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スバルWRX STI(GVB)を現行型に負けないスペックへと高めるカンサイサービス流チューニング術


チューニング界のご意見番として誰もが知っている向井敏之氏が代表とつとめるKANSAI Service。ストリートからサーキット、最高速とジャンルを問わず、「速さと快適性の共存」をテーマにクルマの質と機能を高める努力を続けている。そんなKANSAI Serviceのデモカーの一つ、スバルWRX STI(GVB)のチューニングについてOPTION WEBの記事からご紹介しよう。

純正タービンのポテンシャルを引き出す!

以前デモカーとして所有していたGRB型WRX STIでは、タービン交換やエンジン本体にまで手を入れるなどEJ20チューンのデータを豊富に蓄積してきたカンサイサービス。一方で、現デモカーのひとつであるGVB型WRX STIは試乗車を兼ねていることもあり、ブーストアップで構築する快適ストリート仕様に仕立てられている。




代表の向井さんは「ユーザーの欲求をカタチにしたスペック」と表現するが、そのポイントとなるのが吸排気系だ。もともとEJ20は高回転域にアドバンテージを持つユニットなので、吸排気の見直しによって低中回転域のトルク不足を補い、力強い加速フィールを得るのが目的だ。

ノーマル車は、触媒がタービンのすぐに後ろに装備されて大きな抵抗となっているため、メタルキャタライザーの効果は絶大だ。ノーマルは排圧が異常に高くなる傾向にあり、ハニカム形状の内部構造が潰れて詰まってしまうケースも珍しくない。そこで、セル数を変更した低抵抗のメタルキャタライザーに変更すれば、負担を大幅に軽減できるのだ。




また、吸気系でも抵抗の軽減がテーマとなり、サクションパイプの交換だけでも十分な効果が得られる。さらにデモカーではオリジナルのカーボンエアダクトを導入。フレッシュな外気を大量に取り込む策が講じられていた。

これらのパーツセレクトと並行し、ECUとブーストのセットアップも進めるが、課題となるのはノッキングの抑制だ。中間域で生じるオーバーシュートがノッキングの原因となるため、燃調、点火時期、ブーストなどをリンクさせたトータルセッティングを展開している。最大トルクに到達する4000~4500rpmやアクセルの踏み返しでの唐突なトルク発生をコントロール。パワーとトルクを増大させながらもフラットな特性に調教することで、オーバーシュートを抑えているのだ。




一方、フットワークパーツでは、19インチをセレクトしたタイヤ&ホイールが見逃せない。ノーマルのGVBには18インチが標準装着されることもあり「1インチアップの19インチに興味を持っているユーザーは多いですよ」と向井さん。ハイグリップラジアルのアドバンネオバを履かせ、ビジュアルとスポーツ性の両立を提案。HKSハイパーマックスⅣをベースに細やかなセッティング変更で応え、19インチで硬さを感じさせない上質な乗り味を作り出している。




<エンジンスペック>


最高出力:333ps/7050rpm


最大トルク:46.2kgm/4370rpm


装着パーツ:Kansai カーボンエアダクト、HKS レーシングサクションR、HKS メタルキャタライザー、HKS リーガマックスプレミアムマフラー、HKS EVC6、HKS フラッシュエディター

耐久性が高く、しかも低抵抗のスポーツ触媒という観点でHKSのメタルキャタライザーを選択。また、キャタライザー交換時に欠かせないのが断熱処理で、このGVBではクラッチマスターシリンダーや各種配線に徹底して施される。

HKSのレーシングサクションRを組み込み、吸気抵抗を軽減。エンジンルーム内の熱気に影響されることなく、フレッシュな外気を取り入れられるように設計されたカーボンエアダクトはオリジナル。開口面積が大幅に拡大され、形状でも抵抗がなく、スムーズにエアを導入できることを最優先する。

ECU-TEKによるECUチューンも行うが、主流になりつつあるのがフラッシュエディターによるデータ変更。低価格でノーマルにも戻しやすいなど、手軽さが支持されている。なお、カンサイサービスでは水温の変化や振動といった異常を正確に把握するため、実走行やダイナパックで負荷をかけながらセッティングを進める。

マフラーは左右4本出しで安定感のあるリヤビューを作り出すHKSリーガマックスプレミアム。マフラーの選択によっては異常に排圧が上昇することもあるため、ストレスが少なく、低音量の車検対応マフラーとして選んだ。

メタルキャタライザーは排気効率の改善に有効だが、出力向上に伴い発熱量も増えるため、水温や油温への影響を監視するために追加メーターの導入は不可欠。視認性に優れるアナログメーターのほかに、OBDコネクターから車両情報を抽出してモニターに表示するOBリンクを取り入れるのもアリだ。

油温のヒート傾向がもともと高く、10W-50といった高粘度のオイルを使うのも対策案のひとつ。オイルクーラーの追加で十分に油温が安定するのであれば、10W-40や0W-40まで少し粘度を下げて、レスポンスアップを狙ってみてもいいだろう。

サーキット派ではキャンバーもつけて265/35-18あたりを履くのが定着しつつあるが、ビジュアルとスポーツの両立を狙って19インチの245幅をセレクト。「ワインディングでの走りも楽しめて、見栄えのするルックスも欲しい」というニーズに応える。

ハイスピード域からのハードブレーキングが強いられるサーキット走行に備え、デモカーにはプロジェクトμのレーシングキャリパーキットをインストール。フロントが6ポットキャリパーと355mmローター、リヤは4ポット×4パットキャリパーに345mmローターとなる。

ストリート快適仕様として「ストロークを十分に取って快適に走りたい。でも、たまには峠やサーキットでスポーティに走りたい」というニーズを想定し、HKSハイパーマックスⅣ GTをチョイス。
セッティングが決まれば、減衰ダイヤルの切り替えで幅広いステージをカバーできる。


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