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小柄な女性が街乗りで使うならほぼ申し分ない! ミラトコット


若い女性をメインターゲットに「誰でもやさしく乗れるエフォートレスなクルマ」として開発されたダイハツのベーシック軽、ミラトコット」。前回は郊外の一般道での試乗に限られたため、今回は首都高速道路と都内の市街地を中心に約200kmを走行し、その実力を改めて検証する。




PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)

アナザースタイルパッケージ(スイートスタイル)のロアスカートとデザインフィルムトップを装着したフロントマスク

 可愛さを分かりやすくアピールしていた前身のミラココアに対し、若い女性ユーザーからの声を受け、徹底して素の魅力にこだわったというミラトコット。その外観を改めて見ると、立体感が少なからず損なわれるカタログや写真で見た場合はもちろん、実車を目の当たりにしても、極めてシンプルにまとめられているのが分かる。要素が多く煩雑なデザインになりがちな、今時のクルマよりもむしろ好感が持てるものだ。

デザインフィルムトップをルーフに装着することで明るい2トーンカラーに

 今回のテスト車両には、メーカーオプションの「アナザースタイルパッケージ(スイートスタイル)」(9万8820円)と「デザインフィルムトップ(キャンバス地調/アイボリー)」(4万3200円)が装着されていたが、素のデザインがシンプルなだけに、これらによるドレスアップ効果は絶大。「ジューシーピンクメタリック」のボディカラーも相まって、昔ながらの分かりやすく可愛い雰囲気に仕上がっていた。




 これが15万円弱で手に入れられるのは、交換が必要な部品をディーラーではなくメーカーの工場装着とすることでムダを減らした、ダイハツの努力と工夫のおかげなのは間違いない。

水平かつスクエアな形状のサイドビュー

 なお、このシンプルなデザインは、昨今の若い女性の好みだけを反映したものではない。基本設計を共用するミライースよりも車高と室内高を30mm上げることで、全高は1530mm、室内高は1270mmを確保。さらに各ピラーの角度を立て、前後バンパーやボンネット、ドアパネル、窓ガラスをスクエアな形状にしている。これは、運転に自信のない女性や高齢ドライバーの不安を払拭すべく、視界が広く車両感覚も掴みやすいよう配慮した結果でもあるのだ。

Aピラーが遠く視界も空間も広い運転席まわり

 改めてミラトコットの運転席につくと、そうした工夫の数々を即座に実感できる。Aピラーが遠くにあり、かつトリムも丸みを帯びているため視界は広く、特に右前方の死角が少ない。水平基調のインパネも視覚上の圧迫感を和らげる形状とされているため、実寸法以上に広く感じられる。

EPSの電流量を33Aに増やしたステアリングと、専用設計のブレーキペダルシート

 こうしたデザインやパッケージングだけではなく、シャシー側でも負担軽減の配慮は入念だ。モーター電流量がミライースの25Aから33Aに増量された電動パワーステアリングは、単に軽いだけではなく、路面とタイヤの接地状態を感じ取りやすいよう入念にチューニングされている。またブレーキも、角度・形状が専用設計のペダルシートが与えられ、軽い力でスムーズに減速できるようになっているのも見所だろう。

ミライースに対するシャシーの主な変更点

 そしてサスペンションは、端的に言えば快適性を最重視したソフトな乗り心地。またコスト削減のためスタビライザーも装着していない。だが代わりに、フロントストラットにはリバウンドスプリング、リヤサスペンションには上下方向に柔らかく左右方向に固い特性のブッシュを採用している。




 そのおかげで、旋回時のロール量は多いものの、ロールスピードはゆったりしたものに。市街地の交差点ではもちろん、タイトコーナーが続く首都高の5号池袋線や都心環状線でも、ステアリングをおっかなびっくり操作する必要はなく、スローながら至ってリニアなハンドリングを楽しむことができた。




 乗り心地も、低速域主体の市街地だけではなく、荒れた路面の直線と中高速コーナーが入り交じる首都高1号羽田線・横羽線を走っても非常に快適。路面の凹凸をしなやかにいなし、かつ大きなギャップが連続する状況でも、車体が大きく揺すられ不安定になることはない。

155/65R14 75Sのダンロップ・エナセーブEC300+を装着

 なお、前回試乗時に耳に付いた盛大なロードノイズは、パワートレインのノイズ・振動が少ないこともあり、粗粒路と良路とでの変化が極端なため、余計に大きく感じられることが見えてきた。

フロントシートはクッション性に優れるものの全体的に小ぶりで、面圧がヒップに集中しやすい
後席はさらに小ぶりで形状も平板。ルーフ後端のクロスメンバーが大きくヘッドクリアランスも最小限


後席背もたれは一体可倒式。倒した際の荷室フロアとの段差は少ないが傾斜は強め

 ミラトコットはシートも足回りと同様にソフトなのだが、クッションにコシがあるため掛け心地は悪くない。しかし身長176cm・座高90cmの筆者には絶対的なサイズが小さく、かつ座面前端の落とし込みが大きいため、面圧がヒップに集中しがち。17歳女性の平均身長が157cmを超えてからすでに40年弱経過している実情を考慮しても、もう少し大柄な体格を想定したサイズ・形状にすべきだろう。

52ps&60Nmを発するKF-VE4型NAエンジン

 最後に、パワートレインについても触れておきたい。ミライースに対し50kg増加した車重に対応するため、エンジンはムーヴやキャストと同じシングルインジェクション仕様の「KF-VE4」型に換装。CVTは、街乗りでの発進加速を重視したセッティングに変更されている。




 そのおかげで確かに1名乗車の街乗りではさほど苦労せず済むものの、発進時や上り坂、そして高速道路での合流・再加速ではハッキリと力不足。助走距離の短さで悪名高い首都高では、アクセルを全開にしても充分に速度を上げられず、安全に本線へ合流するのに苦慮することが何度かあった。




「誰でもやさしく乗れるエフォートレスなクルマ」、その謳い文句は確かに正しい…80%ほどは。だが、ターボエンジンを搭載しシートを大ぶりにすれば90%以上、さらにホイールハウスまわりの静粛性を高めれば100%に限りなく近づくのは間違いない。




 だから筆者は、今後の進化とバリエーション拡大を心から期待している。運転に慣れているドライバーでも、「エフォートレスなクルマ」の方が楽に運転できて疲れにくいことに、何ら変わりはないのだから。

【Specifications】


<ダイハツ・ミラトコットG“SA3”(FF・CVT)>


全長×全幅×全高:3395×1475×1530mm ホイールベース:2455mm 車両重量:720kg エンジン形式:直列3気筒DOHC 排気量:658cc ボア×ストローク:63.0×70.4mm 圧縮比:11.3 最高出力:38kW(52ps)/6800rpm 最大トルク:60Nm(6.1kgm)/5200rpm JC08モード燃費:29.8km/L 車両価格:129万6000円
ダイハツ・ミラトコットG“SA3”

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