:2939mm


車両重量:───kg


エンジン形式:直列4気筒DOHCディーゼルターボ


排気量:1950cc


ボア×ストローク:82.0×92.3mm


圧縮比:15.5


最高出力:143kw〈194ps〉/3800rpm


最大トルク:400Nm/1600-2800rpm


モーター最高出力:90kW(122ps)


モーター最大トルク:440Nm


燃料タンク容量:60L


トランスミッション:9速AT


駆動方式:FR


乗車定員:5名


タイヤサイズ:Ⓕ245/45R18 Ⓡ275/40R18


WLTCモード燃費:───


市街地モード燃費:───


郊外モード燃費:───


高速道路モード燃費:───


車両価格:875万円
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