ホンダのCESブースに「いた」と表現したくなるロボットが展示されていた。人との共存を目的のひとつにしたロボット。道理で親しみがわくわけだ。
数メートルの正方形の展示ブースに、そのロボットはいた。ちょうどそのスペースの真ん中に立ちそびえているだけに見えたのだが、よーく眺めるとゆらゆらしている。地面との接点を見ると、球形の1点だけで設置している。バランスしながら立っているのだ。
P.A.T.H.Botというこのロボットは、人共存移動を目指している。Predicting Action of The Humanの略で、人に不安を与えず、人の行きかう公共空間をスムーズに移動する機能を搭載している。このなんとも言えないふんわりとした筐体もそのためで、たとえば人ごみの中を移動してかりにだれかとぶつかったとしてもダメージを与えない形状と大きさにしたという。グレーとアイボリーの2トーンも威圧感がなく、そういえばASIMOもこのカラーリングですねと訊いたら、奇しくもグレーの部分は同じ色だという。ASIMOも、人に親しみを感じてもらえるように小学校4年生くらいの女の子の身長にしたと以前に聞いたが、P.A.T.H.Botにも同様の思想が感じられる。ちなみにこちらの身長は1050mmだ。
具体的に何をさせるという方向性は、ホンダとしてはまだ打ち出していない様子。パートナーを得て、このロボットの持つ拡張性で引き出していくのだろう。公にはしていないようだったが、成田空港の国際線出発ロビーで、平日に「お仕事」をしているらしい。見かけた方はぜひ、そのなんとも言えない愛嬌のある雰囲気を確かめてみてほしい。