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【ホンダ・スーパーカブC125試乗】高い、けどそれでいい。 乗って納得した”C125の魅力”


OHV時代から、ほぼすべてのカブに乗った経験のある筆者のスーパーカブC 125に対するファーストインプレッションが、「僕の知っているスーパーカブじゃない」だった。2018年に発売された高級路線のカブは既存のモデルとと何が異なるのか、紐を解いていく。




REPORT●近田 茂(CHIKATA Shigeru)


PHOTO●山田俊輔(YAMADA Shunsuke)

ホンダ・スーパーカブC125……399,600円

ディスクブレーキもキャストホイールも、カブに欲しかった装備がふんだんに!

 これは“僕の知っているスーパーカブじゃない”。試乗車を目前にした時、思わずそう叫んでしまった。外観デザインは紛れもなくスーパーカブそのもの。しかし漂ってくる上質なクォリティと細部の仕上げは、高級車そのものである。




 カブはOHVの初代から良く知っている。OHCモデルでは50を始め、特に90は四半世紀以上も愛用した。まさにバイク史に輝く傑作車のひとつと認められる大好きなバイクだ。しかしそれはあくまで商用車としての実用性に徹した機能的な魅力であり、質実剛健な完成度の高さに敬意を表しての事。少なくとも僕の頭の中でスーパーカブはそういう存在だった。




 のっけから誤解を招く書き出しをしてしまったが、C125がカブにあらずと書いたのは、ゴージャスなカブの存在なんて想像すらしていなかったからだ。冷静に考えて見れば、軽自動車で人気上位のホンダN-WAGONがベースとなって機能性抜群の商用車を開発しN-VANとして投入し大きな注目を集めた様に、逆転の発想はあって良い。いわば商用車として既に揺るぎない地位にあるスーパーカブもワゴン(乗用)!?タイプのモデルが派生しても不思議ではないわけだ。




 それにしてもC125の佇まいはスーパーカブ110とまるで異なっている。専用のアルミキャストホイール&チューブレスタイヤを始め、フロント油圧ディスクブレーキ。スマートキーの採用、メーターデザインや艶があり色あいの深い塗装、輝くクロームパーツの多用に至るまで全てが上質。シートロックは燃料タンク脇の小さなプッシュスイッチで解錠でき、ステップも贅沢で美しい造り。車体と同色塗装されたリヤキャリアもデザインがスマート。むしろタンデムシートを標準装備化した方が相応しいのではないかと思わせるほど乗用車的でモダンな仕上がり。どこかノスタルジーを感じさせる弧を描いたリヤフェンダーデザインも印象深い。カブであってカブにあらず、まさに別格の仕上がりが誇らしい。




 価格は12万円程高く40万円に迫るが、ここまで明確に差別化されたプレミアム商品ならそれも納得できる。カブに対する想いは人それぞれ。ユーザーの多彩なニーズを満足させられる選択肢の広がりは大歓迎である。

スーパーカブ110比11kg増のハンデはナシ

 早速都内市街地で試乗。スーパーカブ110との比較で車重は11kg増の110kg。とは言え片手をハンドルに添えてバイクを取り回す時、前周りの操舵系に若干の重みを覚えた程度。扱いは軽く何不自由のないフィーリングだ。走り始めるとむしろこの重みが程良く安定性に貢献してくれる。110 よりも落ち着きの増した優雅な乗り味を覚える。少し腰高に感じられた乗車姿勢や、優れたシートの座り心地も相まってとても快適に走れた。




 エンジンのパワーフィールも流石に125ccならではの逞しさに自然と頬が緩む。スーパーカブ110との排気量差は、わずか15ccとは言えぬほど、数値以上のゆとりをもたらしてくれる。平坦路でも登坂路でもグイグイと不足のない加速性を発揮するのだ。C125に乗るまでは、街中を走る分には110のパフォーマンスで十分だと思っていた。だけどさらにその上を行く出力特性を満喫しC125の走りを楽しんでしまうと、その常識が覆されるほど、C125のポテンシャルが魅力的に思えてくる。


メーターをチェックするとローギヤで40km/h程度まで無理なく引っ張れる。セカンドでは60km/hをオーバーするだろう。110よりも各ギヤでの守備範囲は広く、エンジン回転数も控えめに走れる点も見逃せない。




 コミューターでありながら、クルージング時の快適性と所有する喜びでプレミアムな仕上がりを誇っていることは間違いない。カブの購入を検討する時に少しの贅沢が許されるのならば、このスーパーカブC125は最良のパートナーとなってくれるだろう。

足つきチェック(ライダー身長170cm)

シート高は780mm。スーパーカブ110は735mmだからC125は45mmも高い。しかしご覧の通り足つき性はまるで問題無し。両足共地面にベッタリ。膝にも十分な余裕がある。むしろ高い分だけ前方の見晴らしが良く快適だ。



