以前、教習所がドローン操縦士を養成するスクールを開校したニュースをお伝えしたのをご記憶だろうか。この情報をいただいたのは、愛知県名古屋市にあるCBC自動車学校で副校長をつとめる大瀧賢治さんだ。大瀧賢治? この名前にピンときたあなたは、相当なレース通と認定しよう。そんな大瀧選手が、レース参戦に向けて再挑戦をしている。
★CBC自動車学校が「CBC Drone School」を開校~リンクはこちら⇒https://motor-fan.jp/article/10007169レーシングドライバーの大瀧賢治さんは、現在は名古屋市にあるCBC自動車学校の副校長だ。かつてはトップカテゴリーを目指すレーシングドライバーとして活躍し、筆者にはその「速さ」と「強さ」が強く印象に残っているドライバーのひとりだ。
1998年富士FJ1600シリーズ、2001年鈴鹿FJ1600シリーズ、2003年西日本 F4 選手権、 2008年スーパー耐久 ST2 クラスと4度のシリーズチャンピオンを獲得している実力派である一方、日本一間違いなし!と思われていた2001年FJ日本一決定戦では、トップを走っていながら最後の最後でオイルに乗って3位に終わるといったような、どこか運に恵まれないこともあった。
そんな大瀧選手に久々に取材の現場でお会いして、思い出話に花を咲かせることができた。そうしたなか、彼にはとんでもない野望があることを知った。なんと、今シーズンのFIA-F4選手権に参戦したいというのである。繰り返すが、42歳の大瀧選手がドライバーとして、だ。ハコ車のサンデーレースではなく、ヤングタイガーがしのぎを削るFIA-F4選手権に出ようというのだ。
「やっぱり、『もう一回、自動車レースをやるんだ!』という純粋な気持ちです。自動車学校の教習指導員や、国土交通省航空局認定無人航空機(ドローン)教育操縦士という仕事はもちろん好きです。でも、働きながらでも、サラリーマンレーサーとしてもう一度サーキットでレースをしたいという考えを簡単に諦められないんですよ。自動車レースの一線からは退いたものの、大人になってずっと我慢してくすぶってきました。これは42 歳になる自分への挑戦であり、ラスト勝負でもあるんです・・・」
そんなピュアすぎることを真正面から言われて正直面くらったというのが、49歳になろうとしている筆者の正直な感想だ。
「自分の人生、後悔したくありません」と大瀧選手。
誰でも思いは同じだ。しかし、そんな夢をごまかしながら、そして後悔の念を抱えたまま人生をすごし、終えていくのが大多数の人間だと思う。でも、大瀧選手は「もう一度本物のレースをしたい」という気持ちにもう一度火をつけた。
とはいえ、モータースポーツというものは、サッカーや野球やバスケットボールのように、やろうと思って簡単に参戦できるような簡単な世界ではない。ステップアップフォーミュラと言われるFIA-F4といっても、参戦するためには、4桁万円はかかるのではないかと推測される。モータースポーツには莫大な『先立つもの』が必要なのだ。
大瀧選手は、2018年12月17日に岡山国際サーキットライセンスを再取得。翌18日には実際のF4マシンで2時間の走行テストを行った。20日にスポンサー活動を開始するとともに、東京オートサロンなどの場を利用しながらさらなる営業活動を行っているという。
2019年3月中には体制を整え、4月13日(土)に岡山国際サーキットで開幕する2019年のFIA-F4選手権第1戦と第2戦に照準を合わせているという。
「私の場合、FIA-F4選手権に出場するためには、スポンサー様の支援をいただかなければ参戦することはできません。現状、資金としてはなかなか厳しい状況です。でも、あきらめないで頑張りたいと思います」という大瀧選手。
42歳の男が必死に夢を追う姿はとてもかっこいい。一方、その夢を実現できるかはどうか正直筆者にはわからない。世の中そんなに簡単にはいかないことは、大瀧選手自信が一番よく知っていることだろう。
ただ、筆者としては、これまでのレース活動において『わずかな運』に恵まれなかった大瀧選手に、レースの神様が最後の最後で手を差し伸べてくれるのではないか、そんな予感がするのだ。
大瀧選手の夢を支援してあげたいというスポンサーが現れることを願っている。