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ホンダ・モンキーのディープな世界。人気に拍車をかけた“6Vモンキー”とは?


2018年7月、125ccになって復活したホンダ モンキーだが、そのルーツとなる1967年(昭和42年)に量産型のモンキー「Z50M」が登場以来、技術の進歩や流行の変化に合わせてフォルムや中身もチェンジしてきた経緯をもつ。ここでは前後5インチホイールから前後8インチホイールになった、中古車市場でのタマ数も豊富な6V電装を採用した1974年~1988年発売の通称“6V(ボルト)モンキー”をご紹介しよう。


REPORT●北秀昭(KITA Hideaki)


PHOTO●4ミニ.net http://4-mini.net/

1969年 モンキー Z50A

モンキー Z50A

モンキー Z50Z

 1967年(昭和42年)に国内で市販が開始されたモンキーに、次なるモデルが登場。それは1969年(昭和44年)にフロントにテレスコピック式サスペンション(リヤはリジッドのまま)、また8インチホイールを採用した写真のZ50A。




 1972年にはZ50Aをベースに、ヘルメットホルダー、マニュアル式カムチェーンテンショナー、ダウンマフラーなどを装備したZ50Zがリリース。モンキーは着実に進化していった。

●Specification


全長:1225mm/全幅:580mm/全高:875mm/乾燥重量:47.0kg/燃料タンク容量:3.0L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.30kgm/5000rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:6万3000円(Z50A/当時)

1974年 モンキー Z50J

モンキーZ50J

 1974年(昭和49年)、これまでのリジッド式リヤサスからスイングアーム式サスとなったZ50Jがリリース。同車は以降発売されるモンキーの原型ともいうべきモデル。Z50Jに採用された折り畳みハンドル、フレーム、エンジン、前後の足周りなどの基本構造は、50ccの最終モデルまできっちりと受け継がれた。




 Z50Jは愛らしい台形フォルムの4Lガソリンタンクが大きな特徴。そのため6V電装ながら、モンキーフリークからは通称「4リッター」と呼ばれる。最大のポイントはリジッド式からスイングアーム式のリヤショックに変更し、公道での走行安定性を大幅にアップしている点。また最終の50ccモデルまで採用されたブロックパターンタイヤを導入。1975年に発売されたJ-2は、カブと同じシーソータイプのチェンジペダルに変更し、安全確保のためにウインカーステーが延長されているのがポイント。

●Specification 


全長:1325mm/全高:615mm/全幅:855mm/乾燥重量:50kg/燃料タンク容量:4L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:3速リターン/クラッチ形式:自動遠心式/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:7万9000円(J-1の発売当時)・9万9000円(J-Ⅱの発売当時)

1978年 モンキー Z50JZ

モンキーZ50JZ

1978年(昭和53年)には、2007年モデルまで引き継がれていくティアドロップ型の5Lタンクとサドル型シートを採用したZ50JZが登場。Z50M以来採用の遠心式クラッチ+3速ミッションを備えたJZ-1に加え、マニュアル式クラッチ+4速ミッションのJZ-2もラインナップ。1978年にはマニュアル式クラッチ+4速ミッション採用のゴリラ(JZ-3)が発売された。

●Specification


全長:1340mm/全高:600mm/全幅:845mm/乾燥重量:58kg/燃料タンク容量:5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:3速リターン(4速リターン)/クラッチ形式:自動遠心式(マニュアル式)/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:10万円(発売当時)

1981年 モンキー Z50JB/JC/JE

モンキーZ50JZ

 1981年(昭和56年)、当時の流行色の黒を取り入れたブラックカラーのZ50JBが登場。ポイントはホイールカラー。スタンダード仕様はこれまでと同じシルバーだが、9000円アップでゴールドも選択できた。




 Z50JBは自動遠心式クラッチ+3速ミッションに加え、マニュアル式クラッチ+4速ミッションも選択可能だった。ただしZ50JCからは自動遠心+3速のみとなった。なお同時期にモデルチェンジされたゴリラには、マニュアル式クラッチ+4速ミッションが採用された。

