MV AGUSTAの現行ラインアップのなかでも、ミラノ国際モーターサイクルショー(EICMA)にて「最も美しいバイク」に選ばれたのがBRUTALE(ブルターレ) 800 RR。それをベースに、走行性能と走行官能性に特化した仕様がBRUTALE DRAGSTER(ブルターレ ドラッグスター) 800 RR。その新型が日本でも9月に発売される。
1907年、ジョバンニ・アグスタによってイタリアのロンバルディア州カッシーナコスタに航空機製造会社として設立されたAGUSTA(アグスタ)。第二次大戦での敗戦で日本と同じく航空機生産を禁止されたイタリアにおいて、AGUSTAが生業に選んだのはモーターサイクル製造だった。 それがモーターサイクル・メーカーとしてのMV AGUSTA{MはMeccanica(メカニカ=工業)、VはVerghera(ヴェルゲーラ=地名)の頭文字とAgusta(創設者の姓)}であることは、モーターサイクル・エンスージアスト諸氏には今さら言うまでもないことだ。 無論、現在のMV AGUSTAは1992年にクラウディオ・カステリオーニ率いるCAGIVA(カジバ) S.p.Aが商標権を取得して復活させた新世代であることも御存知のことだろう(*人名、地名、年代等は社史に準拠)。 そのMV AGUSTAの現行ラインアップのなかでも、ミラノ国際モーターサイクルショー(EICMA)にて満場一致による高評価のもと「最も美しいバイク」に選ばれたのがBRUTALE(ブルターレ) 800 RR。それをベースに走行性能と走行官能性に特化した仕様がBRUTALE DRAGSTER(ブルターレ ドラッグスター) 800 RRだ。 日本でもコアな人気を誇るBRUTALE DRAGSTER 800 RRだが、2018年モデルは完全新設計で登場するという。
カラーリング:パールアイスホワイト / ダークメタリックグレー
まずはデザインから見て行こう。スタイリングは大幅に刷新され、フロントフェンダーにはアルミ製サイドブラケットを採用。角度調整が可能なセミハンドルバー、また、CRC(Castiglioni Research Center)によって設計された調節可能なステアリングダンパーを上部トリプルクランプに統合している。デジタルメーターは高品質なアルミ製カバーでガードされ、タンクパッドもアルミ製で、MV AGUSTAロゴがレーザー刻印されている。 テールフェアリングはサポートフレームを含めて完全に新設計。そして今回のリニューアルのキモはLEDテールライトだ。以前に採用していたデュアルタイプではなく大胆な3次元要素を採用、ファンタジックなデザインのライトガードを装備することでイメージ向上とデザインの新規性を際立たせている。 シートのリヤセクションも新設計で、フェアリングに合わせてカラーリングが施される。ライセンスプレートホルダーも新設計、ウインカーもLEDを採用した。 新設計のパッセンジャーフットペグもユニーク。フレームサイドプレートに固定されたブラケット上にピンが仕込まれており、収納された位置から開いた位置まで瞬時に回転させられる。収納された状態ではテールフェアリングの直線性が強調され、展開された状態でも全体的な設計の統合が明確になり、デザイン性にも優れたアイテムになっている。
調節可能なセミハンドルバーとステアリングダンパー。メーターはアルミ製カバーでガードされている。 大胆な3次元要素を採用したLEDテールライト。
ユニークな新設計のパッセンジャーフットペグ。写真は引き出し時。 収納時は完全にデザインの一部となっている。
テールフェアリングはサポートフレームを含めて完全に新設計。スイングアームはアルミニウムシングルサイドスイングアーム。 シートのリヤセクションも新設計。フェアリングに合わせてカラーリングが施される。
3気筒エンジンは専用開発で、Euro4準拠のために数多くのテクニカルアップグレードが施されていると共に、信頼性や性能の大幅な向上がもたらされている。 エンジンは設定し直されたアンカーポイントによってフレーム固定されたことで、ねじり剛性が増し、ライディングダイナミクスの向上につながっている。最高出力140hp/12300rpm、最大トルク87Nm/10100rpmを発揮し、低回転時のスムーズなフルードデリバリーと抜群の加速感を実現したという。 主要なアップグレードとしては、①新しいカウンターシャフト、②再設計されたプライマリードライブ、③吸気カム、バルブの新しいプロファイルの導入、④新設計ギヤボックス(シフトレバー操作の軽減&よりスムーズで正確なギヤ操作が可能)、⑤エキゾーストマニホールド、サイレンサーの変更(アナダイズド加工された新型アルミ製シールドで保護)、⑥エンジンカバー(メカニカルノイズの低減、耐衝撃性の強化)となっている。 この3気筒エンジンの電子制御は、言うまでもなくMV AGUSTAが独自開発したMVICS (Motor &Vehicle Integrated Control System)で、当然、Ride By Wireシステムも採用、ECUのアルゴリズムとマップは新設計の専用プログラムとなっている。クラッチ操作無しでスムーズなアップ&ダウン操作が可能なオートシフターも装備。あらかじめ定義された3つのマップに加え、スロットルレスポンス、リミッター、スロットル感度、エンジンブレーキなどのパラメータを変更することも可能だ。また、8段階調整可能なトラクションコントロールシステムも更新されている。 安全面ではボッシュの二輪用2チャンネルABSシステムである「ABS 9 PLUS」を搭載。これは「ABS 9 base」に圧力センサーを追加し、ブレーキ圧が上昇している場合にも介入できる高機能バージョンだ(厳密には登場順序は逆で、「ABS 9 PLUS」から圧力センサーを省き、基本性能に絞った軽量化版が「ABS 9 base」)。さらにこのABSにはブレーキング時の後輪のリフトを緩和するRLM(リヤホイール・リフトアップ・ミディゲーション)機能も追加されている。 日本では9月発売予定で希望小売価格(予価)は\2,397,600(税込)。販売店等の詳細はMV AGUSTA JAPANの公式サイト(http://www.mv-agusta.jp/)で確認していただきたい。
カラーリング:ナルドグレー / ダークメタリックグレー
主要諸元 ●エンジン エンジン形式:水冷4ストロークDOHC12バルブ3気筒 総排気量:798cc 圧縮比:13.3:1 ボア×ストローク:79×54.3mm 最高出力:140hp/12,300rpm 最大トルク:8.87kgm/10,100rpm 変速機:6速 クラッチ:湿式多板クラッチ マネージメント/イグニッション:MVICSイグニッションシステム(MOTOR &VEHICLE INTEGRATED CONTROL SYSTEM)4モード(ノーマル/スポーツ/レイン/カスタム)、8段階調節トラクションコントロールシステム、EAS(クイックシフター アップ・ダウン) ●シャシー フレーム:チールパイプトレリスフレーム スイングアーム:アルミニウムシングルサイドスイングアーム サスペンション(F):MARZOCCHI製倒立フォーク O43mm サスペンション(R):SACHS製プログレッシブ シングルショック ブレーキキャリパー(F/R):brembo製4ピストン ラジアルマウント/brembo製2ピストン ブレーキディスク(F/R):フローティング ダブルディスク O320mm/シングルディスク O220mm(BOSCH ABS 9 PLUS) ●タイヤ ホイール(F/R):3.50”× 17 ”/6.00 ”× 17 ”アルミニウムスポークホイール(F/Rとも) タイヤサイズ(F/R):120/70-17/200/50-17 全長×全幅:2060×825mm ホイールベース:1380mm シート高:820mm 燃料タンク容量:16.5? 乾燥重量:168kg ●カラーリング パールアイスホワイト / ダークメタリックグレー、ナルドグレー / ダークメタリックグレー