
<高校野球岡山大会:おかやま山陽7-0玉野光南>◇25日◇準決勝◇倉敷マスカットスタジアム
岡山大会の準決勝での約50分間の中断をめぐり、審判側が謝罪する異例の事態が起こった。
審判委員長は試合後、報道陣に向けて説明。「規則を確認せずに審判団が一度アナウンスしてしまった。そのために協議に時間がかかってしまった。二塁塁審も衝突してしまったことを反省して、謝罪していた。ただ、ルール上は妨害には相当しないので」と中断および塁審謝罪の理由を明かした。
事の経緯は以下の通りだ。
おかやま山陽が3-0とリードして迎えた6回裏2死二、三塁。おかやま山陽の打者が放った打球が二遊間に転がった。
しかし、捕球動作に入った遊撃手に塁審が衝突。玉野光南側から守備妨害の指摘があり、審判団での協議が行われた。
一度「審判員の妨害でボールデッド、2死満塁から再開」というアナウンスがあった。しかし、審判委員長から規則を確認するように審判団4人に対して指摘があり、再び審判団で協議。結論がなかなか出ず、両チームの選手がグラウンドからベンチに引き上げ、試合は約50分間中断した。
結果的に判定は「審判員の妨害は不適用。インプレーとして2死一、三塁から再開」。遊撃への適時内野安打となり、おかやま山陽の得点が認められ、なおも2死一、三塁から試合が再開された。
2度目のアナウンスでは、衝突した塁審から「アンパイアミステイクでした。申し訳ありませんでした」と異例の謝罪があった。
再開直後の打者も適時打を放ち、この回2点を奪ったおかやま山陽。その後も2点を奪い、8回コールドで勝利し、2年ぶりの決勝進出を決めた。
試合後、玉野光南・田野昌平監督(52)は「試合が終わって言うことではないが、守備側に不利になる判定が絶対にあってはいけないプレーだった。3年間、一生懸命やってきた最後の夏の大事な1球。ロボット審判なども導入されるこの時代だからこそ、誰もが納得できる判定をしていかないといけない」と強い思いを口にした。
○…公認野球規則には「審判員の妨害は(1)盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしようとする捕手の送球動作を、球審が邪魔したり、はばんだり、妨げた場合、(2)打球が、野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員に触れた場合に起こる」と記載されている。これをもとに協議した結果、そもそも打球が審判に当たっていないため(2)が適用されないと意見が一致し、「規則にない事象」としてインプレーの判定となった。