旬なクルマの情報を網羅した「モーターファン別冊 統括シリーズ」。今回は「Vol.106 2018-2019年国産&輸入SUVのすべて」から「ジープ・コンパス」の一部を抜粋してご紹介。
レポート=佐野弘宗[本文]/工藤貴宏[写真解説] フォト=宮門秀行
欧州×米国の美点が融合 安全装備と情報機能も充実
ジープではスモールなレネゲードとミドルなチェロキーの中間に位置するコンパスは「コンパクトSUV」だそうだが、日本人の感覚ではコンパクトというには立派過ぎる感もある。ただ、そのサイズは北米でも小さ過ぎず、日本や欧州でも取り回しやすく、さらに新興国では家族向けファーストカーとしてもイケる……とグローバルにおける最大公約数的なもので、最近はこのサイズのSUVが大流行している。実際、コンパスは世界4拠点で生産されて、最終的には100ヵ国以上で販売予定という。つまり、これはジープ随一のグローバル戦略商品なのだ。
そんなコンパスの商品力はさすが、どこの国でもスキのなさそうなバランス派である。ジープの旗艦でもあるグランドチェロキーを思わせるデザインに、室内空間や荷室もほどほどに実用的。操縦性や乗り心地もグローバルな欧州テイストに、アメリカンなユルさがほどよく散りばめられている。海外ではレネゲード同様の1.4ℓターボもあるコンパスのエンジンだが日本仕様は全車2.4ℓ。フィアット500X/レネゲード由来の基本フィジカル能力は十二分に高いので、FFでもシャシー性能にまったく不足はない。
さらに、自動ブレーキ技術やインフォテイメント機能が充実しているのもさすがの国際基準。特に日本仕様のナビが多機能な車載システムにきちんとインテグレートされている点は、日本におけるジープの(多いとはいえない)販売台数を考えると、なかなか良心的である。
ジープとしては珍しくAピラーの傾斜が強く、フロントウィンドウがドライバーに迫ってくる感覚がある。前席はサイドサポートが大きく硬いが、幅はゆったりとしている。後席は、このクラスとしては足元が広いのが自慢。ファミリーユースにも推奨できる。
LONGITUDE
全長×全幅×全高(㎜):4400×1810×1640
ホイールベース(㎜):2635
トレッド(㎜)前/後:1550/1540
車両重量(㎏):1490
エンジン種類:直列4気筒SOHC
総排気量(㏄):2359
最高出力(kW[㎰]/rpm):129[175]/6400
最大トルク(Nm[㎏m]/rpm):229[23.4]/3900
燃料タンク容量(ℓ):60(レギュラー)
トランスミッション形式:6速AT
駆動方式:FF
タイヤ・サイズ:225/60R17
最小回転半径(m):5.7
JC08モード燃費(㎞/ℓ):11.9
車両本体価格:351万円