ジェイテクトは、「パワーステアリング用の2系統電動モータ装置」の発明で、令和元年度愛知発明表彰の「愛知発明賞」を受賞した。
ステアリングシステムの故障時の対応として、従来は、安全性を優先させるために EPSのアシストシステムを停止させ、ハンドルは重くなるものの、操舵は可能で安全性は確保される、という方法がとられていた。しかし、異常時にハンドルが重くなることは商品性を著しく低下させるため、故障時にも、システムを停止することなく、動かしつづけるという対応が必要だった。
安全性確保のためにモータを2個用いてバックアップするという方法もあるが、故障率が極めて低い機械部品も2倍必要となり、コストが高く大型化してしまうという問題点があり、実用的ではなかった。
今回の発明は、ハウジングやシャフト等は従来通り1セットだけで構成し、電気的な部分のみ下図の通りA系統、B系統の2系統で駆動する巻線を交互配置することにより、故障時にもシステムを動かし続けることを可能にし、安全性を確保するばかりでなく、トルクの向上と、静粛性の改善をも実現した。
自動運転用システムや、ステア・バイ・ワイヤでは、車載システムに万が一故障が発生した場合でも、それをバックアップする機能を導入する“二重化”は必須で、この発明は今後の発展に大きく貢献することが高く評価された。