
往年の名車、カワサキ650-W1の流れを汲むクラシカルなテイスティモデル、W800が再び我々の前に戻ってきてくれた。2016年のファイナルディションを最後に、2019年3月のW800STREETとCAFEを別格とすれば、3年振りの勇姿。でもなぜ今W800なのか? 東京モーターショー2019のプレスカンファレンスでの発表に、そのヒントが隠されていた。
PHOTO●星野耕作(HOSHINO Kosaku)

カワサキは「Z H2」や「Ninja ZX-25R」で東京モーターショー2019のバイクに関する話題をかっさらった印象が強い。インパクトある2モデルは今後、間違いなくバイクファンの支持を集めることだろう。だが、派手さはないものの着実に進化を遂げたモデルも同列に発表された。それが2016年のファイナルエディションで姿を消していたW800だ。

2019年3月にW800STREETと同CAFEが発売されたばかり。なのになぜ、このタイミングで本家本元のW800が発売されたのだろう。誰もが疑問に思う再登場だ。だが、それはカワサキが「W」に込めた思いから想像することができる。
1960年代にカワサキは川崎重工業の一部門として二輪車用エンジンを開発する。これを基にB7という完成車を発売する。カワサキモーターサイクル&エンジンカンパニーと社名を変えたが、来年でバイクメーカーとして60周年を迎える。ここにW800復活のヒントが隠されている。
1966年当時、国内最大級の排気量を持つ「650-W」を発売。この「W1」と続く「W2」そして「W3」によって、カワサキは大排気量メーカーとして内外から認知されることになった。故にWという車名はビッグバイクメーカーとしてカワサキの原点のようなものなのだ。


Wの歴史は1998年、「W650」として復活する。フラッグシップの座を「Z」に譲ったことで、クラシカルなスタイリングと質感の高さを売りにしていた。W650は2008年に生産終了するが、2010年にW800として復活。だがW800は2016年に生産を終了してしまう。
だから2019年3月にW800が前後18インチホイールにABS付きディスクブレーキなどを装備したCAFE、STREETとして復活したことをファンは複雑な思いで見守っていたことだろう。Wが帰ってきたことを喜びつつ、カスタムマシンのようなスタイルに違和感を持ったに違いない。
だからこそ、今回発表されたW800には拍手喝采を送りたい。何しろ操業60周年を前に、カワサキのアイデンティティでもあるビッグバイクの原点に立ち返ったW800がオリジナル・スタイルで戻ってきたのだから。

60周年を前にカワサキというブランドの代名詞にもなったWを復活させたのは、ある意味当然のことなのかもしれない。「Let the good times roll」というメッセージには「カワサキとの心豊かな生活を、楽しんでいただきたい」という願いが込められている。心豊かな生活には様々な方向性があることだろう。その一端に、クラシカルなスタイルと味わい深いべべルギア駆動のバーチカルツインエンジンを持つW800が存在する。

先に発売されたW800STREETやCAFEと大きく異なるのが車体構成だ。スタイルだけではなくフロント19インチ、リヤ18インチのタイヤ&ホイールを採用したことで、鷹揚なハンドリングを楽しめるモデルに生まれ変わっている。773ccから52psを発生するエンジンのパワーバンドを駆使して、攻撃的なライディングも楽しめるだろう。だが、エンジンの鼓動を感じながら、移りゆく景色を楽しむのが似合うバイクになっている。
ABS付きディスクブレーキやLEDヘッドライトなど最新装備も忘れていない。改めてバイクの原点を感じながらライディングを楽しめるのが新生W800だ。