ディテール解説

タイヤとフロントフェンダーとの隙間の開き方を見ると、そのデザインにはボトムリンク時代の名残がある。フェンダー先端の白ストライプは原付二種の証。アルミキャストホイールと油圧ディスクブレーキの採用も魅力的。チューブレスタイヤである点も嬉しい。キャリパーはシングルピストンのピンスライド方式だ。

グロムでお馴染みの前傾空冷OHCエンジンは、ボア・ストロークが52.4×57.9mmというロングストロークタイプの124㏄。スーパーカブ110よりもチューニングの度合いが高く7.1kW(9.7ps)/7500rpmの最高出力と10Nm(1.0㎏・m)/5000rpmの最大トルクを発揮する。

タイヤサイズは前後共110と共通。車体と同色塗装されたスイングアームは小判型断面の専用デザインでホイールベースは110より 40mm長い1245mm。フルカバードされたチェーンケースも専用設計されラインの綺麗な上質な仕上げが印象深い。

スーパーカブ50や110はステップラバー丸出しだが、C125は金属で周囲をガードした専用設計が施され、高級感を演出。シーソー式のチェンジペダルは、フォーマルシューズで乗ることも許容してくれる。

LED式が採用されたヘッドライト。高輝度の白い輝きが特徴。ライト内部のデザインは110ともまた異なる専用の物。ウインカーもLED式で細長いレンズデザインはC125ならではの物だ。

ハンドルグリップエンドのガードも含めてメーター周り等、クロームメッキパーツが多用されている。左右のハンドルスイッチも専用シルバー塗装され、スーパーカブシリーズの中でも別格であることを主張している。

パッと見、一番良く目立つデジタル表示の数字はギヤポジションを示している。赤い指針のスピードメーターは120km/hスケールのアナログ表示。燃料計や時計、切り替え式表示のオドやトリップはモノクロ液晶表示だ。

左側のハンドルスイッチ。各スイッチノブは大きめにデザインされており操作性が良かった。上からディマー、ホーン、ウインカースイッチだ。

右側のハンドルスイッチは至ってシンプルにセルスターターボタンのみ。シルバー塗装のスイッチボックスも光沢のある上質な仕上げが印象的だ。

鍵を抜き差しする必要のないスマートキーが採用されている。電子キーを身につけていれば、イグニッションダイヤルが操作可能になる仕組み。ハンドルロックもこのダイヤルで操作できる。

ライダーが持ち歩くだけでOKなスマートキー。薄手で軽く金属の突起もないからポケットに忍ばせるにも楽。アンサーバック等のスイッチもついている。

スマートキーを身につけていれば、シート下に見えるタンク脇の黒丸スイッチをワンプッシュするだけで、カチッとシートロックが解錠できる。その扱いは実にスマートだ。

主要諸元

車名・型式 ホンダ・2BJ-JA48


全長(mm) 1,915


全幅(mm) 720


全高(mm) 1,000


軸距(mm) 1,245


最低地上高(mm)★ 125


シート高(mm)★ 780


車両重量(kg) 110


乗車定員(人) 2


燃料消費率*1


(km/L) 国土交通省届出値:


定地燃費値*2


(km/h) 69.0(60)〈2名乗車時〉


WMTCモード値★


(クラス)*3 66.1(クラス 1)〈1名乗車時〉


最小回転半径(m) 2.0


エンジン型式 JA48E


エンジン種類 空冷4 ストロークOHC 単気筒


総排気量(cm³) 124


内径×行程(mm) 52.4 × 57.9


圧縮比★ 9.3


最高出力(kW[PS]/rpm) 7.1[9.7]/7,500


最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 10[1.0]/5,000


燃料供給装置形式 電子式〈電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)〉


始動方式★ セルフ式


点火装置形式★ フルトランジスタ式バッテリー点火


潤滑方式★ 圧送飛沫併用式


燃料タンク容量(L) 3.7


クラッチ形式★ 湿式多板コイルスプリング式


変速機形式 常時噛合式4段リターン※


変速比 1速 2.500


2速 1.550


3速 1.150


4速 0.923


減速比(1次★/2次) 3.363/2.571


キャスター角(度)★ 26°30´


トレール量(mm)★ 71


タイヤ 前 70/90-17M/C 38P


後 80/90-17M/C 44P


ブレーキ形式 前 油圧式ディスク


後 機械式リーディング・トレーリング


懸架方式 前 テレスコピック式


後 スイングアーム式


フレーム形式 バックボーン

※走行中はリターン式で停車時のみロータリー式になるチェンジ機構です。


■道路運送車両法による型式認定申請書数値(★の項目はHonda公表諸元)


■製造事業者/Thai Honda Manufacturing Co., Ltd.


■製造国/タイ


■輸入事業者/本田技研工業株式会社


*1.燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。


*2.定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。


*3.WMTCモード値は、発進、加速、停止などを含んだ国際基準となっている走行モードで測定された排出ガス試験結果にもとづいた計算値です。走行モードのクラスは排気量と最高速度によって分類されます。

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