●Specification


全長:1340mm/全幅:600mm/全高:845mm/乾燥重量:58kg/燃料タンク容量:5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:2.6ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:3速リターン(4速リターン)/クラッチ形式:自動遠心式(マニュアル式)/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:10万9000円(発売当時)

1985年 モンキー Z50JF

モンキーZ50JF

 1985年(昭和60年)に登場したZ50JFは、1967年のZ50M以来続いてきた遠心式3速ミッションを廃止し、現行モデルにも継承されているマニュアル式クラッチ+4速ミッションを採用。




 エンジンは1984年に5000台限定発売されたゴールドリミテッドと同じ仕様。圧縮比を8.8から10に上げ、2.6psから3.1psにパワーアップ。ウインカー、ホーン、ライトスイッチを左側にまとめた集合スイッチもリミテッドより引き継いでいる。

●Specification


全長:1340mm/全幅:600mm/全高:845mm/乾燥重量:58kg/燃料タンク容量:5L/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:3.1ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:4速リターン/クラッチ形式:マニュアル式/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:11万9000円(発売当時)

1988年 モンキー Z50JJ

モンキー Z50JJ

1988年(昭和63年)に登場したモンキー Z50JJは、カラー&グラフィックを変更。エンジン、外観、足周りなどの基本構成は前モデルのJFと同じ。




カラーリングチェンジに伴い、メッキ仕様だった前後フェンダー、ブラックペイントだったヘッドライトハウジングもガソリンタンクと同カラーにペイント。安全性を高めるため、左ミラーも標準装備された。

●Specification


全長:1340mm/全幅:600mm/全高:845mm/乾燥重量:58kg/燃料タンク容量:5ℓ/エンジン形式:空冷4サイクルOHC単気筒49cc/最大出力:3.1ps/7000rpm/最大トルク:0.3kgm/5000rpm/変速機:4速リターン/クラッチ形式:マニュアル式/タイヤサイズ:前後3.50-8/価格:12万2000円(発売当時)

大ヒット&ロングセラーの6Vモンキーはタマ数も多くて価格もお手頃。

じつは6Vモンキーは中古のタマ数も豊富

上記で紹介しているモンキーの大きな特徴は、「ポイント(接点)マグネット式の点火方式」と「6Vの電装」を採用していること。ちなみにスーパーカブの場合、1981年に定期的なメンテナンスが必要なポイントマグネットの点火方式から、メンテナスフリーのCDI点火方式に変更された。




モンキーも1986年には、これまでミニバイクの主流となっていた6V電装から、安定した電力を供給する12Vの電装に大容量化。また、モンキーもカブ同様、技術の進化に伴い1992年にCDI点火方式および12V化に変更。ティアドロップ型タンクを備えたZ50JZ~Z50JJ は「6Vモンキー」、1992年4月発売以降のモデルは「12Vモンキー」と呼ばれ、区別されている。

6Vモンキーはまだまだ現役! ただしウデと知識が必要

6Vモンキーのジェネレーター(発電機)の部分。

6Vモンキーのポイントを調整中の一コマ。

6V電装とポイント式点火の問題点を研究し、改善したのが12V電装とCDI式点火。その結果、12Vは6Vに比べ、点火系のトラブルが減少した。




「6Vは故障が多いのか…」と思う人も多いと思うが、それはちょいと違う。バッテリーやレギュレーターのメンテナンス、定期的にポイントの点火時期調整をしっかりやれば、6Vでも12Vに劣らない性能を十分発揮してくれるからだ。




6Vモンキーは中古車市場のタマ数が非常に多く、全般的に安価で入手できるのが特徴。チューニング用の社外パーツも豊富なので、手軽にモンキーカスタムを楽しめる土壌にあるのが大きなポイントだ。そのため、6Vモンキーをベースにカスタマイズするユーザーが非常に多い。

写真はノーマル49ccから106ccに排気量アップが可能な「SP武川製12Vモンキー用ハイパーSステージ+D ボアアップキット(5万4,864円)」 。

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