豊田合成は、車載製品では世界初となる共振式のワイヤレス給電技術を用いた「LED照明付きエアコンレジスター」を開発した。新開発のLED照明付きエアコンレジスターは、レクサスUXに採用されている。
共振式ワイヤレス給電技術とは、ひとつの物体の振動(周波数)が他の物体にも伝播する「共振」の原理を利用したワイヤレス給電技術だ。送電側と受電側の回路の磁界(周波数)を共振させて電力伝送することで、離れた場所にも送電できるのが特徴である。
豊田合成が開発したLED照明付きエアコンレジスターが搭載されているレクサスUXでは、エアコンの風向や風力を調整するノブに、夜間の視認性を高めるLED照明が採用されている。従来の有線での給電では、ノブの繰り返し操作によるワイヤハーネスの破断などの懸念があるため、今回、無線での給電技術を用いて課題を解消した。ワイヤレス化によりデザインの自由度も高めた。
加えて、LED照明のレンズ内部を合わせ鏡にして光の環が立体的に連なって見える演出で、先進感の創出にも寄与。これらの技術が評価され、トヨタ自動車からCE特別賞を受賞した。
豊田合成はゴム・樹脂の高分子分野を中心とするコア技術を用いた自動車部品に、電子技術を融合させたモジュール製品の開発を進めている。今後もワイヤレス給電などの技術を活かし、自動運転・電動化時代に求められる新たな価値を提供していくという。
構造と給電原理
① レジスター外周の送電回路に電流を流す。
② 周りに一定の周波数の磁界が発生。
③ レジスター中央(ノブ本体)の受電回路が共振し、
周りに同じ周波数の磁界が発生。
④ 磁界により、受電回路に電流が生じ、
LEDが点灯する。