フィアットをベースとした高性能ブランド「アバルト」の公式イベント「Abarth Days 2019」が、2019年11月9日に、富士スピードウェイにて開催された。カルロ・アバルトのAbarth設立から70周年を祝うために、全国各地から集まったアバルトたちを紹介しよう!
FCAジャパンによるAbarth公式イベント「Abarth days」が2019年11月9日(土)に、富士スピードウェイにて開催された。これは、年に1度のペースで開催されるオーナーとファン向けのイベントだが、都心での開催が恒例となっていた例年とは異なり、舞台をサーキットへと変更。これもアバルト70周年を迎えたことによるFCAジャパンの粋な計らいのようだ。
オープニングでは、レーシングコースのホームストレート上に、参加者たちの愛車がずらりと整列。その光景は、かつてレーシングシーンを席巻したアバルトの雄姿を彷彿させてくれる。その中心となるのは、FIAT500ベースの「アバルト500/595/695」シリーズだが、同じく現行型車である「アバルト124スパイダー」に加え、「プントアバルト」などの歴代モデルたちも顔を揃えた。
メイン会場となるAパドックには、参加者たちの愛車たちが並ぶオーナーミーティングスペースとなっており、カスタムを含めた色とりどりのアバルトたちによって彩られた。特にアバルト500シリーズは、FIAT同様に、様々な色が用意されていることもあり、色についても個性豊か。珍しい色や限定車などを探していくことも、このスペースの楽しみのひとつだ。ユーザー層は、アグレッシブなアバルトのキャラクターに相応しく、若いユーザーも多い様子。現代もアバルトマジックが多くの人を魅了していることを実感する。
そんなAパドックでは、様々なコンテンツも展開。メインステージでは、アバルトの魅力を知り尽くした自動車ジャーナリストの嶋田智之氏とチンクエチェントミュージアムの深津浩之氏によるトークショーを開催。二人が事前の打ち合わせだけでも、かなりの時間を費やしたというだけあって、マニアックなアバルトトークを展開。アバルトの祭典に相応しいネタ満載の内容であった。
またサプライズイベントとしてアバルトの新型限定車の発表も実施され、アバルト70周年記念限定車「「Abarth 695 70°ANNIVERSARIO(アバルト695セッタンタ アニヴェルサーリオ)」を日本初公開。なんと数日前に空輸されてきたばかりの右ハンドル車だという。同車は、世界限定1949台のうち、100台が導入される予定だったが、反響の大きさから、本国との交渉の結果、急遽100台増車されることが決定。FCAジャパンの担当者によると「この決定は、昨晩届いたばかり」といい、本国からの日本のファンへの感謝の気持ちにも受け取れた。最終的には、202台の導入になったが、現在、そのすべての予約が完了しているというのは、アバルト人気の高さを伺わせるエピソードだ。
このほかにも、Aパドックでは様々なコンテンツが用意されていたのが、最大の目玉となるのは、アバルトの歴史を名車で振り返る「ヒストリックミュージアム」だ。70周年という節目ということもあり、全国各地から、貴重なクラシックアバルトたちが30台以上も集結。そのラインアップは、本国でもここまで揃うことは珍しいというほどで、まさにファン涙もの名車ばかり……。クラシックアバルトは、オーナー車でもあるため、オーナー同士の交流も図られており、アバルト初心者にとっては、アバルトのルーツを知る良い機会となったようだ。
午後の部には、アバルトミュージアムを彩る往年の名車たちが、なんとサーキットコースでのデモンストレーションランを実施。多くのモデルは、小さな排気量の自然吸気エンジンに独自チューニングを施したものなので、特徴的な甲高いエキゾーストノートが奏でる。まさにアバルトたちが70周年の祝い唄を歌っているようであった。
レーシングコースやジムカーナコースを使った走行コンテンツが充実していたのも、今年アバルトデイズの特徴のひとつ。レーシングコースでは、パレードランやサーキットタクシー、走行レッスンなどを実施。一方、ジムカーナコースなどでは、ジムカーナ競技を体験しながらのドライビングレッスンが行われ、オーナーたちは、愛車の持つポテンシャルの高さを実感することができたようだ。まさにアバルトの魅力を全身で味わい尽くすことができたアニバーサリーイヤーイベントになった。