トライアンフの新型モデル「スピードツイン」の日本での発売を記念したローンチパーティ「TRIUMPH NIGHT」が2月13日に東京・渋谷のクラブ「WONB」で開催された。「バイク×アート×ミュージック」をコンセプトに業界のカベを超えた新しいスタイルのプレゼンテーションが展開される中、不朽の名車のネーミングを冠して蘇った現代のスピードツインが輝いた。
REPORT●ケニー佐川(SAGAWA Kentaro)
PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)
クラス最高峰のハンドリング
昨年から毎月1台のペースでニューモデルを投入するなど進境著しいトライアンフが、今回発売したのが往年の名車、「SPEED TWIN(スピードツイン)」の現代版である。ちなみに1938年に登場した元祖スピードツインは、当時も優れたパフォーマンスと操作性により、トライアンフを世界に名だたるモーターサイクルブランドの地位に押し上げた名車として知られている。
最新モデルとなる新型スピードツインはボンネビルシリーズの中で最も高性能な「スラクストンR」をベースに作られている。エンジンは専用アップデートされた水冷並列2気筒1,200ccSOHC8バルブ仕様で、低慣性クランクと高圧縮ヘッドにより97ps/6,750rpmの最高出力を実現。今回、マグネシウムカバーなどの軽量パーツの採用などにより、エンジン単体で2.5kgの軽量化を達成している。
車体も専用の新フレームに高性能カートリッジ式フォークとツインショックを前後に組み合わせ、ブレーキにもブレンボ製フロント4ピストン&リヤ2ピストンの前後トリプルディスクを採用するなど充実。軽量17インチキャストホイールと高性能なピレリ製ロッソコルサ3タイヤが奢られるなど足まわりもスポーツ性能を重視したスペックとなっているのが特徴だ。
さらにスラクストン比で10kgの大幅な軽量化を施すなど、クラス最高峰のハンドリングを狙ったモデルに仕上げられた。また、3つのライディングモードにABSと切り替え式トラクションコントロールを装備するなど最新の電子制御も投入された。
当時のコンセプトを現代的にリバイバル
見た目は従来のボンネビルシリーズとはまたひと味違った印象で、トライアンフの伝統と新しさを融合したレトロ&モダンなシルエットの中にスポーツモデルとしての躍動感を織り込んだデザインになっている。
T120が往年のボンネビルを強く意識したクラシカル路線であるのに対し、新型スピードツインは1938年当時に元祖モデルが確立した“ハイパフォーマンスなスポーツモデル”としての立ち位置を現代的に解釈したものとも言えよう。それをデザインでも表現しているのだ。
冒頭でスピーチを行ったトライアンフモーターサイクルズジャパン代表の野田氏によると、今の大型バイク市場はリバイバルトレンドの真只中にあり、そこに満を持して投入したのがスピードツインと言う。価格的にもより多くの人に乗ってもらえるベンチマークとして、160万円(消費税込)というリーズナブルな設定にしているとのこと。すでに予想を超える予約が入り増産をリクエストしている状態だとか。
ローンチパーティ会場はアートと音楽に溢れた華やかな雰囲気に包まれていたが、やはり主役はスピードツイン。英国流美的センスに裏打ちされた全身に漂うプレミアム感と本家バーチカルツインが醸し出す迫力は圧倒的だ。その存在感はまさしく本物の証と言えるだろう。