スマホ向けのカーナビアプリでは通信で地図や検索などのデータを取得するが、16年前に同様のシステムを実現していたのが「カロッツェリア エアーナビ AVIC-T1」。市販世界初の通信モジュール内蔵型カーナビを紹介しよう。
REPORT●浜先秀彰(HAMASAKI Hideaki)
サイバーナビ、楽ナビに続く第3のシリーズとして誕生
2002年当時のカロッツェリアのカーナビラインナップには、上級となるHDDのサイバーナビ、スタンダードであるDVDの楽ナビが存在していたが、第3のシリーズとして企画されたのが通信式のエアーナビだ。
それまでには存在しなかった完全な通信ナビで、大容量の記録メディアを使わずに使用する都度に必要な情報を内蔵通信モジュールを介してサーバーから取り出す。サーバーに蓄積されているデータはいつも新鮮に保たれ、検索データの追加や変更は短いサイクルで行われる。また、ルート探索もVICSデータを取り入れた渋滞回避ルート探索で、走行ルートや自宅周辺の地図は自動的に最新版に更新される。さらにオプションサービスとしてドライブスポットの最新情報が得られるライブマガジンや、最新の天気予報を地図に表示するウェザーライブ、位置情報が送信できるポイントパーティなどの便利な機能も備えていた。まさに現在のスマホ向けカーナビアプリと同様の特徴や長所を備えていたわけだ。
ちなみに内蔵されていた通信モジュールは当時高速と言われていたKDDIのCDMA2000 1xの通信網を利用し、操作レスポンスの体感はDVDナビより少し遅い程度だった。ちなみに通信圏外では内蔵メモリーに収録した道路地図を使用して自車位置表示も行えるがルート探索は利用できず、通信圏内に入った時点でルート探索を行う予約機能を備えていた。
販売方法は特殊で本体及び3年分の基本サービス料や消費税を含んだ購入プランを用意(4年目以降は月額1980円)。例えば月々3980円+ボーナス時1万5000円や初回7万9800円+月々3980円など8種類から選択ができた。
画期的なスタイルで多くの利便性を市場に提案したエアーナビだったが、当時のシステムでほぼすべての機能を通信に頼るのは使いづらい面もあった。2008年にリリースされた2代目となるエアーナビ「AVIC-T10」では基本的なコンセプトを引き継ぎつつも、ポータブル型ナビに通信モジュールを組み合わせたような形へと進化した。