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アウディQ2のメカニズムを徹底解説!|SUVレビュー


アウディが激戦のSUV市場に新たなる挑戦状を叩きつけた戦略的モデル「Q2」。デザインで若者にアピールする一方で、上級モデル譲りの最先端テクノロジーが随所に搭載されている。それでは、各セクションごとにメカニズムの真実に迫りQ2の魅力を探ってみたい。




TEXT●安藤 眞 (ANDO Makoto)




※本稿は2017年6月発売の「アウディQ2のすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様が現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

居住性はQ3と同等の優れたパッケージ

Q2
Q3


 Q2の全高は1550㎜を切るので、マンションなどの機械式駐車場にも停められる。まさに日本の都心部にマッチしたサイズだ。それでいてホイールベースはA3並であることから、大人4人が無理なく乗れる充分な室内空間を持つ。兄貴分であるQ3とサイズを比較すると、Q2はフロント&リヤのオーバーハングが短く設計されているのが良く分かる。ちなみに、この各種寸法はすべて欧州仕様値である。欧州仕様値は1㎜刻みで公表されているが、日本の国交省届出値は5㎜単位に数字が丸められてしまう。こちらのほうが数値は正確だ。

ボディ

ボディ骨格はすべてスチール製。衝突強度を支える骨格部材には、焼き入れして強度を高めたホットスタンプ鋼板や、圧延時に板厚を変化させて合理的に軽量化を図るテーラーロールドブランク鋼板などを採用する。全面衝突荷重の支持に、フロアトンネルを利用しているのがわかる。一方で、カウルトップやバンパービームには、強度の低い通常鋼板が使用されており、歩行者保護性能の向上を狙っている。リヤフェンダーの中央からは、極太のCピラー骨格が立ち上がっており、リヤサス入力をがっちりと支持する。

こちらはBピラー部分の鋼板を拡大したところ。ピラー部分とボディ接続付近で超高張力と高張力を使い分けていることが分かる。高いボディ剛性を実現させるための構造であるが、万が一アクシデントが発生した場合でも乗員保護能力を高めるためのテクノロジーでもある。



 Q2はドイツ・インゴルシュタット本社のメイン工場で生産されている。最先端の組立&溶接ロボットにより、ボディは高い精度で組み立てられていく。

外観上のチャームポイントでもあるCピラーの樹脂製パネルは、カプラーと両面テープで固定される。

ボディ下面に設けられた空力装置

Q2の下回りを覗いてみると、ボディ下面を流れる空気を上手に利用しようとする工夫が見られる。この画像はフロントパンパー下から撮影したもので、二段構えのスパッツを備えているのが分かる。手前に見えるディンプルにも空力的な秘密が隠されていそうだ。

こちらは、ボディ下部の燃料タンク前を撮影したもの。アンダーカバーには細かなフィンが刻まれており、複雑な形状をしたタンクまわりに風を巻き込むことで発生する乱気流を防いでいる。空力には不利な外観デザインを、床下に配置した空力パーツでうまく補っている。

1.0ℓ TFSIエンジン

コンパクトで高効率な1.0ℓ直列3気筒直噴ターボエンジン。優れた設計と制御により、ドライバーにターボラグをほとんど感じさせない。このエンジンは、UP!やA1に搭載されているCHZ型を高出力化したものだ。単体重量は88㎏。

1.0ℓ TFSIエンジンの性能曲線

軽量コンパクトな1.0ℓ TFSIエンジンを搭載するQ2の透視図。アルミ製ビストンと鍛造コンロッドをバランス良くセッティングすることで、バランスシャフトなしでもスムーズな回転フィールを得ることに成功したという。経済的で精密機器のようなイメージのエンジンであり、日本市場では1.0 TFSI sportが主力モデルとして人気が出るのは間違いないだろう。

1.4ℓ TFSIエンジン

1.4ℓ直列4気筒直噴ターボエンジンのCZE型。気筒休止システムにより2気筒だけの運転になっても、振動や騒音は非常に低いレベルに抑えられている。この状態からドライバーがアクセルを踏めば、即座に4気筒すべてが稼働する。

1.4ℓ TFSIエンジンの性能曲線

1.4ℓは気筒休止装置付き

Q2のグレード名にもなっているCOD=シリンダー・オン・デマンドは、自動気筒休止システムを意味している。イラストは、左から右が気筒休止の流れ。作用カムとロッカーアームが接触している状態( 緑)から、アクチュエーター先端のピンがカムシャフトの溝に嵌ることで横にスライド(青)、ロッカーアームの位置にゼロリフトカム(赤)が来ることで、バルブリフトが休止される。

デュアルクラッチトランスミッション Sトロニック

2枚の乾式クラッチを備えるデュアルクラッチトランスミッションのSトロニック。オートマチックで走る場合は2つの変速モードから選択でき、Dモードでは「可能な限り低いエンジン回転数」で経済性に富み、Sモードでは「エンジン回転数が高く維持されて」スポーティでキビキビとした走りを楽しむことができる。湿式クラッチ式に比べると、トルク容量は小さくなるが、軽量で引きずり損失が少なく、効率が良いのがメリット。クリープ走行も巧みにこなす。

リヤサスペンション

 2WDモデルのリヤサスには、トーションビーム式を採用する。左右のトレーリングアームをクロスビームで結んだ構造で、コーナリングなど左右が逆位相にストロークする際は、ビームが捩じられることでスタビライザー効果を発揮。同相ストローク時には対地キャンバーは変化しないが、ロール時にはビームの捩り中心とブッシュ中心を軸にして揺動するため、セミトレ式と同様のキャンバー変化を見せる。

「オーソドックスなサスペンション形式」フロントサスペンション

フロント・サスペンションは、ロワウイッシュボーンと鋳造アルミ製のピボットベアリングを備えたマクファーソン・ストラット式を採用している。

4WDモデルのリヤサスはマルチリンク式を採用

こちらは、日本未導入のクワトロモデルに採用されたマルチリンク・サスペンション。トレーリングリンクとダブルウイッシュボーンを組み合わせたようなリンク構成だ。

各種センサ系の小型化が進む

衝突軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールに使用するミリ波レーダーも、最新のものを採用。右がQ2に採用されたもので、従来のもの(左)と比べて、大幅に薄くなっているが、性能はむしろ向上している。

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