8月28日、BMWは9月10日に開幕するフランクフルト・モーターショーで三代目となる新型「BMW X6」を初披露すると予告。さらに同ショーでは、“世界で最も黒い”と言われる「Vanta Black（ベンタブラック）」に塗装されたX6をショーカーとして披露することを発表した。
目で捉えられる光の最大99.965%を吸収する最も黒い黒
Vanta BlackのVantaとは「Vertically Aligned Nano Tube Array（垂直に並べられたナノチューブの配列）」の略。ナノチューブから構成される可視光の最大99.965%を吸収する最も黒い物質と言われているものだ。光があたると反射するのではなく、光を捉えることで何度も屈折させ、最終的には熱になる性質を持つ。
ベンタブラックはもともと、宇宙搭載部品のコーティング用に開発されたもので、アルミニウムなどの材料に適しており、太陽からの迷光によって検出しにくい、はるか遠くの星や銀河の観測に役立てられてきた。
このベンタブラックを発明したサリーナノシステムズの協力を得て完成したX6のボディは、光をほとんど反射しないため、新型X6のプレスラインを確認することがほぼ不可能。タイヤやホイールもブラックだが、ボディがそれ以上に黒いことが分かる。
 |  |
サリーナノシステムズの創設者であるベン・ジェンセン氏の説明では、太陽光を反射するボディは、先進安全運転支援システムや将来の自動運転技術に関する各機能のパフォーマンスを損なう恐れをはらんでいるので、光の反射率の極めて低いこのベンタブラック塗装は、それらの機能を正確に作動させるという意味で、安全性に繋がる重要な役割も果たせるとしている。
そんなユニークな塗装を施したショーカーを用いてフランクフルト・モーターショーで世界初公開される新型X6は、11月から市場に投入される予定。ちなみに、新型も従来型と同様に米国のスパルタンバーグ工場で生産される。
