CX-8はフラッグシートに相応しいインテリアの上質さ、充実した装備とその高性能さに驚かされる。3列シートの存在に目を奪われがちだが、実際に触れてみればそれは数ある魅力のひとつであることがよくわかる。
REPORT●工藤貴宏(KUDO Takahiro)
PHOTO●中野幸次(NAKANO Koji)
ASSISTANT●大須賀あみ(OSUGA Ami)
※本稿は2017年12月発売の「マツダCX-8のすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様が現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。
〈取材車のプロフィール〉XD L Package
ボディカラー:マシーングレープレミアムメタリック
インテリアカラー:ディープレッド
メーカーオプション:CD/DVDプレーヤー+地上デジタルTVチューナー、Boseサウンドシステム+10スピーカー、360°ビュー・モニター+フロントパーキングセンサー
※一部カットは「XD PROACTIVE」(6人乗り/7人乗り)を撮影しています。
〈運転まわり〉シンプルで機能的運転しやすいレイアウト
右はクルーズコントロール(クルコン)で左側はメーター表示切り替えとオーディオ基本操作。クルコンの設定上限速度は日本仕様のマツダ車では初めて115㎞/hを超えて180㎞/hに。停止保持機能付きだが、停車中はクルコンを設定できない。
〈居住性&乗降性〉上質な表皮と最適な形状2列目席は3種類を用意
SUVらしい高めの運転姿勢だが、着座位置を低めにすると意外なほどに包まれ感がある。シートは骨盤をしっかり立てて、真横から見た背骨がS字のラインを描くように設計。表面がやわらかくフィット感も高い座面ウレタンも手伝って、長時間乗車でも姿勢の崩れが少ないのが印象的。
ロングホイールベース化に伴ってCX-5に対してシート取り付け位置が後方に移動、120㎜ものスライド機構を備えたことで、足が組めるほどゆったりとした広さを実現した。大きなサイドウインドウの効果も加わり高まった開放感が、後席の快適性向上に大きなプラスとなっている。
使える3列目かどうかを気にしている人も多いことだろう。結論を言うなら短距離であれば十分に実用的だ。足元も2列目を最後部から10㎝ほど前にスライドすれば、広くはないが窮屈感のないスペースが確保できる。着座姿勢が悪くないのは予想以上だった。
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「XD」と「PROACTIVE」の6人乗りはウォークスルーが可能で、3列目アクセス時にシートを動かす必要がない。シートには角度調整可能なアームレストが備わる。
乗り降りしてみると、しっかり考えられているなと感じる優れたポイントが多い。1/2列目のシート高は大人が座ったり立ったりするのにちょうどいい高さだし、ドア開口部はドア下部がサイドシルを完全に覆う構造なので車体が汚れていてもズボンやスカートの裾を汚さずに済む。2列目は、広い開口幅のおかげで足の出し入れもスムーズだ。ただし3列目は、乗車姿勢の違いからしゃがみ込むような姿勢が求められるし、床と地面の段差も高く感じる。
〈ナビ・AV〉
7インチのセンターディスプレイを見ながら、手元のコマンダーで操る。実は画面もタッチパネルで、停車時ならタッチでも操作できるので、目的地入力などに重宝する。
メーカーオプションのBose オーディオシステムは10個のスピーカーを備える。「1列目でも3列目でも同じ音を届ける」のがコンセプト。ウーファーボックスはCX-5よりも大型だ。
〈空調〉
エアコンは後席も前席とは異なる温度に設定できる、いわゆる3ゾーン式。センターコンソールボックスの後部に吹き出し口とともに操作パネルを配置する。
〈室内の収納スペース〉左右開きのコンソールボックスが上質感を高める
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❾ 2列目には7人乗り(右)が格納式、「L Package」(左)は深さ250㎜のセンターコンソールボックスを備える。
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〈注目装備〉
〈ラゲッジルーム〉通常時でも239ℓを確保 格納時は2列目もフラットに
3列モデルなのですべての席を使える状態での容量は広くないが、239ℓの容量があり畳んだA型ベビーカーも積載でき、ゴルフバッグなら2個積むことができる。壁面も含めて布張りで上質だ。
CX-8のメリットは3列目があるというだけでなく、3列目を倒せば一般的なSUVよりも荷室が広く使えること。だからキャンプやウインタースポーツなど荷物が多いアウトドアレジャーに出掛ける人にとってCX-8の魅力は大きい。この状態での容量は572ℓだ。
2列目格納方法は背もたれを前に倒すだけ。背面は若干傾斜するが、床面に大きな段差は生じない。ただし、使い倒す派のユーザーにとっては「L Package」だと2列目センターコンソールボックスの張り出しが気になるかもしれない。