人気のPCXに追加投入された電動スクーター。免許証は普通二輪免許の小型AT限定でOK。125㏄と同じカテゴリーに入るので高速道路は走れないが、排気ガスはゼロ、音の静かな次世代コミューターの使い勝手は実に興味深い。
REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)
PHOTO●山田 俊輔(YAMADA Shunsuke)
◼️ホンダ・PCXエレクトリック……リース専用車
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初代EVのホンダ・CUV ES
PCXエレクトリックは一般販売はされていないリース専用車。法人企業や個人事業主、官公庁を対象にリース契約が可能となっている。これまで30名限定でモニター貸し出しが2回行われた他、首都圏や観光地でのバイクシェアリングやレンタルサービスの実証実験も実施。またフィリピンでは余剰電力活用システムの実証実験にも参画。今後社会への浸透と一般市販が期待されているのである。
ホンダのEVスクーターは1994年に登場したCUV ESがお初。前後10インチホイールを履くスーパーディオ風のロングホイールベース車で都市部で活用するミニマムトランスポーターとして開発された。50ccクラス相当のモデルで86.4Vのニッケル・カドミウムバッテリーをフロアステップ下に搭載。充電器が車載されておりフル充電するには家庭電源で8時間かかった。航続距離は30㎞/h定地走行で61km走行できると言われた。
それから四半世紀の歳月を経て登場したPCXエレクトリックは125ccクラスへとスケールアップ。前後に14インチホイールを履き、ホイールベースは1380mmと長めの設定だ。CUV ESとの比較でトルクは倍、定格出力は7割増。一方車重は約1割増の144kgで済んでいる。
リチウムイオン電池は2 個直列のカセット式を採用し車体から取り外すのも簡単。専用充電器で個別充電にも対応するので、駐輪場所に電源が無くても困らない。フル充電には6時間、取り外して充電すると4時間×2個で8時間かかる。フル充電すると60㎞/h定地走行で41Km走れると言う。
PCXと比較すると最高出力こそ控えめながら最大トルクは驚くべき太さだ。PCX(125)のトルクは12Nm/5000rpm、PCX150は14Nm/6500rpm、対するエレクトリックはなんと18Nm/500rpmというビッグトルクを誇るのである。
ゼロ(停止状態)から瞬時に最大トルクを発揮できるのがエンジン車とは決定的に異なる電動ならではの特徴だ。クラッチもトランスミッションも持たないPCXエレクトリックならではの走りは如何に!?
パフォーマンスに不足無し!
⚫️足つきチェック(ライダー身長170cm)
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⚫️ディテール解説
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◼️主要諸元◼️
車名・型式:ホンダ・ZAD-EF01
全長(mm):1,960
全幅(mm):740
全高(mm):1,095
軸距(mm):1,380
最低地上高(mm)★:132
シート高(mm)★:760
車両重量(kg):144
乗車定員(人):2
最小回転半径(m):2.1
原動機型式:EF01M
原動機種類:交流同期電動機
定格出力(kW):0.98
最高出力:(kW[PS]/rpm)4.2[5.7]/5,500
最大トルク:(N・m[kgf・m]/rpm)18[1.8]/500
メインバッテリー種類:リチウムイオン電池
メインバッテリー電圧/容量:50.4V/20.8Ah×2個
バッテリー充電電源:AC100V(単相)
一充電走行距離*(km):
国土交通省届出値…41(60km/h定地走行テスト値)〈1名乗車時〉
タイヤ:前…100/80-14M/C48P、後…120/70-14M/C55P
ブレーキ形式前油圧式ディスク
後機械式リーディング・トレーリング
懸架方式:前…テレスコピック式、後…ユニットスイング式
フレーム形式:ダブルクレードル