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シルクロードの古代都市を辿る【クラシック・ボルボで行くオランダから北京の旅 TAC2018 リポート第4回】


第1回 いざ出発!第2回 イスタンブールはやっぱりカオスだった!第3回 灼熱のイランより

砂漠の中に大統領の夢の首都

白亜のビルが林立するアシガバート、ニヤゾフ初代大統領(終身大統領のまま死去)の“ネバーランド”だが、100万近い人口と言われる割には人影少ない奇妙な首都だ。

 イランを4日かけて西から東に横断し、次はトルクメニスタン入国である。毎日の行程は基本的に自由で、日のあるうちにホテルに到着すればいいのだが、国境は全車一緒に通過しなければならない。予めエージェントが先に送った書類を用意してサポートしてくれるからだ。


 


 比較的新しいボルボは寄り道して観光する時間もあるが、せいぜい110km/hぐらいしか出ない我がアマゾン(トルコで緩んだタペットの心配もあり全開走行は避けたい)は余裕がなく、道草せずに先を急ぐ毎日である。平均すると毎日500kmほどを一般道(すべて舗装路だが荒れた個所もあり、速度取り締まりも多い)で移動しなければならないのだ。

 トルクメニスタンの入国審査はイランよりもはるかに厄介だった。入国審査はドライバーがひとりずつ別室に呼ばれて行われたが、後で聞くと暗に金品を要求されたという。役人と警察が威張っている発展途上国にありがちである。きっぱりはねつけることもできるが、そうすると手続きをグズグズ引き延ばされたらしい。4時間ぐらいかけて何とか終了、ドライバーの砂さんは疲労困憊で役人の態度に腹を立てていたが、中国はこんなもんじゃないよと慰める(実際にその通りだった)。


 


 徐々に変化しているらしいが、トルクメニスタンは「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれた不思議な独裁国家で、首都アシガバートに近づくと途端に監視カメラが増えた。真っ白い立派なビルが林立する首都は妙に人気がなく、車も少なく不自然なほど大人しく走っている。天然ガスと石油に恵まれた豊かな国のはずだが活気がない。整然としているが寒々とした都会だった。もっとも、首都を離れるとよそよそしさは消え、道路沿いの物売りもフレンドリーだったが、都市と農村部のインフラの差は明らかに感じられた。

トラブル発生! リタイヤか?

 それに比べてウズベキスタンはずっと開放的だった。ともに世界遺産に指定されている古都ブハラや首都サマルカンドには欧米からの観光客も多く、繁華街にはATMも普通に設置されていた。


 


 


 イランは海外のカードは一切使えず、トルクメニスタンもほとんど使えなかったのに対して、対外的に開かれていることを実感する。サマルカンドからは徐々に山がちになり、暑さもようやくひと段落という感じ(それでも日中は40℃ぐらいはある)、いよいよ中国国境の山越えが近づいている。

 まさにそんな時、ウズベキスタンのフェルガナからキルギス国境を越えてオシに向かう途中で下回りから異音発生、どこか緩んだのかと思って慎重に走ってホテルに着いてチェックしたところ、何と右リアサスペンションのブラケットがパッキリ折れてしまっていた。翌日は早朝5時前にホテルを出発し、イルケシュタム峠の中国国境を通過しなければならないという、今回のルート最大の山場を前にしてのトラブル発生である。


 


 トルコで緩んだタペットのアジャスターボルトも同様だが、きちんと整備していたとしても、目いっぱい走らせて初めて露わになる弱点がある。後で聞いたらどうもクラックが入った昔の古傷があったらしく、長旅のストレスで弱い部分が音を上げたのではないかという。他の参加者からは良すぎるダンパー(今回のためにテイン特製ダンパーユニットを取り付けていた)を装着したからだとからかわれたが(皆手助けを申し出てくれる)、こんなアクシデントがあると一層チームとしての一体感が高まるようだ。

キルギス国境手前で発生した異音の原因は、なんとサスペンション・ブラケットの破損。右リアダンパーユニット(テイン製別タン式プロトタイプ)下側を支えるプレートがパッキリ折れてしまったが、頼れるサービスチームがポータブル溶接機で応急修理。結果的に北京まで問題なく走行できた。作業する時間の余裕があったから良かったが、そうでなければリタイアを覚悟しなければならなかった。

 一時はリタイアも覚悟したが、何とホテル前の駐車場にポータブル溶接機を持ち出して修復、何とか持ちそうだという。それ以降は特に丁寧に走ったが、結果的にゴールの北京までトラブルは再発しなかった。メカニックのヘンクとリチャードに感謝である。彼らの臨機応変の対応力があるからこそ、これまでの旅でも脱落者を出さなかったのだと実感した。

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