1962年にアメリカで展開されて大きな反響を呼び、「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」のイラストにも登場した、アメリカ輸出仕様の「スーパーカブ CA100」。国内向けの「スーパーカブC100」との違いや、アメリカで人気を呼んだきっかけなどを探ってみた。
REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)
1962年にアメリカで展開された、ホンダの「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」戦略とは?
「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」とは、1962年に、
You meet the nicest people on a HONDA
ナイセスト・ピープル、ホンダに乗る
のキャッチフレーズのもと、ホンダがアメリカ市場で展開したキャンペーンのこと。
ナイセスト・ピープルとは、女性や親子、若いカップルなど、良識ある人々。つまり、普通の市民生活をする人々のこと=一般市民だ。このキャンペーンは大きな反響を呼び、『何となく不良というか……一部の人々が乗るもの』というバイクのイメージを一新。アメリカ市場におけるホンダの知名度も、これに伴って大幅にアップした。
このキャンペーンのイラストなどに採用されたのが、1959年にアメリカで発売され、“ホンダのアメリカ進出の起爆剤”にもなった「スーパーカブCA100」。スーパーカブCA100は、1962年の「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」をきっかけに大ヒット。ロングセラーモデルとなり、1970年まで生産された。
1959年にアメリカで発売され、1962年にブレイク!「ホンダ スーパーカブCA100」※アメリカ名は「HONDA 50(フィフティ)」
スーパーカブCA100は、日本で1958年(昭和33年)に発売された初代スーパーカブ「C100」の1962年型をベースに、細部を変更したアメリカ市場向けのモデル。
正式名称は「HONDA 50(フィフティ)」。フロントカウル&シート下のエンブレムに「Cub」という文字はなく、CA100は「HONDA 50」としている。
最高出力4.3馬力の空冷4サイクル単気筒OHV49ccエンジン、フレーム、足周りなどはC100を継承。
大きな違いは、オシャレなツートンカラーのダブルシートやタンデムステップを装着していること(当時のアメリカは、49ccでも2人乗りOKだった)。
美しいなボディカラーも魅力の一つで、「スカーレットレッド×ホワイト」「ホワイト」「ブルー×ホワイト」「ブラック×ホワイト」など、女性にも親しみやすい色がスタンバイされた。
「1ガロン(3.8L)で200マイル(320km)走る」と謳われた、当時のアメリカ車では考えられない、極めて優れた燃費性能や経済性も話題となり、スーパーカブCA100は1970年まで生産されるというロングセラーモデルとなった。
始動方式はキック始動。セル付きモデルの「CA102」もラインナップされていた。
●スーパーカブCA100の主要スペック
エンジン形式:空冷4スト単気筒OHV49cc/ボア×ストローク:40mm×39mm/最高出力:4.3ps/9500rpm/最大トルク:0.33kgm/8000rpm/ミッション:自動遠心式クラッチ3段リターン/最高速度:70km/h/タイヤ:前後2.25-17/重量:55kg/燃料タンク容量:3.0L/全長×全幅×全高:1780mm×575mm×945mm/軸距:1180mm
アメリカのカブ「CA100」をイメージした限定モデルも登場
スーパーカブ50/110の「60周年アニバーサリー」は、1963年にアメリカで展開されて話題を呼んだ「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」の広告に描かれたイメージイラストをモチーフとしたカラーリングがポイント。
マグナレッドを主体としたボディに、ツートーン仕様のシートやブラック塗装のリアキャリアを採用するなど、特別なカラーリングを実施。スーパーカブ誕生60周年の記念エンブレムをサイドカバーとキーにそれぞれ採用するなど、アニバーサリーモデルに相応しい1台に仕上げている。
なお、受注期間は2018年8月1日~2018年10月31日だった。当時の発売価格(税込)は、50が24万3000円、110が28万6200円。